インドの10万農民集会 WTOは農業に手出しするな

農業情報研究所(WAPIC)

05.10.3

   インド・ヒンドゥ紙によると、政府のWTO政策・反農民政策に抗議するインド中の10万の農民が、雨をものともせずムンバイに集結、WTOに農業に手出しさせるなと要請するシン首相宛のメモランダムを発表した。

  Keep farming out of WTO, says union,The Hindu,10.3
 
  http://www.hindu.com/2005/10/03/stories/2005100302211300.htm

 集会はインド農民運動調製委員会が組織したもので、北部からの農民グループは3日間の旅をしてここにやってきた。そのグループの一女性は、「我々は雨がやむのを待っている。私は、我々のケアをしなければならないと政府に訴える。彼らはどうして電気代を請求し、ジーゼルの費用を増やし、我々の生産物を適切な価格で買わないのか。私の家族は砂糖キビ、小麦、コーンを育てているが、赤字で経営している」と言う。一部の者は店で雨をよけたが、彼女や多くの農民はスローガンを叫び、リーダーの言葉に聞き入ったという。

 一組合リーダーは、「我々は農業はWTOから除外されるように要求する。政府から積極的回答がなければ、我々の闘争は続く。12月の香港で予定されている閣僚会合については、政府が農業協定に調印するかどうか監視する。我々の声を聞かせるために全国規模の抗議を起こすだろう。彼らは我々が何を言わねばならないか考えねばならない。他の国の農業と異なり、ここではそれは単なる職業ではない。それは我々の生活方法そのものだ」と語った。

 メモランダムは、「政府はインド農村からの委任で権限をもつに至ったが、その政策は今や反農民的で企業に贔屓するものになった。契約農業を奨励する2004年2004年種子法、200年食品安全・基準法、国家農業政策、公的配給システムの解体、大部分の商品の最低価格支持の撤廃、多国籍企業とアグリビジネスのための土地改革の反転・・・」と述べる。

 首相は、先月の国家計画委員会会合で、インド農業のパフォーマンスへの懸念を表明、何よりも契約農業、自由販売、競争取引などを可能にする制度変更が必要だと述べている(India's prime minister worried by farm sector, calls for reforms,Indo-Asian News Service(www.eians.com/ ,9.28)。 しかし、インド農民の自殺率を世界最高にしているのは、高価な遺伝子組み換えBtワタ種子を魔法の種のごとくに宣伝、まがい物(未承認種子)まで販売し、その購入費用を高利で貸し付けることで農民を借金地獄に追い込んでいる種子販売企業などの”カネ、カネ、カネ・・・”のアグリビジネスだ。これはすべての資材供給企業のやり方でもある(Seeds of doubt in Maharashtra,The Hindu,9.20)。何よりも優先せねばならないのは、このようなアグリビジネスの糾弾と是正だろう。