EU20ヵ国 WTO農業交渉合意案を認めず 悪い協定より無協定の方がマシ 

農業情報研究所(WAPIC)

08.2.19

  フランスのバルニエ農相によると、同国の要請で18日に開かれたEU諸国の農相特別会合で、EU27ヵ国中の20ヵ国が、今月8日に発表されたWTOドーハ・ラウンド農業交渉に関するファルコナー議長合意案は”受け入れられない”と判断したそうである。

 バルニエ農相によると、とりわけヨーロッパの成長が心配され、この成長が農業経済に大きく依存しているときに、さらなる関税譲許*は受け入れられない、この合意案はヨーロッパの農業活動全体、特に野菜と果実、あるいは養畜の部門に重大な影響を与える。

 彼は、会合の雰囲気を、「すべてのわが同僚の一般的感情は、農業経済に関する悪い協定よりも、協定がない方がマシというものだった」とまとめる。

 Agriculture: Paris juge "inacceptable" le texte de négociation à l'OMC,AFP via Yahoo! Actualités,2.18
 http://fr.news.yahoo.com/afp/20080218/tbs-ech-agr-int-f41e315.html

 20 pays de l'UE rejettent les propositions agricoles de l'OMC,Reuters via Yahoo! Actualités,2.18  
 http://fr.news.yahoo.com/rtrs/20080218/twl-union-omc-barnier-bd5ae06.html

  なお、英国、スウェーデン、デンマーク、チェコ共和国、エストニア、リトアニア、マルタの7ヵ国は会合に参加しなかった。ドーハ・ラウンド合意を最優先するマンデルソン通商担当委員の立場を支えるのは、この7ヵ国だけということになる。

  *一般品目における66-73%の関税削減、一般品目なみの関税削減を猶予される”重要品目”の有税品目数に対する比率の8%から6%への削減などを指す のだろう。フランスはまだしも、とりわけ小農がなお多数残るEU内後進地域・条件不利地域の経済の要をなす農畜産は、このような関税削減で壊滅的打撃さえ受ける恐れがあ る。