米国際開発庁 アフガン援助を見直し 輸出促進から小農民の食料生産支援へ

農業情報研究所(WAPIC)

09.10.14

 フィナンシャル・タイムズ(FT)紙によると、アフガニスタン援助プロジェクトで巨額を浪費していると批判されてきた米国国際開発庁(USAid)が、反乱の中心地の農民を助けるための援助を大きく増やすことでタリバンの影響力を削ぐ新たな戦略を採択した。

 USAidの統括責任者として5月にカブール入りしたWilliam Frej氏は、アフガニスタン政府支持か、反乱勢力強化かで揺れる村々に灌漑、種子、道具を提供する計画を急速に拡大させると誓った。彼は、USAidは多くの学校や診療所を建設してきたが、全体を覆う戦略を欠いていたと、今までのアプローチに欠陥があったことを認める。

 FT紙に対して、今、USAidはそのオペレーションを見直しつつある、”我々は、米国の援助プログラムを完全に改めてきた”と語ったという。

 米国は群を抜いたアフガニスタンへの援助供与国で、最近は、援助の5分の1がUSAidを通してのものだ。残りの大部分は軍事支援や麻薬撲滅対策に向けられている。USAidのアフガニスタン援助予算は今年倍増、21億ドルに達した。そのおよそ半分が統治の改善に向けられ、残りがインフラ整備、保健、教育、農業拡大プログラムに当てられる。

 Frej氏には、ほとんど浪費に近かった今までの援助を早急に改めねばならないという圧力がかかっている。

 たとえば、北部の最重要都市・マザーリシャリーフ近くのプランテーション計画は、土地が塩類集積でとても作物は育たないと開発業者が気付くまでに、何数百万ドルも呑み込んだ。大都市間を結ぶ道路を建設する多数の契約業者が殺されてきた。援助機関は、ほとんど成果も上げずに、保安コストや賃金に予算の大部分を費やす民間部門契約業者の使用に疑問を呈す。

 農民の食料増産のための技術支援を提供するFrej氏の計画は、ブッシュ政府下の自由貿易唱道者が擁護したアフガニスタンの輸出促進からのイデオロギー的転換を反映する。Oxfamは、USAidは、経済のバックボーンをなす小農民の支援に年々の予算の5%も当ててこなかったと批判する。Frej氏は、これを20-25%にまで増やすと言う。

 民間部門契約業者に頼り過ぎという批判に対しては、アフガニスタン政府への予算配分を、昨年の5%から、2010年までに40%に増やす。

 ただ、USAidの軍とのかつてない緊密な協力は論争を呼ぶ。Oxfamは、文民機関が軍との協力を緊密にすればするほど、すべての人道的支援活動家のリスクが増す、彼らは軍事戦略を支持していると見られるようになると言う。

 US rethinks Afghan aid strategy,FT.com,10.13
  US rethinks its Afghan aid strategy,Financial Times,10.14,p.3