農業情報研究所グローバリゼーショングローバリゼーション2015年8月20日

通貨安の輸出促進効果がこの20年で半減 グローバル化で輸入部品のコストが上がる 世銀の新研究

  世銀エコノミストの新たな研究*が、現在の人民元切り下げやアベノミクスによる円安誘導に典型的に見られるような自国通貨価値の切り下げの輸出促進効果がこの20年の間に半減していることを明らかにした。

 1996年から2012年までの46ヵ国の実質為替レートの変化が製造業製品輸出に与えた影響を分析したこの研究によると、通貨切り下げの輸促進効果は、今では以前考えれらていたよりずっと小さい。 その理由は、サプライチェーンのグローバル化の進展だとういう。

 例えば中国のスマホ、スクリーンは日本から、主なチップは韓国から、その他の部品は東南アジア、ヨーロッパ、米国から輸入されている。元の下落は完成品の国際価格の引き下げに貢献するが、輸入部品のコストも引き上げる。円の対ドル相場も過去1年に17%も下がったが、今年6月までの3ヵ月(四半期)の輸出は過去5年間で最大の減少となった。韓国、台湾、ドイツでも同様なパターンが見られる。

 今や最善の輸出促進策は通貨切り下げではない、輸出増加にためには、何よりも世界の需要が増えねばならないという。

 Depreciations without Exports?Global Value Chains and the Exchange Rate Elasticity of Exports,Policy Research Working Paper 7390,World Bank,August 2015

  https://openknowledge.worldbank.org/bitstream/handle/10986/22440/Depreciations00lasticity0of0exports.pdf?sequence=1

 Currencies lose firepower as trade weapon,FT.com,15.8.20