ミヨーのボベLe Monde,00.6.22

農業情報研究所WAPIC

00.06.23

アベロン県ミヨーでの地球的イベント6月30日、ジョゼ・ボベの裁判のために、3万から5万のデモ参加者が世界中からやって来ると予想される。世界化への抵抗のシンボル的存在の彼は、1999年8月、この町に建設中のマクドナルドを攻撃した。アメリカのCNNは、裁判所に面する多数のアパートにカメラを据えつけた。

アメリカのCNNテレビは、カメラを据えつけるために、ミヨーの裁判所に面するアパートを借りた。世界化のWTOバージョンへの反対行動が演じられるのは、シアトルに代わり、ここ、アベロンの小さな町である。すべてが始まったのがここだからだ。

1999年8月12日、羊乳生産者組合と農民同盟の300人の畜産農家グループ(注)は、この町に建設中のマクドナルドを「分解」した。これは、ホルモンを使って育てられた米国牛肉のEUによる輸入禁止に対し、米国が彼らの生活の糧であるロックフォール・チーズに輸入禁止的な超過関税を課したことへの抗議であった。しかし、これは「マル・ブーフ(バッド・フードまたはバッド・イート)」に対する「ボヌ・ブーフ(グッド・フード)」、利潤に対する健康、多国籍企業に対する地方、大に対する小の戦いの様相を呈する。かつてラルザックの軍事基地拡張反対闘争を導き、勝利したのもこれらの同じ農民であった。12人が「私有財産破壊」のかどで投獄され、法外な保釈金を払って釈放された。ボベは、裁判所の階段で、手錠をかけられた握り拳を振り上げた。この映像は世界を駆け巡った。この組合指導者は、(保釈金を払っての釈放を拒否し)モンペリエの監獄に3週間とどまった。かれは「ロビン・フッド」の名声を得た。一年の間に、国際運動は「世界は商品に非ず」の観念を軸に、確かなものになりつつある。

オーガナイザーも警察も、6月30日の裁判には、シアトルに劣らない3万人から5万人のデモ参加者がやって来ると予想する。この訴訟の10人の被疑者の中で、ボベは筆頭にランクされている。共和国検事は、「集団的損壊」などの追訴事項を取り上げ、5年の懲役と50万フランの罰金を求刑する。現在、農民同盟の3人のスポークスマンの一人であるボベは、「首謀者」とされている。彼は、ロット・エ・ガロンヌ県での遺伝子組み換えトウモロコシの破壊で、8カ月の懲役の執行猶予中であるから、一層厳しく刑事責任を問われる。

10人の被疑者は、すべてかつてのラルザック農民の擁護者であった弁護士グループと第三世界小農民の名によるモーリタニアの一弁護士によって弁護される。彼らは、この訴訟を自由な世界化に対する訴訟と考えている。彼らによれば、この世界化は、ミヨーのマクドナルドの象徴的な破壊よりも一層重大な「破壊」、今なお地球の人口の半分を集める世界の農民階級の破壊をもたらす。従って、彼らは、証人として、アフリカ、南米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアの幾人かを招いた。これらの証人に、スーザン・ジョージ、インド人の女性・バンダナ・シバ、パブリック・シチズン代表者のような世界化反対運動の「エキスパート」や、労働総同盟(CGT)・司法官組合代表者が加わる。

6月30日と7月1日の二日間、人口2万2千のこの町は、多数のフォーラムと街頭行動を伴う巨大な「ハプニング」劇場となる。30日夜には一大野外コンサートが開かれ、ゼブダなどが無償で出演する。救援委員会は、この数カ月、多くの組合組織(農民同盟、CGT=労働総同盟、SUD=民主統一連帯、CNT=アナルコ・サンジカリスト及び革命的サンジカリスト組合)、政党(社会党、共産党、緑の党など)または団体(人権同盟、DAL=居住権、Attac=市民のための課税・金融取引協会など)に支援されて、準備を進めてきた。しかし、それは、すべての組織が独立性をもち、参加型民主主義を保証する「ラルザック方式」で行なわれる。この町には、これだけの人数を収容できるホテルはない。ラルザック高原は、二日間、再び広大なキャンプ場になる。

(注) 実際には、農民同盟の呼びかけに応じて集まったのは農民と労働組合員・市民グループであり、その数はほぼ半々であった。しかし、逮捕されたのは、何故か、すべて農民同盟組合員であった。