アジア・アフリカ諸国 伝統文化・知識・遺伝資源を保護する国際法制定で統一戦線

農業情報研究所(WAPIC)

07.6.22

  アジア・アフリカ会議に集うアジア・アフリカ諸国が20日、文化的・伝統的知識と遺伝資源を認知し・保護する法的拘束力のある国際規則のために統一して戦うことに合意した。西ジャワの首都での三日間の会合の後に発せられた”バンドン宣言”で、両大陸48ヵ国の代表者が、規則制定のためにお互いに、また国際組織と緊密に協力していくことを誓った。

 彼らは、来月ジュネーブで開かれる世界知的所有権機関(WIPO)の会合でこの問題を提起することに合意、宣言は、すべての国が自身の遺伝資源に対する主権を有し・伝統的な文化的表現と伝統的知識の”監守”(custodians)であることを強調したという。

 Asia, Africa join to protect traditions,The Jakarta Post,6.21

 宣言は、「我々は伝統的表現、伝統的知識、遺伝資源に関する法的拘束力のある国際的手段とともに、事前同意、起源の開示、公正で衡平な利益共有など、遺伝資源へのアクセスの諸原則に実質を与えるメカニズムの設置を促す緊急の必要性を認める」と言う。

 また、代表者は、あらゆる形態の権利の誤用・歪曲・不正取得を防ぐ措置を取るべきことも決議した。

 この会合に出席したフランシス・ガリーWIPO事務局次長は、このアジア・アフリカ諸国の統一された立場を歓迎、「宣言は、権利のための法的拘束力のある国際規則の支持者が拡大しつつあることを示す。今後数年の間に、宣言が達成を望むことが実現を見ると思う」と語ったという。

 ただし、これらの目標の達成は簡単でないことも認めた。大部分の先進国がこの動きを遅らせようとするだろうからだ。どちらもアジア・アフリカ会議のメンバーである日本とシンガポールの欠席が、アジア先進国が提案に同調しないことを示しているという。

 なお、ここにいう伝統文化表現には、世代から世代に伝統的に受け継がれてきた広範なフォークロア(民間伝承)や唄が含まれ、伝統的知識には一定の民族集団が作り、利用する薬草や衣類を含む。遺伝資源とは、その美しさや科学・薬品への利用のために世界的注目を集めてきた、アジア・アフリカ諸国でのみ育つ植物・動物・さらにウィルスも意味するという。