中国・ASEAN、2010年までの関税撤廃に合意 自動車部品・繊維・コメ・砂糖は例外?

農業情報研究所(WAPIC)

04.10.28

 中国商務部の安 民副部長が27日、中国とASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との物品貿易に関する協定が来月にも調印されるだろうと発表した(China-ASEAN Free Trade Zone Goods Trade Agreement to be signed in November)。これは、自由貿易協定の一環として、一部重要品目を除くすべての物品の関税を2010年までに段階的に撤廃しようとするものである。関税削減は来年から始める。交渉は難航、予定より数ヵ月遅れたが、漸く合意に達したようだ。ASEAN当局者によると、サービス、投資に関する交渉も来年半ばには完了するだろうという。

 フィナンシャル・タイムズ紙によると(China and Asean agree deal to scrap tariffs by 2010,Financial Times,10.27,p.6)、来月のラオスでの中国・ASEANサミットで調印されるこの協定の下では、すべての”ノーマル・トラック”の品目については、来年、関税を最大限20%にまで削減、07年、09年までにこれをそれぞれ12%、5%に引き下げて、10年に全廃する。ただし、ASEAN域内の後発国であるビルマ、カンボジア、ラオス、ベトナムについては、関税全廃は15年まで延ばす。

 ”重要部門”の関税は撤廃せず、12年までに最大20%、18年までに最大5%まで引き下げる。何が重要部門かは不明確だが、ASEAN当局者は、マレーシアとタイの自動車部品産業やインドネシアとベトナムの繊維産業は、中国の競争からの保護を継続することになりそうだと言う。また、コメや砂糖も保護の対象となりそうだ。重要部門には輸入総額の10%を超えない400(後発国については500)の関税分類部門を含めることができる。

 これら”重要部門”は、年内妥結を目指す日本とフィリピン、マレーシア、タイとの自由貿易協定(FTA)交渉の進展を阻む最大の障害となっている。これら部門の市場開放が簡単には進まないことが中国・ASEANの交渉でも実証されたことは、わが国の交渉の将来も暗示する。とりわけタイ・マレーシアとの交渉は、自動車・自動車部品の市場開放の要求を日本が緩めないかぎり、妥結の見通しが立たないように見える。