フィリピン農民 日比経済連携協定に抗議 彼らの土地が有害廃棄物投棄場になる

農業情報研究所(WAPIC)

06.9.27

 10月26日、20人ほどのフィリピン農民が、日本大使館の外で日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)に抗議してピケを張ったそうである。

 Farmers picket Japanese embassy over economic pact,INQ7.net,10.27
 http://newsinfo.inq7.net/breakingnews/metroregions/view_article.php?article_id=29094

 フィリピン農民運動(KMP)の活動家は、協定は農民に悪影響を与えると、協定の廃棄を要求している。彼らによると、もし協定が発効すれば、彼らの土地が有害廃棄物の投棄場になり、大量の農民や農村住民が土地から追い出されることになる、海でさえこれら廃棄物の貯蔵所になる恐れがある。

 貿易産業相は、JPEPAで定められているような有害廃棄物の投棄は、国内法がストップさせると説明しているが、彼らは納得していない。協定の規程に抗する法律があるとしても、交渉官は仕事をしていないか、国の利益を売っていると言う。

 彼らは上・下院議員にも、協定を即刻廃棄するように要求しているという。

 このような懸念を掻き立てる日比経済連携協定の具体的規程が何なのかについてははっきりしないが、実際にこのような恐れがあるすれば事は重大だ。

 フィリピンの一女性上院議員も調査に乗り出した。彼女は、農民の恐れは、関税撤廃品目のリストの解釈から来ているのではないかと推測する。WTOルールによれば、自由貿易協定は”実質的にすべての貿易”を含まねばならない。しかし、フィリピンも日本も、有害廃棄物の国境を越えた移動とその処分を規制する1992年のバーゼル条約の締結国であり、有害廃棄物の貿易は 規制されている。彼女は、条約締結以前の経験ー有害廃棄物の貨物が日本に送り返された1999年の事件ーや、同類の協定を持つ国に日本が有害廃棄物を輸出した”経験的証拠”が彼らの懸念の根拠になっているのかもしれないと推測する。

 しかし、この問題については”オープンマインド”で、これを公にするのは、JPEPAが有害廃棄物の輸入を暗黙に許すものでないと政府に説明させることになるから、いいことだと言う。

 Senate to probe ‘toxic’ RP-Japan trade deal,INQ7.net,10.27
 http://newsinfo.inq7.net/inquirerheadlines/nation/view_article.php?article_id=28985

 実際、政府が「仕事をしていないか、国の利益を売っている」とすれば、日本が有害廃棄物を輸出することはあるかもしれない。バーゼル協定にもかかわらず、相手国が承認するかぎり、輸出することは可能だ。