看護婦・医者の海外流出でフィリピンの子供の健康に危機 日比EPAも見直さねばならない

農業情報研究所(WAPIC)

06.12.3

 高給を求めての看護婦や医者の外国への流出のためにフィリピンの子供の健康が危機に曝されている。

 子供の死亡率を減らし、母親のヘルスケアを改善し、感染症と闘うことを含む国連ミレミアム目標(MDG)達成に向けての進捗状況を検討する3日間の会合での”健康未来財団”・タン博士の報告によると、2004年以来、79州のうちの75州が看護婦を失いつつある。77州で助産婦、61州で医師も不足している。

 彼は、農村から都市や外国へのヘルスワーカーの大量の移住は、それ自体、子供の基本的保健サービスの低下を表している、「子供の適切な成長を確保するためには生まれてから数週間、数ヵ月の間は専門的ケアを必要とするから、これは不幸なことだ」と言う。

 彼によると、技術の進歩にもかかわらず、過去数年の幼児・子供の死亡率には目立った改善が見られない。ヘルスワーカーが流出するのは、外国での生活改善の希望ととともに、政府の保健サービス予算が少ないためでもある。彼は、ヘルスワーカーが国にとどまるように説得するだけでなく、政府がヘルスサービス予算を国の予算の5%まで増やすべきだと言う。現在、これは2.7%にすぎない。

 子供が健康に生まれるように、母親のヘルスケアも改善されねばならない。現在、母親の67%がケアを受けられず、それは十分な金がないためだ。国は子供の健康に関連した十分な政策を持つが、一部は資金が十分にないために、その実施は不十分という。フィリピンjの医療費用も、東南アジアで最高のクラスにとどまっている。a.

 Filipino kids pay the price of doctors’, nurses’ exodus,INQ7.net,12.3
 http://newsinfo.inq7.net/breakingnews/nation/view_article.php?article_id=36042

 我が国政府は、アロヨ政府の要求に押され、経済連携協定(EPA)で一層多くのフィリピン人ヘルスワーカーを受け入れようとしており、看護婦・介護者の不足から国内ヘルスサービス部門にもこれを歓迎する動きがあるが、これは真剣に見直す必要がある。”連携”を言うなら、何よりもフィリピン国内のヘルスサービス改善に協力すべきであろう。