バイオセーフティー議定書、欧州委員会のWTO作業グループを受け入れにEU閣僚が反乱

農業情報研究所(WAPIC)

2000.12

 12月3日付のフィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、2日、バイオセーフティー議定書交渉で、欧州委員会は屈辱的な後戻りを行った。委員会は、日本に後押しされ、米国、カナダが提案したこの問題に関するWTO作業グループを受け入れたという。

 しかし、EU閣僚が反対にまわった。閣僚が恐れるのは、この作業グループが交渉を失敗に導くことである。米国とカナダ、オーストラリア、アルゼンチン、ウルグアイ、チリを含むいわゆるマイアミ・グループは今年2月の遺伝子操作製品の貿易の統制に関するこの議定書を沈没させている。

 WWF・インタナショナルは、この作業グループの存在により、WTOがルールを明確にするまで安全性論議が中断される恐れがあると言う。UNEPヘッドに支援されたデンマーク、イギリス、フランス、ベルギー、イタリアの環境担当大臣は、バイテクへのマルチラテラルなアプローチを決定する本来のフォーラムはバイオセイフティー議定書に関する討議であり、WTOにおける議論は貿易を環境に優先させるものだという声明をシアトルで出した。水曜日夜のEU15ヶ国通商担当大臣会合は、事実上、全会一致で委員会の政策変更に反対した。

 委員会担当官は、EUは、すべての国がバイオセイフティー討議を完結させることを誓い、環境・消費者保護問題を含む広範なWTO交渉アジェンダに合意するならば、その場合にのみバイテク作業グループを受け入れると弁明している。