農業情報研究所


米国:アイオワ大学の研究、Btコーンとオオカバマダラをめぐる懸念が再燃

農業情報研究所(WAPIC)

2000.8.21

 アイオワ州立大学の研究者の発表によると、遺伝子組み換えコーンの花粉は渡り蝶・オオカママダラに致命的影響を与える。この研究は、米国環境保護局(EPA)が害虫抵抗性遺伝子を含むように操作されたコーンと棉の安全性の見直しを始めたのと時を同じくして、”Oecologia”誌に発表される。

 この研究は、ノバルティスAGにより開発され、NatureGard、Attributeのブランド名で販売されている二つのタイプのBtコーンの幼虫への影響を分析したものである。それによると、オオカバマダラの幼虫は、Btコーンの花粉を浴びたトゥワタを食べる場合、通常のコーンの場合よりも7倍多く死ぬ。この遺伝子は、アワノメイガ、棉実を食べる蛾の幼虫、その他の害虫を撃退するために、コーンと棉に組み込まれている。彼らは、自然に生じる条件をシミュレートするために、Btコーンの畑の中と周辺に鉢植えされたトゥワタを置いて実験したが、オレンジ・バタフライやブラック・バタフライは、Bt作物畑の10メートル以内で最大のリスクがあると言っている。

 研究結果について、ノバルティスは、新しい研究は現実世界の条件を反映していないと言う。そのスポークスマンによれば、「野外で行われた研究は、圃場の環境で何が起こるかを示さない。・・・重要な点は、Btコーン圃場の1メートル以内のトゥワタが有毒なレベルのBt花粉を振りかけられることはありそうもないということだ」。

 現在、カナダから中西部コーンベルトに至るまでの多数の研究者がBtコーン畑と、花粉がオオカバマダラに影響を与えるかどうかについて研究しており、イリノイ大学の研究者は、6月、パイオニア・ハイ・ブレッド・インタナショナルにより開発されたBtコーンの一品種の花粉を食べるブラック・スワロー・テイル・バタフライの幼虫に悪影響はなかったと発表している。

 EPAは、新たなアイオワの研究を、人間・動物・昆虫・植物に対する健康上・環境上のリスクの広範な評価の一部として、他の科学的研究と並行して再検討すると言う。

 「環境防衛」の一科学者は、アイオワの研究により、農民はBtコーン周辺に40フィートの緩衝帯を設置するすべきことが明らかになったと言っている。EPAに加え、米国農務省や食品医薬局(FDA)も遺伝子組み換え作物・食品の規制にかかわる。FDAは、来月、バイテク食品が市場に出される前に局の科学者と協議することを食品メーカーに義務づける規則を公布すると予想されている。

 農務省によれば、今年、米国で栽培されるコーンのおよそ20%がBtコーンで、その栽培面積は1560エーカ−である。

 Reuters,00.8.21

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