農業情報研究所


イギリス:土壌協会、GM実験の緩衝ゾーンで政府は混乱

農業情報研究所(WAPIC)

2002.3.12

 11日、イギリスの有機農業団体・土壌協会(Soil Association)が遺伝子組み換え(GM)作物の花粉の拡散を防止するための緩衝ゾーンに関する政府の態度を批判するPress releaseを発表した。今年は政府によるGM作物フィールド実験計画の最終年にあたり、3月15日には実験サイトで播種が始まる。土壌協会が11日に発表する研究によれば、111の有機農場が44の菜種・ビート実験圃場に近接しており、11日発表されるトウモロコシ実験圃場により、さらに多くの有機農場が影響を受ける。

 政府はGM作物とその他の作物の間の緩衝ゾーンを従来通りに200mとすることを勧奨している。これは、種の純粋性を保護するために、菜種についてEU(欧州委員会)が推奨する5kmの25分の1でしかない。欧州委員会は、それでさえ有機・非有機菜種の種の0.3%がGM作物に汚染されると認めている。GM汚染が広がっている米国ではイギリスの2倍(400m)が緩衝ゾーンとされている。

 土壌協会政策部長のピーター・メルシェットによれば、「政府はGM緩衝ゾーンに関して混沌、混乱状態」にある。政府はイギリスの消費者の非GMの食品を選択する権利を保護するというが、最近の二つの政府諮問委員会は、現在のやり方ではこの選択を不可能にする危険があると言っている。国際有機農業基準も、EUの有機農業基準も、有機食品のGM汚染を排除しており、政府は有機食品の完全無欠を損なわないようにGM実験を監督しなければならない。

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