インド:遺伝子組み換え(GM)棉承認、途上国のGM採用に拍車か

農業情報研究所(WAPIC)

2002.3.28

 26日、インド環境省の遺伝子操作承認委員会(GEAC)3種の遺伝子組み換え(Bt)棉の商業的栽培を承認した。これらの種子は、モンサントが一部出資するMahyco社により製造されたものである。

 承認は、一定の条件つきで、2002年4月から2005年3月までの3年間について与えられる。3品種はMech12、Mech162、Mech184で、インド中・南部で播種される。北部で実験中のMech915は評価が間に合わず、承認が延期された。

 これらのBt棉はインドの綿生産に大きな被害をもたらしている棉実蛾の幼虫に対する完全な抵抗性が立証されており、農薬使用も大きく減らせる。既にBt棉生産を証人している中国との競争上の観点からも、この承認はインド農民に大歓迎されている。EU諸国消費者の遺伝子組み換え品拒否は食品に限定される傾向があるから、輸入国の抵抗も少ないと見られる。

 承認の条件は、非組み換え作物への花粉の流れに対する障壁としての緩衝区の設置である。Bt棉を栽培する農民は、圃場の20%を非GM作物に当てねばならない。各圃場の周辺部に沿い、幅2.5メートルから3.5メートルの5条の非GM棉を植える。従って、小規模農民はGM棉を栽培できないであろう。

 しかし、バンダナ・シバを指導者とするニューデリーの強力な環境保護運動は、承認は多国籍企業によるインドの植民地化を速め、病気はすぐに関連遺伝子への抵抗性を発達させ、長期的にみれば農民の状態を一層悪化させると反発している。

 とはいえ、この承認は途上国におけるGM作物栽培に大きなインパクトを与えるであろう。インドの承認とならび、GM作物に強く抵抗してきたブラジルでも裁判所がGM大豆の商業的栽培を許す判決を下すと予想されている。GEACの承認は、世界の25%の綿作面積をもちながら、生産高では11%にすぎないインド綿作の経済効率の改善の必要性を重視したものと思われる。これは多くの途上国の追随を呼ぶ可能性がある。

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