シンジェンタ社、ゴールデンライスを人道委員会に供与

農業情報研究所(WAPIC)

04.10.15

 シンジェンタ社は14日、新たなゴールデンライスの種子と系統を”ゴールデンライス人道委員会(Golden Rice Humanitarian Board)”に供与すると発表した(Media Release:Syngenta to donate Golden Rice to Humanitarian Board,04.10.14)。これは、米国での最初のゴールデンライス現場実験と収穫が成功裏に完了したことを受けたもので、10月16日の世界食糧デーと国連国際コメ年に足跡を印すものともいう。

 この供与は、様々な地域と途上国における栄養強化のためのコメ育種の基盤を人道目的で提供しようとするものという。供与の対象には、ベータ・カロチンの含有レベルを大きく高めたゴールデンライスと新たな系統の最初の現場実験から得られた科学的結果や、関連技術・権利・研究が含まれる。

 ゴールデンライス人道委員会は、コメにおけるビタミンA前駆物質生産を最初に立証したスイス、ドイツの研究チームのリーダーにより主導され、国際稲研究所(IRRI)、ロックフェラー財団、国際市民団体のHarvestPlus、米国国際開発庁(USAID)などの代表者で構成される。

 発表によれば、シンジェンタ社は人体中でビタミンAに自然に変わることができるベータ・カロチンを含む新たなコメ諸品種を開発した。多くの途上国では、盲目の最大の原因の一つは、子供の食事におけるビタミンAとその他の微量栄養素の不足であり、ゴールデンライスの開発は、一層の科学・規制・社会的実験が必要だが、この問題への取り組みを助けることができると言う。シンジェンタ社は、このプロジェクトを最初から支援しており、今後も支援を続けるが、ゴールデンライス・プロジェクトへの営業的関心はないと断っている。