モンサント、果実・野菜種苗大手を買収 GM技術の消費者売り込みが狙い?

農業情報研究所(WAPIC)

05.1.26

 モンサントが24日、世界最大の果実・野菜種苗育成者・販売者であるセミニス社(米国・カリフォルニア)の14億ドル(約1440億円)での買収を発表した(Monsanto Company to Acquire Seminis, Inc., a Leading Vegetable and Fruit Seed Company)。健康的な食事を求める世界的趨勢に乗じてビジネスを拡大しようとするものだ。モンサントのグラント最高経営責任者は、「果実と野菜の世界的生産、そしてより健康的な食事を志向するトレンドは、過去数年間、着実に成長しているから、セミニスの追加は我が社にぴったりだ」と語る。セミニスは、世界150ヵ国で、栄養強化・味の改良・化学物質使用の削減・生産性引き上げなどを謳うおよそ60種の果実・野菜の3500に上る品種の種苗を提供している。

 モンサントは言うまでもなく遺伝子組み換え(GM)トウモロコシや大豆の種子の最大の供給者だ。だが、当面は果実や野菜の品質を改良する伝統的方法に注力するらしい。しかし、GM果実・野菜の育成は「より長期的な(longer term)」選択肢と言っているとおり、いずれこの分野でもGM種子生産に乗り出すだろう。フィナンシャル・タイムズ紙によれば、シカゴの農業コンサルタント・アグリソースのドン・バース会長は、モンサントが日持ちのする、あるいは病害虫抵抗性の果実・野菜品種に焦点を当てるのではなく、果実・野菜の栄養価を高めるためにバイテクを利用するのは「論理的」だと言う(Monsanto taps health trend with Seminis seed deal,Financial Times,1.25,p.15)。

 この買収は、消費者にとっての便益を売り込むことでGM食品拒否・GM技術不信の世界的「トレンド」を覆そうとするモンサントの戦略の一環と見るべきだろう。