イタリア憲法裁判所 GM作物禁止2州支持の判決 政府の訴えを退ける

農業情報研究所(WAPIC)

05.4.17

 イタリアの憲法裁判所が12日、遺伝子組み換え(GM)作物を禁止した二つの地域に味方する判決を下した。勝利を勝ち取ったのは、2003年に禁止したプーリア州と2004年にこれに追随したマルケ州・アドリア地域である。

 政府は、この禁止はEU法に違反すると憲法裁判所に訴えた。また、政府は、GM作物栽培は環境にかかわる問題で、権限は地域にはなく、州にあると論じた。しかし、裁判所は、この訴えを「明白なエラー」と退けた。政府が引用する2001年のEU規則は、GM作物の「専ら商品化」にかかわるもので、両州の法律は「GM作物の栽培に関係するだけだ」と言う。また、環境に関する国の権限は、このケースでは政府により「ほのめかされた」にすぎないとも言う。

 今年始め、イタリア議会は、GM作物、非GM作物、有機作物の「共存」を律する厳しい法律を採択した。その狙いは、非GM作物、有機作物のGM作物による汚染を防止することにあった。それは、非常に制限された条件の下でしかGM作物の栽培を認めず、GM種子は非GM種子から完全に隔離され、偶然に汚染された農民への補償を要求するものであった。また、GM作物が地方レベルで許されるかどうかを決定する権限を州政府に与えた。

 ベルルスコーニ首相は、これは余りに制限的と反対、業界が作る全国バイテク開発協会も、同様に批難している。だが、イタリアはEUでも指折りの有機農業国だ。消費者のGM食品拒否の姿勢も最強だ。イタリアでは、バイテク農業は特別の強大な抵抗に直面している。今回の判決は、この抵抗に拍車をかけるだろう。緑の党は、この判決が、やはりGM作物に反対している他の13州(全体の20州のうちの)を勢いづけることになろうと言う。