中国開発改革委員会 バイテク産業は中国経済のエンジン 政府支援増強を求める報告書

農業情報研究所(WAPIC)

05.5.23

 China Daily紙によると、中国の国家開発・改革委員会のスタッフが率いる研究チームが、政府は主として農業と保健の分野におけるバイオテクノロジーの研究と応用への支援を増強すべきだと示唆する最終報告を出した。バイテク関連産業は今後の中国経済の奇蹟をささえる新たなエンジンとして称揚されている。内外の中国人科学者は世界の「日の出」産業をリードしており、中国は15年以内に国際的バイオテクノロジーの原動力になることができるという。報告の「新たな国家開発戦略」は、第11期(2006−10年)国家経済社会開発計画と国家中長期科学技術詳細計画に含めることが目指されている(Biotechnology could sustain economy, gov't told,5.23;http://www.chinadaily.com.cn/english/doc/2005-05/23/content_444789.htm)。

 中国農業科学アカデミー会長は、中国はバイテクの世界的中心の一つとなっており、全体的研究開発能力は5年から10年で米国に次ぐものとなると言う。中国のバイテク研究・開発の現状については不透明なところがあり、様々な憶測がある。しかし、この記事によると、中国には、は4万の技術・研究員を持ち、様々なレベルで政府の資金供給を受ける200の中心的バイテク研究所がある。また、26万の動物・植物・微生物変種があり、世界で最も豊かで、多様性に富む生物資源も持つという。

 開発・改革委員会幹部は、この資源を利用して、中国は過去20年に一部分野では既に壁を突破してきたと言い、次のように成果を数え上げる。国際ヒトゲノムプロジェクトに貢献、独自にハイブリッド・ライスの遺伝子グループの塩基配列解読を完了した、また難聴を引き起こす遺伝子や遺伝病の原因となるいくつかの遺伝子を特定し、クローンした最初の国にもなった。害虫抵抗性ワタの研究は国際レベルに達した。この勢いを続けるために、中国はバイテクベースの農業・保健産業に研究労力と投資の焦点を当てる、これは103000万の中国人口にとって不可欠だ、しかし、研究・開発投資と研究結果の産業化にはなお問題があると言う。

 違法GMライスの栽培・販売の露見や害虫抵抗性GMワタに対する害虫の抵抗性発達の知見にもかかわらず、研究者や当局の研究・開発意欲は衰えることを知らないようだ。