タイ 実験GMパパイヤに抗生物質・テトラサイクリン抵抗性遺伝子 

農業情報研究所(WAPIC)

05.6.25

 7月1日付けのバンコク・ポスト紙によると、グリーンピース東南アジアが、タイ・コーンケーンの農業研究試験所で実験栽培されている遺伝子組み換え(GM)パパイヤが、人間の治療によく使われる抗生物質・テトラサイクリンに抵抗性を与える遺伝子を含んでいることを明らかにした(GM papayas in Khon Kaen found unsafe,Bankok Post,7.1)。この遺伝子は、欧州食品安全庁(EFSA)が、「健康への脅威の現実的大きさの考慮とは無関係に、これら遺伝子が改変植物のゲノムに入るのは避けねばならない。実験植物にも、市販植物にも存在してはならない」としているものである(欧州食品安全庁、GM植物における抗生物質抵抗性マーカー遺伝子利用について意見,04.4.21)。

 グリーンピースは昨年7月にこのGMパパイヤの種子を入手、試験所がこれをマーカー遺伝子として使ったことを疑い、この5月、ドイツでの遺伝子スキャンのためにサンプルを送った。検査結果は、この種子がテトラサイクリン抵抗性遺伝子に汚染されていることを示したという。

 同じグループは昨年、同試験所で実験栽培されているGMパパイヤ種子が37県の2500の農民の手に渡っていることを発見している。試験所を急襲、7月にはコーンケーンの民間農場の疑わしいパパイヤを破壊した。政府は、紛争の激化を恐れ、GM作物の屋外圃場実験を一時的に停止する措置を取っている。しかし、試験所内での実験は引き続き許されてきた。

 農業省は実験に関する情報を公開せず、健康への脅威はないと言う。しかし、消費者団体連盟は、農業省が事実をはっきりさせなければ、法的告訴も辞さないと言っている。

 グリーンピースは、タイがパパイヤを含むフルーツサラダをEUや日本に輸出しており、もしGMパパイヤが輸出食品に混入すれば、国の輸出収入に損害を与えると警告している。