モンサント、南米のGM大豆の特許使用料徴収で大苦戦

農業情報研究所

05.8.4

 南米で栽培される除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)大豆の種子の供給社であるモンサント社が特許使用料の徴収で大苦戦している。今シーズンからGM大豆の商業栽培が公式に認められたブラジルでは、特許使用料を種子生産者が徴収、モンサントに渡すシステムが設けられるが、Gazeta Mercantilによると、このシステムに対する種子生産者の猛反対が起きている。この特許使用料は収穫の平均5%というが、既に三つ団体がメンバーにモンサントを契約しないように指導しているという(Seed growers are dissatisfied with royalty charges for Monsanto's transgenic soy;Seed grower,worldgrain.com,8.3)。

  栽培される大豆の95%がモンサントのGM大豆となっているアルゼンチンでも、モンサントが特許使用料を徴収できるのはごく僅かな部分にすぎない。生産者は、モンサントからの種子供給を受けなくても、自家採種で一向に困らない。モンサントはヨーロッパで特許権をもつから、輸出大豆がヨーロッパの港で陸揚げされるときに徴収する提案を行っているが、これに関するアルゼンチン政府との交渉は、長い間デッドロックに乗り上げたままだ。

 モンサントが南米であげる収益は、ほとんどが種子とセットで販売される除草剤からのものでしかない。同時に、ブラジルやアルゼンチンの大豆生産が米国に急迫している原動力の一つは、米国農民が支払う特許使用料を払っていないことにもある。