GM作物の新種補給線は干上がりつつあるーインド紙

農業情報研究所

05.8.22

 インドのThe Hindu Business紙が、遺伝子組み換え(GM)作物の開発補給線が干上がりつつあると報じている。バイテク産業は干ばつ耐性及び健康増進GM作物に焦点を転換してきたが、世界規模のデータはGM作物研究の補給線は枯渇しつつあるという(The Hindu Business,8.22:http://www.indiapress.org/gen/news.php/Business_Line/400x60/0)。

 米国では今年、新たな屋外圃場実験の申請は一件もない。他の国についても、利用できる統計は圃場実験の数の減少が2003年に始まったことを示している。米国の最近のバイテク会議で、公益科学センター所長のグレグ・ジャフ博士は、実験段階にあるGM作物の75%は米国食品医薬局(FDA)の承認を得る過程を完了する、活発に試験を行ってきたのはモンサント、デュポン、シンジェンタの3社だけと語ったという。

 米国農務省(USDA)によると、15件の申請があった1995年以来、申請数は大きく減った。2002年には5件となり、2003、2004年にもほんの僅か増えたにすぎない。カナダでも、閉鎖系でのGM作物圃場実験は、2000年の178件から2004年には64件に減った。EUでは、環境放出[を承認された]GM作物は、1997年の264種から2004年の68種に減った。

 ジャフ博士によると、米国における2000年と2004年の間のGM作物審査は15を数えるにすぎない。実験は、基本的にはワタ、トウモロコシ、大豆、カノーラ(ナタネ)に限られ、しかも除草剤耐性と害虫抵抗性のものだけだ。理由の一つは、特に米国では、審査にかかる時間が長すぎることだろうという。

 1995年から99年まで、FDAが一つの審査にかけた時間は6ヵ月だったが、2000年から2004年にかけては13-14ヵ月かかるようになった。例えば、ラウンドアップ・レディー[大豆?]は6ヵ月で承認されたが、ラウンドアップ小麦の承認には26ヵ月を要した。家畜飼料用アファルファの承認には14ヵ月を要し(2004年4月申請、2005年6月承認)、グリホサート耐性トウモロコシの承認には8ヵ月を要した(2000年1月申請、2000年9月承認)。ちなみに、アルファルファは今年承認された唯一のGM作物である。

 農業専門家によると、新たなGM作物を開発する企業は、新たな品種の承認のために要する時間とそのためにかかる高い費用を懸念している。

 しかし、インドに関しては、少なくとも二つの研究が試験所レベルで行われている。一つは栄養不良問題を克服するための葉酸増強イネ、他の一つはタバコ条斑ウイルスに免疫をもつgroundnut一品種という。

 その他、特にリンゴ、バナナ、小麦が研究されている。デュポンはグリホサート耐性作物を開発中、モンサントはコドリンガ抵抗性のリンゴを開発中である。