中国研究者 コメの耐塩遺伝子のクローンに成功 耐塩イネ品種開発に希

農業情報研究所(WAPIC)

05.9.14

 xinhua.netの報道によると、中国の研究者がコメの耐塩機能遺伝子(SKC1)のクローンに成功した。その利用により、国のコメ産出高を引き上げ、安定させることが期待される。研究計画に参加した上海生物科学アカデミー植物分子研究所のLin Hongxuan(林鴻宣)氏は、クローンされたSKC1遺伝子をもつ耐塩イネ品種が開発されると語ったという。研究結果は10月に"Nature Genetics" 誌に発表される。

 Salt-resistant gene of rice cloned,xinhua.net,9.13
 http://news.xinhuanet.com/english/2005-09/13/content_3484456.htm

 林氏によると、この遺伝子は上海地域土着の古い耐塩イネ品種からクローンされた。それは、イネの地上部のナトリウムとカリウムの含有量を制御、バランスを保ち、過剰な有害水素が茎と葉に蓄積する のを防ぐ。イネがナトリウムの過剰な環境で育つとき、大量の水素化ナトリウムがイネの地上部に蓄積しやすい。SKC1遺伝子は水素化ナトリウムを根に戻すのを助け、ナトリウムの害を減らすことができる。それは水素化ナトリウムを運ぶが、水素化カリウムは運ばない。このために、過剰な水素化ナトリウムが根に運ばれ、水素化カリウムが地上部に流れ戻る十分な余地が与えられるのだという。

 林氏は、交配を通じてSKC1遺伝子を高品質のイネに注入するために、農業部と協力することを望んでいる。中国には世界の10分の1に相当する1億haの塩−アルカリ土壌がある。中国のおよそ800万haの耕地が深刻な塩化被害を蒙っており、その面積は化学肥料の過剰な使用とうち続く干ばつのために拡大しつつあるという。