GM作物栽培15年後にも栽培地が汚染 ”共存”は不可能ー英国の新研究

農業情報研究所(WAPIC)

05.10.12

  英国・インディペンデント紙によると、ロイヤル・ソサイエティー(王立協会、英国科学アカデミー)が発表した研究で、遺伝子組み換え(GM)作物が収穫後15年間にわたり田園を汚染していることが明らかにされた。

 GM crop 'ruins fields for 15 years',The Independent,10.9

 この研究は未見であるが、同紙の報道によると、これはGM企業と環境食料農村省(DEFRA)の資金で行われた研究で、採油用GMナタネが栽培されてきたイングランドとスコットランドの5つのサイトを調べた。GMナタネを1回栽培した9年後、1uあたり平均2つのGM作物植物体が発見され、15年後には平均1つとなったという。

 このことは、GMナタネを1回栽培すると、非GM作物に戻しても15年は相当量のGM作物が混じってくること意味する。研究は、「ナタネ種子の長期にわたる土壌中への残存に関連したあり得る深刻な問題を明らかにした」と結論しているという。1uあたりでこれだけのGM作物の残存は、EUのGM汚染限界(0.9%)を超えるに十分な量である。

 同紙は、政府はGM作物と非GM作物の”共存”を可能にするルールができるまではGM作物は栽培すべきでないとしているが、この研究は”共存”が実際には不可能であることを示すと書いている。