イリノイ・ファーム・ビューロー ラウンドアップ・レディーGM大豆の自家採種承認を要求

農業情報研究所(WAPIC)

05.12.9

 米国大豆の5分の1を生産するイリノイ州のファーム・ビューロー(web)が、モンサント社の除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)大豆(ラウンドアップ・レディー大豆)の自家採種を希望、1年から2年の特許使用料支払のストップを要求している。7日夜に決議したもので、これは、モンサントが特許種子の販売を始めて10年、GM種子特許権に挑戦する大規模大豆生産州の初めての試みという。地方紙・セントルイス・ポスト・ディスパッチが報じた。

 Illinois farmers want to be able to keep some patented seeds,St Louis Post-Dispatch,12.7http://www.stltoday.com/stltoday/business/stories.nsf/story/6A430B03BE2B2ACF862570D00037F39A?OpenDocument

 この報道によると、農民は燃料と肥料のコストの高騰に苦しみ、後年に使用するために自家採種する”ブラウン・バッギング”と呼ばれるやり方で費用を節約することを望んでいる。モンサントとのこの種子の使用契約はこの慣行を禁じているが、南部イリノイでは、この慣行をめぐる4件の訴訟がモンサントとの間で争われているという。

 モンサントのスポークスマンは、「我々は長期的に技術へのアクセスを失う農民は危機に瀕する。特許は発明を保護し、投資と革新を保証する」と言う。しかし、全米ファーム・ビューローも数年前に同様な決議を行っている。そのバイテク問題に関するスポークスマンは、ここの農民は世界のどこの農民よりも高い種子費用を払っている、ブラジルやアルゼンチンでは”ブラウン・バッギング”が行われており、不公正だと言う。

 イリノイ・ファーム・ビューローの決議は、議会は植物品種法を修正するならば、農民が特許種子で育てられた植物からの種子を保存し、特許使用料の支払を減らすことを許すべきだ、農民は自分の農場でのみこの種子を利用でき、販売することは許されないと述べる。セントルイスのメトロ・イースト内とその近傍の6郡の農民代表者は、決議は公正と考える、自分が代表する農民は、今やGM種子以外の種子を見つけることは難しいと言っていると話す。この決議は、イリノイ全体の地区からの357人の代表者が35分の論議を経て採択した。

 なお、この大会では、WTOに関しても、政府が各国、特に日本、韓国、EUの農産物関税と補助金の削減を勝ち取ることを要求する声明も採択された。さらに、不作や価格下落の際に米国農民を保護する一定の形態の”収入保険”を支持、また土壌・動植物生息地の保全を行うための環境支払の強化も要請したという。