南アフリカ ゲイツ財団支援の栄養強化GMソルガム実験を拒否 野生種汚染の恐れ

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.21

 南アフリカが鉄・亜鉛・ビタミンの含有量を増やす遺伝子組み換え(GM)ソルガムの実験を阻止した。この実験は、”ビル アンド メリンダ ゲイツ財団”が5年間で1860万ドルを提供する栄養強化ソルガム開発プロジェクトの一環をなす。”アフリカ・ハーベスト・バイテク財団”を率いるケニアの科学者・フロレンス・ワムブグが、ケニアにはGM作物に関する法的ガイドラインや政策枠組が欠如しているために、南アフリカの温室での実験を申請していた。ところが7月12日、南アフリカ科学・産業研究評議会(CSIR)がこの申請を却下した。GMソルガムが野生種を汚染することを恐れたためという。

 South Africa: SA's Biosafety Regime,Business Day via AllAfrica.com,7.20

 報道によると、南アフリカのGM物質を監視する役割を持つ農業省遺伝資源管理局執行委員会は、アフリカバイテクソルガム・プロジェクトは、CSIRの施設が南アフリカで育つ野性ソルガムの偶然の汚染の防止を十分に保証できないから却下されたと明確に述べた。これは、施設が受忍できるレベルに改善されれば許可が与えられるか、少なくとも申請が再考されることを意味する。

 しかし、ソルガムは、南米が原産のトウモロコシと異なり、アフリカに土着の植物で、その多様性の中心であり、南アフリカで栽培されるソルガムの近縁種が未だ存在する。従って、南アフリカでGMソルガムの商業栽培が承認されることは極度にありそうもないという。

 ただし、CSIRは、このプロジェクトにかかわる7つの研究機関のうちの一つにすぎず、この共同研究体にはGMソルガムが世界中の貧しい人々に利益をもたらすだろうという信念がある。ソルガムは世界の5億の人々の基本食料となっており、土地が痩せた半乾燥地域での栽培に十分に適合するが、必須のビタミンやミネラルを欠いている。

 ワムブグは、南アフリカ当局が二回目の申請を許可することを期待している。彼女は、プロジェクトはGMソルガムを封じ込めるための”バイオセキュリティー”措置の強化を求められている、この条件が満たされれば間違いなく再申請すると言う。

 South Africa halts 'super sorghum' study,SciDev,7.20