農水省 GM花粉症緩和米の食品としての開発を断念の報道

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.2

  読売新聞(07年3月31日・夕刊、またはYOMIURI ONLINE:07.3.31;14:37)の報道によると、農林水産省が遺伝子組み換え(GM)”花粉症緩和米”の食品としての開発を断念、医薬品として開発することに決めたそうである。

 厚生労働省が今年1月、農水省所管独立行政法人・農業生物資源研究所が食品としての開発を進めている花粉症緩和米は治療効果を目的にしており医薬品として扱うべきとの最終判断を下した。これを受けての計画変更で、農業生物資源研究所は06年度のヒト試験を先送りし、交付されていた約5000万円を国庫に返納する。

 医薬品を開発する場合は、副作用や有効性を厳密に検証するための治験が必要で、治験の準備から医薬品としての認可まで5年以上かかるのが一般的、2010年を目指していた花粉症緩和米の実用化は大の幅に遅れそうだという。

 花粉症緩和米を不特定多数の花粉症患者が食品として利用することになれば、とんでもない重篤なアレルギー症状が現れないともかぎらない。極めて常識的なこのような懸念を無視、専ら消費者にGM食品を売り込むことだけが目的ではないかとさえ見える無謀で、危険な開発に歯止めがかかったことを取りあえず歓迎したい。

 とはいえ、開発は続く。米生産者や消費者は食用米への混入や汚染を恐れ続けねばならない。