中国研究者 高収イネ育成が容易に コメ粒のサイズ・重量を決める遺伝子を発見 

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.13

 中国研究者がコメ粒の幅・重量を増し、植物単位あたりのコメ収量を増加させるイネ遺伝子を初めて確認し、そのクローンを作り出したと発表した*。世界で最も重要な食料作物の高収量品種の開発に役立つ可能性があるという。

 研究者は穀粒のサイズが大きく異なる二つのイネ品種(サイズが大きいジャポニカ種とサイズは小さいが品質が優れたインディカ種)を研究した。それらのゲノムをマッピング、大粒品種のなかに小粒品種には欠けているGW2と呼ばれる遺伝子を発見した。そして、GW2遺伝子を小粒品種に導入して作り出した新品種で、穀粒の幅と重量が増し、植物1単位あたりの穀物収量は20%増えることを発見した。さらに、この高収量品種の調理または食味特性が通常のコメとほとんど変わらないこともわかったという。研究者は、GW2遺伝子が細胞分裂を調整することで穀粒のサイズに影響を与えると考えている。

 この発見が直ちに高収量品種の開発と実用化に結びつくわけではない。実際の収量には多様な環境要因が関係するから、様々な環境条件下でのテストも必要になるだろう。とはいえ、研究者は、これが遺伝子操作を通しての穀物収量の改善に不可欠な種子発達(種子の最終的なサイズと重量の決定)の遺伝的メカニズムの理解に向けた最初のステップであり、「GW2遺伝子(及びトウモロコシ、小麦などの他の穀物におけるその相同たんぱく質)は基礎食料作物の収量改善のための育種努力を容易にするだろう」と言う。

 * Xian-Jun Song, Wei Huang, Min Shi, Mei-Zhen Zhu & Hong-Xuan Lin, A QTL for rice grain width and weight encodes a previously unknown RING-type E3 ubiquitin ligase,Nature Genetics,Published online: 8 April 2007
  http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/full/ng2014.html

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Chinese scientists identify gene controlling rice size, weight,xinhua.net,4.12
 http://news.xinhuanet.com/english/2007-04/12/content_5968666.htm