フィリピン裁判所 バイエル社のGM米承認に一時差し止め命令

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.22

 フィリピンの裁判所が9月18日、フィリピン農業省と植物産業局(BPI)に対し、バイエル・クロップ・サイエンス社による除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)米(LL62)導入申請の承認を一時的に禁止した。グリーンピース、コミュニティー・エンパワーメント東南アジア地域イニシアティブ(Searice)などの訴えに応えた。

 バイエル社は2006年8月、食料、飼料、その他の製品の製造のためにこのGM米を導入することを認めるようにBPIに申請した。これに対し、グリーンピース等は、特にフィリピンの法律で義務づけられた公開協議が欠如しているとして、今年8月23日、承認の差し止めを求める訴訟を起こした。この訴えは、フィリピンにおけるGM植物の承認手続の見直しも追求する。

 裁判所の声明は、命令が「このケースのメリットが審問されるまで、現状を保存する」と言うが、新たな審問の日程は設定していない。

 グリーンピース等は、この米は人が食べて安全とは決して証明されておらず、環境と人間の健康に重大なリスクを生むと主張している。

 他方、バイエルは、このGM米は人が食べて安全、カナダ、EU、日本、メキシコ、ロシア、米国で商業的に利用できる除草剤耐性付与蛋白質を生産すると言っている。また、多くの試験で、雑草のようにむやみにはびこる性質や他の生物への悪影響がないことも確認されたとも言っている。

 Court halts introduction of GM rice in the Philippines,SciDev.net,9.20
  http://www.scidev.net/content/news/eng/court-halts-introduction-of-gm-rice-in-the-philippines.cfm