オーストラリア最大の食品会社 GM作物禁止解除反対 競争力喪失を恐れる

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.12

  オーストラリア最大の食品会社の一つであるグッドマン・フィールダー社(Goodman Fielder)が遺伝子組み換え(GM)作物導入反対派に加わった。

 4年間のモラトリアムが来年2月29日に期限切れとなるのを機に、ビクトリア州政府はGMカノーラ(ナタネ)の禁止を解くかどうか考えている。今週の州閣議でこの問題が取り上げられるが、反対グループ・Gene Ethicsによると、12日朝、禁止解除に反対する200以上の企業のリストと無期限禁止を望む1万5000人からの葉書がジョン・ブランビー州首相に手渡される。グッドマン・フィールダーもこのような反対運動に合流したということだ。

 同社は11月1日にビクトリア州首相だけでなく、他の州の首相にも送った書簡で、「消費者は、GM物質消費のあり得る長期的影響をめぐる不確実性をますます心配するようになっている」と警告した。

 この書簡で、同社のピーター・マージン最高経営責任者は、GM作物が一旦導入されれば決定は決して覆すことができないと警告、次のように述べているという。

 「私は州の現在のGM作物モラトリアムを維持するように要請する」。

 「我々の製品はあらゆる食事に含まれ、、我々は毎日、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島のおよそ3万のスーパー、コンビニ、食品サービス業者に製品を配送している」。会社の経験からすれば、「大部分の消費者がGMでない食品を選んでいる」。

 「グッドマン・フィールダーは、かつてなくグローバル化した世界で、オーストラリアの現在のGMフリー生産者としての地位が、会社に本質的な国際競争上の優位を与えている」。

 西オーストリア州のキム・チャンス農相は、このグッドマン・フィールダーの要請を支持する声明を出した。

 西オーストリア州はGM作物禁止の解除に反対しているが、他の州は禁止解除に傾いている。

 ブランビー・ビクトリア首相は、以前からGM技術支持を表明してきた。禁止解除の農業者や輸出への影響を評価する首相任命の”独立委員会”の報告が農相に送られ、今月末には首相が禁止に関する発表する予定だ。しかし、この委員会の委員長自身が昨年、ABCラジオで禁止解除の支持を表明していることから、委員会の”独立性”は疑わしいという。

 Food giant enters fight to keep GM bans,The Age,11.11