タイ 洪水・干ばつ・塩害・病害虫耐性イネを開発中 GM技術は無用と研究者

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.20

 タイの研究者が、洪水・干ばつ・塩害に耐え、一定の病害虫にも耐性のジャスミン米を、伝統的交雑育種を補強する”遺伝子マーカー技術”を利用して開発している。今までに実験された米はおよそ3週間の洪水とトビイロウンカ・イネ白葉枯病に耐えた。

 研究者は、今、塩害と干ばつにも耐えられるようにする遺伝子を探しており、2012年までにはこれらすべての耐性遺伝子を持つ”スーパーライス”が発表できると期待している。タイ国家植物品種委員会のSurawit Wannakrairoj委員は、この結果は、タイが遺伝子組み換え(GM)技術の利用を必要としていないことを示すと言っているそうである。

 Research 'toughening up' Thailand's jasmine rice,SciDev.net,11.19
 http://www.scidev.net/content/news/eng/research-toughening-up-thailands-jasmine-rice.cfm

 研究は、インドの在来イネ品種の中に洪水耐性遺伝子を確認した1998年に始まった。2001年には屋外圃場実験を実施、昨年はタイ北部の農民に洪水体制イネ種子を配った。他方、研究者は、その形質を洪水耐性イネに結合するに先立ち、トビイロウンカとイネ白葉枯病に対する耐性遺伝子を持つスリランカの野生イネと国際イネ研究所(IRRI)の標本からのイネを交配した。

 IRRIのDuncan Macintosh報道官は、洪水耐性イネの開発はいくつかの国でうまく進んでいるから、タイでの成功にチャンスは大きい。「しかし、ジャスミン米の品質の維持が大きな課題になるだろう」と言っているということだ。