殺虫性GMトウモロコシの急拡大 米国生産者団体が害虫の抵抗性発達に危機感

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.22

  米国トウモロコシ生産者団体が、殺虫性遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの大々的普及による害虫の抵抗性発達への警戒を強めている。今年のトウモロコシ収穫が終わり、生産者が来季の種子購入・作付計画を決める時期となった11月19日、全国コーン生産者協会(NCGA)が、 作付地の20%を非Btコーンの害虫”避難地”に当てるという害虫抵抗性発達を遅らせるための環境保護庁(EPA)ルールの厳守を訴える緊急リリースを出した。

 第一線科学者たちは、抵抗性の脅威は現実的で、適切な避難地の設置が現在利用できるの製品の延命の確保を助けると合意している、この技術の失うことになれば、収量減少と殺虫剤使用の増加を通して、米国農業者に何十億ともしれない損害をもたらすと警告する。

  IMMEDIATE RELEASE:NCGA Urges Growers to Include Refuge Planning in Seed Purchase Decisions,NCGA,07.11.19
  http://www.ncga.com/news/releases/2008/news111907.asp

 マーチン・バーブルNCGAバイテク作業グループ長は、大多数の生産者はルールを守ってきたが、Btトウモロコシが大人気を得た今、避難地の義務に従うことがかつてなく重要になっていると言う。 ルールを守っていても抵抗性発達は遅れるだけ、いずれ現在の技術は使い物にならなくなる。Btトウモロコシが増えるほどに、その時期は早まるだろう。まして、猫も杓子もBtトウモロコシとなれば、ルール破りの危険も増す。

 2007年、米国のトウモロコシ作付面積中のBt作物(除草剤耐性と害虫抵抗性の両方の形質を持つものも含む)作付面積の比率は、前年の40%から49%へと急増した。中でも、イリノイ、アイオワ、サウスダコタでは59%にも達した(下図参照)。この緊急リリースは、抵抗性発達が差し迫った現実的脅威となってきたという危機感を反映するものであろう。

Data Souce:USDA:NASS