. 生態工学はGM作物よりも安価で有効な害虫防除長期戦略を提供

農業情報研究所(WAPIC)

08.12.10

  ドイツ・ヘルムホルツ環境研究センターのJosef Settele等3人の研究者が、生態工学(ecological engineering )は遺伝子組み換え(GM)作物よりも低コストで、一層効率的な害虫防除長期戦略を提供すると論じている。

 Josef Settele et al.,Switch to ecological engineering would aid independence,Nature,450,570 (4 December 2008)
 http://www.nature.com/nature/journal/v456/n7222/full/456570a.html

 灌漑稲作における生物学的防除は、生物多様性を増やすことがどれほど人間に対する基本的サービスを提供できるかを示す卓越した例だ。稲害虫は、景観管理と結合した減農薬で有効にコントロールできる。フィリピンの国際稲研究所(IRRI)の研究圃場で、この戦略は殺虫剤施用のほぼ完全な廃止につながった。

 著者たちによると、GM稲と異なり、生態工学は、害虫防除を大企業に依存することによって途上国農民の独立性を奪い取ることもない。稲のようなよく研究された作物では、生態工学はすぐにも実施できる。将来の研究は、他の基本的作物の持続可能な管理スキームの開発に焦点を当てるべきだ。

 これは、中国における殺虫性GM稲導入の効用を考えるNature誌の以前の記事*に触発されて書いたものという。

 *Agriculture: Is China ready for GM rice?,Nature News,9.15
  http://www.nature.com/news/2008/081015/full/455850a.html