GM作物拡大で米国に広がる除草剤耐性・害虫抵抗性自生コーン 雑草・害虫管理に新た難題?

農業情報研究所(WAPIC)

09.8.15

 米国・パーデュー大学のChristian Krupke助教授(参照:バイテク企業がGM作物の独立研究を阻む 26人の害虫専門家がEPAに直訴.09.2.21)が率いた新たな研究によると、GMコーン・大豆が「北米の農業景観を支配し、バイオ燃料のためにますます重要性を増しているが」、これに伴い除草剤耐性の自生コーンが広がり、コーン-大豆輪作システムの雑草として大きな問題となってきた。

 研究は、これら自生コーンが除草剤(グリホサート)耐性遺伝子を持つだけでなく、殺虫性を持つBt蛋白質も発現させることを示した。また、害虫抵抗性(Bt)GMコーンの標的害虫でウエスタン・コーン・ルートワーム(WCR, Diabrotica virgifera virgifera LeConte)によるこれら自生コーンの高レベルの被害も示された。 これは、このような自生コーンの広がりを通して、Btコーンに抵抗性を持つ害虫が急速に増えていく可能性を示す。

 研究者は、「これは、自生除草剤耐性Btコーンが雑草管理と害虫抵抗性の管理の両方に問題を提起する可能性があることを示す。それは、コーン・ルートワームのBt抵抗性の一層急速な発達を促すからだ」と結論する。

 Christian Krupke et al.,Volunteer Corn Presents New Challenges for Insect Resistance Management,Agronomy Journal,Published online 2 June 2009
 Abstaract: http://agron.scijournals.org/cgi/content/abstract/101/4/797

 いま全盛の除草剤耐性・害虫抵抗性GM作物も、結局のところ、雑草・害虫管理を一層難しくしただけなのかもしれない。農業バイテク企業は、この問題にどう答えるのだろうか。