農業情報研究所(WAPIC)農業バイテクニュース10年8月6日

米国野生地に2種の除草剤耐性GMキャノーラが定着 米国初の発見

 ”Nature News”が伝えるところによると、遺伝子組み換え(GM)キャノーラ(Brassica napus ナタネ)が米国・ノースダコタの野生地で自生しているのをアーカンソー大学の研究チームが発見した。日本、イギリス、カナダなどで既に発見されていることからすれば少しも驚くべきことではないが、この分野の研究資金を欠く米国では初めての発見という。

 野生地で発見されたのはモンサント社のラウンドアップ(グリホサート)とバイエル・クロップ・サイエンス社のリバーティ(グルホシネート)に耐性の二つの種類の除草剤耐性GMキャノーラ、野生化したこれらGMキャノーラが農業生産地域から遠く離れた道路、ガソリンスタンド、食品雑貨店に近い土地に自生していた。

 研究者は今年6月4日から7月30日まで、ノースダコタの道路沿い8キロメートルごとに植物のサンプルを取った。各地点のBrassica napusの数をカウント、一つを採集してどちらかの除草剤に耐性を与える蛋白質の有無を検査した。検査された288のサイトの半分近くでBrassica napusが発見され、そのうち、少なくとも80%が除草剤耐性だった(41%はラウンドアップ耐性、40%がリバーティ耐性)。二つは両方の除草剤に耐性だった。これら野生化した集団は、栽培用GM種子が輸送中にトラックからこぼれて定着した可能性がある。

 研究者によると、両方の除草剤に耐性の植物の発見は、「野生化したキャノーラの集団が数世代にわたってランドスケープを構成してきた」ことを示す。これらが何らか生態学的結果をもたらすものかどうか確認する必要があるが、農家にとっての雑草問題になる可能性があるという。

 GM crop escapes into the American wild,Nature News,8.6
 http://www.nature.com/news/2010/100806/full/news.2010.393.html