農業情報研究所農業バイテクニュース:2013年6月17日

米農務省 GM小麦事件は一農場の一圃場の孤立した一事件 しかし何故そこにGM小麦が

 米国農務省(USDA)が15日、除草剤GM小麦がオレゴン州の農場で発見された事件につき(米国・オレゴン州の農場で除草剤耐性GM小麦発見 風評被害恐れる米農務省)、このような事件が”一つの農場の一つの圃場における一つの孤立した事件”( a single isolated incident in a single field on a single farm)以上のものであることを示すような事は、今までのところ何も発見されておらず、また報告されてもいないと発表した。販売されたGM小麦の存在を示唆する情報もまったくないという。

 調査官は圃場で小麦を収穫する人や生産者に種子を販売する人とのインタビューを行った。生産者に販売された小麦種子のサンプルや生産者が収穫した小麦のサンプルも入手した。これらすべてのサンプルを検査したが、GM物質は検出されなかった。さらに、およそ200のエリアの生産者とのインタビューを続けているという。

 Statement on the Detection of Genetically Engineered Wheat in Oregon,USDA,6.14

 しかし、オレゴン州の一農場の一圃場に何故このGM小麦があったのか、調査はこの問題には答えていない、あるいは答えようとしていないようだ。肝心なこの問題の答えが出なければ、同じ小麦がまだどこかに広がっているのではないか、販売された(る)小麦のなかに混じっているのではないかといった疑念を完全に払拭することはできないだろう。

 小麦は自家受粉植物であり、一般的には、花粉の飛散を通しての遺伝子汚染は起きにくいとされている(たとえば→EU:欧州環境庁(EEA)、GM作物花粉による遺伝子移転に関する報告を発表,02.3.28)。ただ、絶対にないと言えるかどうか。たとえば、たまたま近縁雑草への遺伝子移転が起き、広がった除草剤耐性雑草から非GM小麦への移転が起きた。こうした花粉を通じての遺伝子移転の可能性も含め、あらゆる汚染ルートの徹底的調査が必要だ。