農業情報研究所農業バイテクニュース:2014年1月5日

米農務省 枯葉剤成分2,4-D抵抗性GMトウモロコシ・大豆承認を提案

 米国農務省(USDA)動植物検疫局(APHIS)が1月3日、2,4-Dとグリホサートの両方に抵抗性を持つダウ・アグロサイエンス社の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ・大豆の商業栽培承認を提案、パブリックコメントを求めると発表した。

 USDA Seeks Public Review and Comment on Draft Environmental Impact Statement for Herbicide-Resistant Corn and Soybeans,USDA-APHIS,14.1.3

   2,4-Dは生育初期の作物に対して有害であることから、トウモロコシや大豆の栽培への利用を制限されてきた。しかし、APHISはこのGMトウモロコシ・大豆について、全生育期にわたってり 2,4-Dを使っても作物にリスクはないと結論した。唯一の心配は作物が2,4-D抵抗性を発達させることだが、これはグリホサート同様に避けられないことであり、承認拒否の理由にならないという。農家は大歓迎の決定だ。

 ただ、2,4-Dはベトナム戦争時に枯葉剤として使われたオレンジ剤の成分として知られ、従軍した兵士たちに深刻な健康問題を引き起こした元凶ではないかと疑われているが、研究者は2,4-Dはこの問題の元凶ではなく、枯葉剤の他の成分であるダイオキシンこそ真犯人ではないかとしている。この承認がもたらす2,4-D使用増大の健康・環境リスクをどう評価すべきか、激しい論争が巻き起こるだろう。ただ、このリスク評価はAPHISではなく環境保護局(EPA)の管轄である。EPAは現在、このリスク評価を進めているという。

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 US government might deregulate corn, soybean seeds(AP),MAINICHI,14.1.4

 このリスクの懸念が取り払われたとしても、抵抗性発達が避けられないとなれば、この遺伝子組み換え戦略も、結局は一時しのぎにすぎない。工業的農業、こんな綱渡りをいつまで続けるつもりだろうか.