農業情報研究所農業バイテクニュース:2014年2月24日

GM農業促進のため、ヨーロッパ研究者・政治家がアフリカ詣で

  イギリス・ガーディアン紙が報じるところによると、ヨーロッパの科学者と政治家が遺伝子組み換え(GM)作物のアフリカ大陸への導入を促進するためにエチオピアを訪れる。European Academies Science Advisory Council (Easac)が今週、EUとアフリカの科学者の協同によって「アフリカ大陸で作物が一層容易に育てられるようする」のを助ける会合をアディス・アベバで開く。この会合にはエチオピア、ケニア、ガーナ、ナイジェリアの農業大臣やアフリカ同盟の役人のほか、欧州委員会のチーフ科学アドバイザーその他のGM研究者と、ドイツ、ハンガリー、イタリア、スウェーデンを含むヨーロッパ諸国の政治家が大挙して押しかけるという。イギリスのパターソン環境相は、貧しい国がGM技術を利用できるようにしないとしたら、「不道徳的」だと言っているそうである。

 しかし、批判者によると、この会合は、農民にとって良いか悪いかに関係なく、政府レベルでGM農業を促進しようとする試みにすぎない。これは、「食料安全保障と栄養のための新同盟(New Alliance for Food Security and Nutrition)」の活動の一環であり、この同盟はアフリカの農業生産の加速を目的としているが、農民は「植民地主義の新たな形態」だと批判している。食料への権利に関する国連特別報告官、オリヴィエ・ドゥ・シュッテルは、アフリカは大規模商業的農業の最後のフロンティアだ、「ここには土地、投資、種子をめぐる争闘があり、そして第一に、真っ先に、政治的影響力をめぐる争闘がある」と言っている。

 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によれば、アフリカでは南アフリカがGM食料作物を、ブルキナ・ファソとスーダンがGM棉を作っている。他の7ヵ国―カメルーン、エジプト、ガーナ、ケニア、マラウィ、ナイジェリア、ウガンダがフィールド試験を行っている。2017年には最初の干ばつ耐性トウモロコシが栽培されると予想されている。

 最新(2013年)の数字では、世界のGM作物の77%は米国(40%)、ブラジル(23%)、アルゼンチン(14%)の3ヵ国で栽培されている。さすがガーディアン紙、最後に、「除草剤耐性スーパー雑草の出現をめぐる懸念が世界中に広がっている」と付け加えるのを忘れていない。

 GM crops: European scientists descend on Africa to promote biotech,Guardian,14,2.24