GM作物 増収効果も農薬削減効果もなし ニューヨーク・タイムズが徹底検証

 

農業情報研究所農業バイテクニュース: 2016年10月30日

 

 GM作物をめぐる論争は長い間、その食品としての安全性に焦点を当ててきた。しかし、わが紙の調査で、GM作物の最大の売りである作物増収効果も農薬削減効果も疑わしいことが分った。何のメリットもなく、おまけに食品安全への不安も根強く残るGM技術への需要が伸び悩み、バイエルとモンサントの合併劇を生んでいるのも当然の成り行きだ。本日(10月30日)付のニューヨーク・タイムズ紙がそんな議論を展開している。

 

 Doubts About the Promised Bounty of Genetically Modified Crops,The New York Timjes,16.10.30

 

 米国のデータを使った同紙の分析によると、米国とカナダの作物収量は、フランスやドイツのような近代化された農業を持つ西欧に比べて区別できるほど伸びているわけではない(ナタネ、コーン、シュガービートの収量米欧比較グラフを見られたい)。最近の米国科学アカデミーの報告も、「米国におけるGM作物の導入が通常作物を超える収量増加につながった証拠はほとんどない」と言っている。

 

 他方、米国における除草剤使用は、コーン、大豆、綿花のような主要作物がGM品種に転換されたにもかかわらず、増加している。除草剤や殺虫剤を含む農薬の使用削減において、米国はGM作物が導入されていないフランスに遠く及ばない。

 

 米国ジェオロジカルサーベイのデータによれば、20年前にGM作物が導入されて以来、米国における殺虫剤、殺菌剤の使用は3分の1に減ったが、これら農薬に比べてはるかに大量に使用される除草剤の使用は21%増加している。フランスでは対照的に、殺虫剤、殺菌剤の使用が65%減少した上に、除草剤の使用も36%減少した。

 

 GM食品を食べることによる健康への悪影響については、大抵の場合、科学的根拠がない。しかし、農薬の有害性は研究者の注目の的だ。農薬は毒性を持つように設計されており、発達遅滞や癌につながっている。ハーバード大学公衆衛生スクールのデヴィッド・べリンガー教授は、大部分は知られていないこれら化学物質がアメリカの5歳以下の子供のIQ(知能指数)1700万ポイントの損失をもたらしていると言う。

 

 これらの発見を突き付けられたモンサントの最高技術責任者は、そんな調査は自分に都合のいいデータだけを拾い上げたもの、「農民は誰でも賢いビジネスマン、大きな利益を生まない技術には金を払わない、バイテクは明らかに収量を大きく増大させた」と言っている。除草剤について、モンサントは「農民が次々出現する新たな雑草問題の最善の管理方法を採る一部地域では全体として増加し得るが、環境が異なる別の地域の農民は除草剤使用を減らすか維持している」と言っているそうでである。(以下は省略。興味ある人は原文をお読みください)