日本農業:各地の動き:新聞報道から過去1週間):農業情報研究所

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2017年5月27日

津軽在来3品種継続に挑戦/弘実高 陸奥新報 17.5.26

市民農園つくり隊 耕作放棄地をボランティアが再生 鹿児島市 南日本新聞 17.5.25

北海道(top)

夕張メロン、産地再興へ戦略 担い手確保し増産・輸出拡大 北海道新聞 17.5.27

 夕張市と夕張市農協、道は26日、夕張メロンの生産体制の強化を目指して連携する「夕張メロン産地再興戦略」を策定したと発表した。減少する作り手を確保しつつ、ブランド力を向上させ輸出拡大に取り組む。

 夕張メロンは甘みが強く、国内外で需要が高まっており、増産が求められている。しかし、生産者の高齢化や労働力不足に伴い、ピーク時に200を超えた農家戸数はほぼ半減し、作付面積も減り続けている。

「幕別米」商品化へ 食創 帯広 十勝毎日新聞 17.5.24

 米卸し道内大手の食創(帯広、竹森直義社長)は、現在十勝ではほとんど作られていない「うるち米」の販売促進に力を入れている。数少ない産地である幕別町の農家と組み、稲作体験ツアーを初めて企画したほか、秋には幕別米の商品化も計画している。

 畑作で知られる十勝では米生産のイメージは低い。食創によると、減反政策によって現在は細々と生産を続ける農家が点在している状況。地域伝承授業の一環で、学校の児童らが栽培するもち米や、地酒造りに使う酒米が知られているが、うるち米を作る農家も複数軒ある。
 長年うるち米を作り続けている幕別町内の農家内野康晴さん(37)の存在を食創が昨年知り、連携を計画。昨年試験的に一部を買い取って業務中心に取引し、会社としてPOP広告も作製するなどPRしてきた。
 「コメ業者にもかかわらず、十勝でコメを作る農家の存在をあまり知らなかった。十勝のコメをもっと地元に知ってもらいたい」と、営業部の山地聡次長は話す。
 今年度は内野さんと連携し、初の試みとして28日に親子対象の田植えツアーを開催する。内野さんは「ななつぼし」を生産している。募集後すぐに定員に達し、11家族36人が参加予定。収穫時にも同様のツアーを予定している。
 また、今年は内野さんが栽培する約8900平方メートルのうち、ほぼ全量を買い取る予定で、「幕別米(仮称)」としてブランド化して独自のパッケージを作成し、販売していくことも予定している。
 竹森社長は「これまで道内産地のブランド米として商品化はしてきたが、十勝に特化した販促活動は初めて。減反政策で生産維持自体が苦労する中、作り続ける農家を地産地消の観点で支援したい」としている。

復旧の畑 喜びの春 台風被災 は種こぎつけ 十勝 十勝毎日新聞 17.5.22

 昨夏の台風で被災した管内の農地で、農作物のは種作業が行われている。土砂の撤去や客土が終わり、この春の作付けに間に合った畑で、農家は営農再開を喜びながら作業に励んでいる。
 管内では、河川の氾濫で農地に土砂が流れ込み、表土が流失する被害が出た。国の災害復旧事業の対象になったのは、帯広や芽室、清水を中心に管内6市町の114カ所、291.6ヘクタールに上る。
 道によると、客土には河川の掘削土を活用し、うち130ヘクタールが今春の作付けに間に合う計画だ。
 芽室町芽室南5線の吉井卓也さん(42)は、被災した3ヘクタールを含む9ヘクタールの畑が影響を受けた。復旧事業の対象にならなかった畑は自前で客土し、春先からこつこつと自分で石を取り除いて春作業に間に合わせた。
 復旧した畑には大豆や小豆などを作付けしたが、吉井さんは「見た目は元通りだけど、ちゃんと(作物が)生えてきてくれるかどうか」と不安も口にする。川から運び込まれた土は、元の土と性質や養分が異なる。同じ区画の中で土の色も違い、生育や収量も見通せない。
 22日に小豆をまいて、は種作業は終えた。今後は例年以上に畑を見回る必要があり、管理には神経を使いそうだ。
 吉井さんは「ぜいたくは言えない。今年の営農は無理だと思ったときもあるので、ここまで来られたことに感謝」と話し、これからの生育管理に表情を引き締めていた。

東北(top

津軽在来3品種継続に挑戦/弘実高 陸奥新報 17.5.26

 本県在来品種の栽培や加工品開発に力を入れる弘前実業高校が、津軽の在来品種を受け継ぐ新たな取り組みに挑戦している。今年度は、かつて津軽で出回っていたトウモロコシ「もちキミ」、青森市浪岡地区で受け継がれてきた「浪岡小豆」、弔事の赤飯に使われた「角小豆」の栽培に着手。津軽の食文化を担ってきた在来品種の保存と活用に貢献する考えだ。

主食用米「生産目安」8月までに算定法 県農業再生協 山形新聞 17.5.23

 政府による主食用米の生産調整(減反)が本年度で廃止されることを受け、農林水産省が示してきた生産数量目標に代わり、2018年産から「生産の目安」となる数値を提示する県農業再生協議会は22日、今年8月までに各市町村の生産量の算定や提示の方法について決めることを明らかにした。9月には県内各ブロックで説明会を開き、周知する。
 生産調整廃止に備え、対応策などを話し合う同協議会の「需要に応じた米生産に関するワーキンググループ」会議で同日、事務局の県が示した。国内の主食用米の消費は、少子高齢化や食生活の変化により、年間8万トンずつ減る傾向にある。農水省は民間在庫量も勘案し、生産調整廃止後も国内全体の需給見通しの数値を示すとしている。本県では、この数値に県産米の国内でのシェア率を掛け、県内全体の生産量の目安となる数値を算出する方針。この数値をさらに、市町村ごとに配分する算出方法を今後、決めるとしている。
 政府は1970(昭和45)年から主食用米の作付けを年々減らしていく生産調整(減反)を本格的に進め、需給バランスを保ってきた。だが、農業の成長産業化に向けた自由な経営を可能にし、生産者自らが生産量を調整できるようにすることなどを目的に、17年産を最後に各産地の生産量の上限を配分する生産調整を廃止する。行政が示す生産量の上限がなくなる上、減反の協力農家に10アール当たり7500円が政府から支給されている直接支払交付金もなくなる。
 会議では、全国的な生産調整の新たな仕組みを創設することや、各産地の取り組みが実効性を持つようにする施策、直接支払交付金の財源を産地交付金の拡充や生産コスト低減に活用することなどを政府に要望していくことも確認した。

<棚田百選>再生目指しCFで苗購入費募る 河北新報 17.5.23

 「日本の棚田百選」の一つ、山形県山辺町大蕨(おおわらび)地区の棚田の保全に取り組む「グループ農夫の会」が、インターネットを活用したクラウドファンディング(CF)で苗の購入費を募っている。

 農夫の会は、高齢化や後継者不足で荒廃の危機にあった棚田を再生しようと、2011年に結成。地元農家の協力を得ながら、県内外の会員約70人が農作業を共同で行い、収穫したコメを「棚田米」として販売している。
 活動7年目となる今年の作付面積は2.25ヘクタールの予定。40アールでスタートした1年目の5倍を超える。
 代表の稲村和之さん(64)は「少しずつ美しい風景が戻りつつある」と話すが、面積の拡大とともに苗の購入費の負担が大きくなっているという。
 CFの目標金額は50万円で、出資の受け付けは6月末まで。出資額に応じて、刈り取った稲を天日干しする「くい掛け」をデザインしたオリジナルの手拭いや、棚田米などの返礼品を用意している。
 稲村さんは「皆さんの後押しを得て、豊かな棚田を後世に残したい」と協力を呼び掛けている。
 農夫の会は会員も募集している。年会費は2000円(小中学生は500円)。連絡先は稲村さん090(5841)6541。

黒毛和牛の子牛不足深刻 乳牛代理出産に活路 河北新報 17.5.22

 全国で和牛の子牛不足が深刻化する中、山形県が和牛の受精卵を乳牛に移植し、代理出産させる技術の普及に力を入れている。代理母から生まれても遺伝形質はれっきとした和牛で肉質に影響はない。県は簡易な移植技術を企業と共同開発し、3月に特許を取得、米沢牛などブランド牛の肥育が盛んな県内で、繁殖から一貫した生産体制づくりを目指す。
 約100頭のホルスタインを飼育する米沢市の浜田篤さん(36)の牧場では昨年、5頭が受精卵移植を受け、黒毛和牛を出産。今年も3月末から4月にかけて4頭が移植を受けた。
 「代理母の間も通常の飼育方法で、特別な手間はかからない」と浜田さん。「ある程度受胎率が高ければ、乳牛の人工授精のサイクルも見通しが立ち、経営上のリスクは減る。乳価が上がらない中で貴重な収入になる。挑戦する酪農家は増えるはずだ」と話す。
 乳牛への受精卵移植は2000年ごろから各地で取り組みが本格化した。受精卵の凍結技術などは大幅に改良されたが、効率的に解凍・移植する器具がなく、普及の妨げになっていた。
 今回、県が特許を取得したのはストロー型の受精卵保存容器で、畜産器具メーカー「富士平工業」(東京)と共同開発した。受精卵を容器内で急速凍結させて保存し、解凍後、容器をそのまま移植器に取り付け、乳牛の子宮に移植する。
 解凍、移植の際に別の器具に移す必要がなくなり、農家の庭先でも簡単に行えるのが最大の利点。受胎率も通常の人工授精と同等の55%を確保できるという。
 和牛の子牛不足は全国的な課題だ。生産者の高齢化や離農に加え、10年に発生した口蹄疫(こうていえき)や翌年の東京電力福島第1原発事故により、主要産地の宮崎、福島両県で繁殖用牛が処分された影響も大きいという。
 山形県によると、黒毛和牛の子牛価格は12年度、44万円程度だったが、16年度は約80万円に高騰し、入手困難な状況が続く。県は肥育用素牛の約8割を他県に依存しており、早急に対策が求められていた。
 県内で昨年に生まれた黒毛和牛の子牛のうち、乳牛への受精卵移植で生まれたのは469頭で全体の6%だった。県は数年で10%前後に引き上げたい考えだ。
 県畜産振興課の上野宏樹畜産ブランド推進主幹は「受精卵移植で子牛不足の解消と山形牛のブランド力向上の一石二鳥を目指す」と話した。

復興へ「たかたのゆめ」今年も 陸前高田で田植え式 岩手日報 17.5.21

 陸前高田市などは20日、同市米崎町の水田で震災からの復興のシンボルとしているオリジナル米「たかたのゆめ」の田植え式を行った。

 市民ら約50人が参加し、水田に苗を手植え。「足が抜けない」と苦戦しながら丁寧に植えた。作付け5年目の今年は47農家が計56ヘクタールで栽培する。

 一般社団法人おにぎり協会の認定米にちなみ、約500個のおにぎりを使った絵柄作りも行った。冷めてもおいしい米は農業復興の鍵を「にぎる」。

被災水田、待望の作付け 宮古、津軽石・赤前地区 岩手日報 17..5.21

 東日本大震災の津波で浸水した水田を含め集約、大区画化する県の農用地災害復旧関連区画整理事業のうち、宮古市の津軽石・赤前工区(10ヘクタール)の完成箇所で19日、水稲の作付けが行われた。生産者は待望の営農再開を喜び、利便性や収益性が向上する新たな農地で米作りを守っていくことを誓い合った。

 地元の農業者で組織する宮古東部ファーム(組合員17人)のメンバーらが大型の田植機に乗り、あきたこまちの苗を植えた。それぞれ表情には高揚感や充実感が浮かんだ。

 今秋には約2・5トンを収穫予定。佐々木積組合長(66)は「ようやくこの日を迎えられた。大型機械を活用して生産できるので、震災後に離農した高齢者や、若い人にも興味を持ってもらいたい」と、農業再興への意欲を新たにした。

 同市の水田は75ヘクタールが被災した。県事業は、被災農地と周辺の未被災農地の計31ヘクタールを一体的に整備しており、2016年2月に着工した同工区が今年9月に完成すれば、市全体の圃場整備が完了することになる。事業費は14億6千万円で、復興交付金を活用した


関東(top

新ブランド豚生産へ 県が体制整備、来年販売開始目指す 茨城新聞 17.5.25

茨城県産の新たなブランド豚(銘柄豚)の導入に向け、県は本年度、生産体制の整備に乗り出す。霜降りの入ったやわらかい肉質と芳醇(ほうじゅん)なうま味が特長で、全国の有名ブランドと肩を並べる「茨城発」のトップブランドを目指す。百貨店や高級レストランなどを主要ターゲットとして販売を広げ、量販店向けが中心の本県の銘柄豚「ローズポーク」ともすみ分けを図る。本格的な生産開始に向け、畜産農家に供給する交配用豚の繁殖用豚舎などを整備するほか、ブランド確立のための生産基準づくりなども進め、2018年の販売開始を目指す。

 新たなブランド豚を育成したのは県畜産センター養豚研究所(稲敷市)11年から選抜を開始し、昨年12月に「系統豚」として日本養豚協会の認定を受けた。霜降りの度合いを示す筋肉内脂肪含量は5%と極めて高く、一般的な輸入豚肉の1%、国産豚肉の23%を大きく上回る。ブランド名は年度内にも決定する。
 系統豚は、一定の血縁関係で結ばれた、能力にばらつきの少ない優れた豚の集団。国内で生産する豚は、3品種の系統豚を交配する三元豚が一般的で、新ブランド豚も「ランドレース種」と「大ヨークシャー種」を交配した母豚に、「デュロック種」の雄を掛け合わせる。3品種の組み合わせはローズポークと同じだが、県が独自に選抜したデュロック種を交配することで高い肉質を実現した。
 県はデュロック種の提供に向け、今夏以降、同センター内に繁殖用、子豚育成用、分娩(ぶんべん)用の豚舎3棟を整備。系統豚を維持しながら、雄豚やその種を畜産農家に供給する体制を整える。本年度は生産試験として肉質の調査などを行う。
 さらに、畜産農家、関係団体などと共同で研究会を設立し、与える餌などの統一基準や流通方法の検討も行う。ローズポークなど一般の国産豚肉と比べ、100グラム当たり50円程度高い価格帯での販売を目標とし、首都圏の百貨店、有名レストランなどでの取り扱いを増やすことで、知名度向上を図っていく。
 15年の本県養豚の産出額は全国6位。ここ数年、産出額に大きな変動はないが、他県農家の大規模化を受け、家族経営が多い本県は順位を落としつつある。県畜産課は「大規模化が難しい農家でも品質に差をつけられれば、収入増加が見込める」と期待する。
 新ブランド豚は25年までに年間7万頭の出荷を目指す。同課は「ローズポークに加え、新ブランド豚を売り出すことで本県養豚の競争力を高めていきたい」と力を込める。

甲信越(top

参考値提示「コメ価格下落防ぐ」 市町村に生産目標 知事が狙い説明 新潟日報 17.5.25

 国が2018年度にコメの生産調整(減反)を廃止するのに伴い、県が市町村に生産目標の参考値を示すことについて、米山隆一知事は24日の記者会見で、「過剰生産による価格下落を防ぐため」と狙いを説明した。
 県は当初、農家の意欲低下などを懸念し、市町村への参考値提示に否定的だったが、多くのJAなどが提示を要望。18年度以降のコメ政策を協議した22日の会合で、達成義務のない参考値を示す方針を明らかにした。
 会見で知事は、参考値の提示について「全く指標がなく自由に作ったら、価格の暴落は起こりうる。参考値を大きく超えると価格下落のリスクがある」と理解を求めた。一方で「独自の販路を持つ農家は作ってもらって構わない」と、生産拡大を目指す農家の考えも尊重する考えを示した。
 参考値の提示以外にも、コメの価格下落を防ぐため、需要の予測などを農家に情報提供したいとした。
 国が生産調整を廃止することについては「(コメや農村政策に関する)国の方針が定まっていない中、廃止だけが先行している」と批判した。

18年産米 市町村別に生産目安 6月に数値、県が正式方針 新潟日報 17.5.23

 国がコメの生産調整(減反)を2018年度に廃止することを受け、県は22日、18年度については国が従来示してきた生産数量目標に代わる目安を各市町村に提示する方針を正式に示した。検査数量などの県内シェアに基づき、県全体の目標数値から各市町村に振り分ける。具体的な数値の提示は6月を予定している。
 同日、新潟市中央区で開かれた「米政策検討会議」で明らかにした。これまでは県全体の生産目標だけを示す方針だったが、過剰生産による値崩れを懸念する生産者などの声を受け、方針を転換した。18年度は試行とし、19年度以降の対応は効果を検証した上で決める。
 市町村別の目安は品種や用途別に示すが、達成義務は課さず、各地域が目標を設定する上での参考材料と位置付ける。現行の生産調整のように数量の目安を農家単位まで細かく割り当てるかどうかは、地域ごとに事情が異なるとして、市町村に委ねることにした。
 県が目安を提示した後の7月、市町村は18年度と翌年度以降の中長期の生産目標を設定する予定だ。
 県農林水産部の目黒千早部長は「あくまで参考として示すので、市町村ごとの状況を加味しながら目標を設定してほしい。試行を通じ、どういう形がいいのかは時間をかけて決めていきたい」と話した。

東海(top 

丸山千枚田、田植え日和 熊野、オーナーら汗(三重) 中日新聞 17.5.22

 熊野市紀和町の丸山千枚田で21日、オーナーや地元住民らによる田植えがあり、青空の下、大勢の人たちでにぎわった。

 この日の田植えには約1000人が参加。初心者が多く、田んぼのぬかるみに足を取られる人もおり、あちこちで笑い声が聞こえた。あぜでは弁当を広げる親子連れの姿も見られた。

 妻と小学生の娘2人と訪れた愛知県稲沢市の会社員、高木裕(ひろし)さん(49)は「熊野の風景が気に入り10年前にオーナーになった。毎年の田植えや稲刈りと、鬼ケ城の観光が楽しみです」と話していた。

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市民農園つくり隊 耕作放棄地をボランティアが再生 鹿児島市 南日本新聞 17.5.25

 鹿児島市は、市内の耕作放棄地を市民農園に生まれ変わらせる取り組みを始めた。再生を検討する農地の所有者に、市が登録ボランティア「市民農園つくり隊」を紹介する本年度の新規事業。21日は、つくり隊が初出動し、ここ10年ほど何も植えていなかった吉野町の農地2000平方メートルで草刈り、耕運、区画づくりに汗を流した。
 市農政総務課によると、農地の有効活用、市民の余暇充実を図るのが狙い。つくり隊には現在5人が登録している。

被災した農業用水路、人力で復旧 九十九トンネル(御船町) 熊本日日 17.5.22

 御船町の北東部の山あいにあり、江戸時代に完成した農業用水路「元禄・嘉永井手」。その一部をなす「九十九[つづら]トンネル」は熊本地震と、その後の豪雨で土砂がたまり、通水不能のままだ。5月上旬に始まった復旧工事は重機を持ち込めないため、人力で土砂の除去が続く。農家は「水が来れば米が作れる。無事に工事が終わってほしい」と願う。

 町などによると、田代、上野の両地区にまたがる元禄・嘉永井手は総延長約28キロ。約175ヘクタールの農地を潤す。この井手の水不足を補うのが田代地区にある九十九トンネルで、亀谷川など三つの渓流から引いた水を、井手へと続く矢形川に流し込む。全長は873メートル。当時の石工たちが7年をかけ、硬い岩山を掘り進めた。約160年たった今も地元にとって貴重な水路だ。

 だが、昨年の地震と豪雨でトンネル入り口の斜面が崩落。入り口から流入した土砂が約300メートルにわたって堆積した。町は3月、復旧工事の指名競争入札を実施したものの、指名業者の全9社が入札に参加しなかった。そこで設計を見直し、工事価格を上げたところ、5月の再入札で地元業者が落札し、間もなく着工した。

 トンネル内は高さ1・8メートル、幅1・4メートルと狭く、重機が入らない。業者は「大変な作業。でも農家のためにも誰かがやらないといけない」と懸命だ。作業員は1メートルほど堆積した土砂をスコップでかきだし、草スキー用のそりで運び出す。

 元禄・嘉永井手を管理する七滝土地改良区(組合員約350人)によると、昨年は全組合員が米作りを断念。今年は井手が復旧していない下流域を除き、約200人は田植えができる見込みという。同町上野の土田康敏さん(75)は「復旧工事が始まり、ほっとしている。今年こそは米を作りたい」と作付けの準備に汗を流す。

 同土地改良区の野田貴久理事長(64)は「たくさんの水が必要な夏場に向け、トンネルは不可欠。7月下旬までに通水できるようになってほしい」と期待する。