農業情報研究所

今日の言葉

日々出会った記憶にとどめるべき言葉・文章を記録しておきます。

2017

8月14日

 「都知事の言うなり」(本音のコラム 市民の良識 宮子あずさ 東京新聞 17.8.14 19面)

 この間の都議会議員選挙で地元のことを全然知らない人が都議会議員になった(恐らく、女親分同様、、「スポットライトを浴びること自体が自己目的化」した「自分ファースト」人間なのだろう―農業情報研究所)。

 「都知事の傘下にいる都議会議員が、しっかり都の行政に対峙できるのか」、「実際、当選後都民ファーストの議員たちは自由な発言を禁じられ、都知事の言うなりに見える」

 (迷走する民進党指導部にも問題があります―農業情報研究所)

2016年

12月25日

言葉ではなく顔ですが、妻も自分もそれぞれの癌とお付き合い中、なにか貴重な言葉をいただいているような気がします。

写真は田部井淳子著『再発!それでもわたしは山に登る』(文芸春秋社 2016年12月15日)の帯からいただきました。

10月31日

教職員にあまりにも大きな責任を負わせている」(亀山石巻市長)または「亡くなった先生方の過失とするのは酷だ」(水沢冨士江石巻市議員)

 <大川小訴訟>遺族悲嘆「誰を信用すれば」 河北新報 16.10.31

 余りに主観的なこれらの言葉は法廷で通用しないはずだ。子どもたちは教職員に全幅の信頼を置いていた(あるいは置くほかなかった)だろう。その命は100%、教職員の判断と行動にかかっていた。教職員の責任は限りなく大きく、「あまりに大きい」といった言説は成り立たない。これは、判断ミスで自らの命を失った教職員についても同断だ。東日本大震災を機に、教職員は、子どもの命を守ることにおいては同情による免責も許されないと自覚すべきだろう。東日本大震災が残したこの教訓は、司法や行政の判断も超越している。市長や市会議員、そしておそらくは県知事も、それが自覚できていないことが悲しい。 

 関連して:「川を遡上した津波は度々、大きな被害をもたらしてきた。今度こそ大川小の教訓に学ばなければ、南海トラフでも悲劇を繰り返す」(藤岡達也滋賀大防災教育教授)

 <学校と命>津波の川遡上再び警鐘 河北新報 16.10.31

10月26日

リニア建設は関係の皆さんにとって長年の悲願阿部守一長野県知事

 「皆さん」って誰のことだ。リニア建設工事で踏み潰される沿線住民の身にもなってみろ。

 知事、大鹿で意見交換会 30日 リニア起工式を前に 信濃毎日新聞 16.10.26

10月19日

中食、外食の皆さんに多大なご迷惑をかける(山本有二農林水産大臣 10月18日 閣議後記者会見

 SBS(売買同時入札)輸入米の「価格偽装」問題(注)について

 「記者:TPP特別委員会での審議が始まっていますけれども、SBS米問題について調査が不十分という指摘が相次いでいますが、どのようにお考えでしょうか。

 大臣:調査については、再三申し上げておりますとおり、食糧法等の違法な事案ではありません。したがいまして、この調査というのは任意の調査に限られます。したがいまして、契約当事者であります輸入業者、あるいは、買受業者、卸、こういったところに、いわば、できるだけお願いする形で事情をお話申し上げ、調整金について、金銭の授受について、その背景や目的をお聞きするという方策でございます。そこにおいて、正確性がないだとか、あるいは、さらに買受業者から転売されたところについての調査がないという、そういう御指摘がありますけれども、調査の限界というものについての御理解も十分いただかなければ、かえって激しい競争の中にある中食、外食の皆さんに多大なご迷惑をかける。そのことにおいて、いわば、そうした業務用市場に混乱を招き、かつ、またコメの円滑な売買ができないというような、そういう弊害も十分予想された中での話でございますので、慎重に扱っていることを、いわば、御存じの上で、私どもにいろいろと御要求されるということかもしれませんので、その点なお丁寧に説明することによって、この調査の御理解を頂戴したいというように思っております。」

 農家が蒙る迷惑にはほっかむり。本来ならビジネスの利益は犠牲にしても「土地を耕す」人々の利益を守るはずの農林水産省(MAFF)が、今日この日、「アグリビジネス産業省」への転身を公言した。2016年10月18日は歴史的な日として記憶されるだろう。中食、外食、スーパーもバンザイ、ますます農家を踏み潰しての大安売りに励むだろう。もう怖いものなしだ。

 今や「アグリビジネスはいかにしてMAFF規制政策をハイジャックしたか」(参照:USDAは「アグリビジネス産業省」、デタラメな米国BSE対策の根源 新レポート 農業情報研究所 04.7.26)の研究に取り掛かるべきときだ。

 注)輸入米 高値に見せかけ 「調整金」還流、国は放置 毎日新聞 16.9.14輸入米 高値に見せかけ 「調整金」還流、国は放置 毎日新聞 16.9.14<輸入米価格偽装>「だまされたのか」憤る農業関係者 毎日新聞 16.9.14SBS価格偽装 公表より安く販売 米卸「最大60キロ3600円」 国産 影響の可能性 日本農業新聞 16.9.23

 追記:以上を書き終えて間もなく、”TPP 山本有二農水相が「強行採決」に言及・・・”(産経)なるニュースが飛び込んできた。この男、自分の言ったことの意味もわからないあんぽんたん、おっちょこちょいなのか(それにしては天下の名門・早稲田大学法学部卒の学士さまというが)、それともアメリカのアグリビジネスとも通じているのか、わけがわからなくなった。

  ついでに山本有二農相についてもう一つ、「山本有二農水相事務所が労基法違反」(週刊文春 10月19日(水)16時1分配信)。

10月10日

裁判官の仕事 「近道はない」 「便法はない」 (原田國男)

 裁判官の仕事で記録を丹念に読む以外に、近道はない。この習慣は、若いうちに身に着けないと後で困ることになる。どうしても、簡便で能率の良い記録の読み方を探そうとする。とく若い判事補には、要領よい記録の読み方をしようとする者が多い。しか、記録は、隅から隅まで丁寧に読むべきなのである。便法はない。昔、東京高裁でお仕えした四ツ谷巌判事(後に、最高裁判所判事)は、記録の一隅の数行に真実が隠されているこがあるから、一行でも疎かにできないとよく言われていた。そのとおりであることは、後に実感した」(裁判官の余白録 仕事の仕方 世界 2016年11月号 184頁)。

 どれほどの現役裁判官がこれを読み、「実感」しているだろうか。書類読みのために来る日も来る日も机に向かっていた公平無比(と評判)の裁判官だった義父の姿を見てきただけに、とりわけそんな思いを強くする。司法の独立性が疑われるような判決が続く昨今、記録どころか本さえ読ま(め)ない裁判官が増えているのではないかと疑う。義父は古今東西のあらゆるジャンルの本を読み漁り、そのために必要な辞書類も山と積み上げていた(下の写真はその蔵書のごく一部 ただし、農業情報研究所の蔵書も含む)。

10月8日

なんでノーベル賞がほかの賞と違って、わーわー言われるのか(ノーベル化学賞・白川英樹筑波大名誉教授)

 ノーベル医学生理学症・大隅良典氏の一般向け講演(東工大すずかけ台キャンパス 10月7日)の会場で大隅氏にこうはなしかけたそうである(「人と違うことを恐れずに」 ノーベル賞・大隅さん講演会 東京新聞 16.10.8 朝刊 30面)

 「なんで」でしょう。何時、何のために役立つか全く分らない素人が、どうして「わーわー」騒ぐのでしょう。安倍首相は「がんやパーキンソン病などの難病で苦しむ方々に光を与えた」と言うが、大隅氏自身は、この研究が「役に立つのは十年後、百年後かもしれない」と言っている(ノーベル医学生理学賞受賞 首相はじめ日本中が喜びにわくなか、素直に喜べない理由)。何時、何のために役立つのか、研究者自身分らない。大抵の「基礎」研究はそんなものでしょう。だからこそ、「人類が直面する脅威の大部分は核戦争や破局的な気候変動やGMウィルスのような科学技術の進歩から来る」というホーキング博士の警告も生まれるのでしょう。

 「オリンピックとノーベル賞は・・・いつしかナショナリズムの象徴とされてしまい、メダリストや受賞者が・・・勝手に祭りあげられる」(ネットで何が・・・ ノーベル賞で「中韓たたき」 東京新聞 16.10.8 朝刊 29面)、「なんで」の答えとして、当たらずとも遠からずだろう。私なんぞ、研究途上で挫折したとはいえ、難病患者を救いたいという小保方さんの志をこそ愛でたい。

 9月13日

米国が反発するということは、日本にとって良い内容の協定だということ(内閣府関係者)

  TPPに調印した11ヵ国の駐日大使と石原伸晃経済再生担当相との会合(駐日米大使公邸 12日)にて(TPP参加国大使と確認「再交渉はせず」 米は両候補とも「反対」 東京新聞 16.9.13 朝刊)。「日本側は「米国が反発するということは、日本にとって良い内容の協定だということ」(内閣府関係者)と強調。「国会に早く承認してもらい、協定の内容を確定して再交渉の余地がないことを示す」(外務省関係者)として二十六日から始まる秋の臨時国会でTPPの承認と、関連する十一法案の成立を目指す」。 

トランプ それみたことか クリントン 咳が止まった オバマ こまった

予断なく 

 安倍晋三首相は農業改革について「関係業界や全国農業協同組合連合会(JA全農)のあり方を予断なく見直す」と強調したという(首相、農業改革「予断なく」 規制改革会議が初会合 日本経済新聞 16.9.13)。この人、国語が苦手なのか、本人以外は意味不明のことがしばしばある(8月17日に書いた「倒れられた御霊、亡くなられた御霊」もその例)

 ここに言う「予断」がその好例だ。「予断」=「前もって判断すること」とすれば、「前もって判断すること」なく見直すとは意味不明だ。「前もって判断すること」なくどうして見直すことができるのか。彼が言いたいのは「油断なく」ということなのか。改革派も増えているが反対意見もなお根強いから「油断するな」というなら、いかにも首相らしい。

 しかし、一国の総理大臣ともあろうものが、いくらなんでも「油断」を「予断」と言い間違えるだろうか。「先入観」とか「固定観念」とか言いかえれば意味不明ということはないが、「予断」=「先入観」または「固定観念」ではチンプカンプン。首相の国語力が疑われるのである。

 ただし、近頃のマスコミ、間違った日本語をそうとは知らずに、あるいはわざと使い続け、いつしか国民に浸透させてしまうこともあるから「油断」ならない。例えば新聞やテレビで飛び交う「風評被害」なる言葉、「福島原発事故の後、特殊な意味づけで利用され・・・、この言葉で言い表した気になって本当の問題を考えない手段になっている」(「事故30年 チェルノブイリからの問い 6回  教室で「放射線」を語れない——外国語に訳せないいくつかの理由」 尾松 亮 世界 201610月号 182頁)。 

8月17日

倒れられた御霊、亡くなられた御霊

 15日の全国戦没者追悼式での安三首相の式辞から採った言葉です(あの、苛烈を極めた先の大戦において、祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に倒れられた御霊、戦禍に遭われ、あるいは戦後、はるかな異郷に亡くなられた御霊、皆さまの尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄があることを、片時たりとも忘れません。衷心より、哀悼の誠をささげるとともに、改めて、敬意と感謝の念を申し上げます)。

 ところで、「御霊」とは、普通は「死者の霊魂」を尊んでいう言葉でしょう。そして「霊魂」とは「肉体に宿ってそれを支配し、精神現象の根源となり、肉体が滅びても独立に存在することのできるもの」(大辞林)といいます。ところが、首相によると、不滅の霊魂も倒れたり、亡くなったりするらしい。それでは、「衷心より、哀悼の誠をささげ」られても、「敬意と感謝の念を申し上げ」られても、死者(の霊)は浮かばれない。

 存在するものすべてをいきなり「霊」に昇華させて違和感を覚えることのない神道傾倒者が、政教分離の原則もわきまえずに、得意げにこんな言葉を使うからこうなるのだろう。終戦の日に当たっての天皇の「おことば」をはじめ、各党の声明を一覧しても、「御霊」(それに似た「英霊」)の言葉と使ったのは、自民党と幸福の党だけだ。他の政党はすべて、政教分離だけはわきまえているようだ。ちなみに、

自民党

 先の大戦で犠牲となられたわが国並びに全ての国の英霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。

幸福の党

 大東亜戦争で亡くなられたすべての御霊に対し、衷心より哀悼の誠を捧げます。

天皇

 さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。

公明党

 先の大戦で犠牲となられた内外の全ての方々に謹んで哀悼の意を表すとともに、ご遺族ならびに今なお深い傷痕に苦しむ皆さまに心からお見舞いを申し上げます。

民進党

 先の戦争で犠牲となられた内外すべての人々に思いを致し、国民の皆さまとともに衷心より哀悼の誠を捧げます。

共産党

 日本軍国主義がおしすすめた侵略戦争と植民地支配の犠牲となった、内外の人々に、深い哀悼の意を表します。

社民党

 戦争の犠牲となって倒れ、傷つき、苦しめられた国内外のすべての方々に、心から哀悼の誠をささげるとともに、遺族の皆様にお見舞い申し上げます。

生活の党

 先の大戦で犠牲となられた内外のすべての方々に対し、謹んで哀悼の誠を捧げたいと思います。

おおさか維新の会

 全ての戦没者に対し哀悼の誠をささげ、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

日本のこころを大切にする党

 全ての戦没者に対し、哀悼の意をささげますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 

8月4日

原子力で豊かなまちづくり(上関原発推進団体「上関町まちづくり連絡協議会」の古泉直紀事務局長)

 8月3日、山口県が中国電力が申請している上関原発の建設に必要な海の埋め立て免許の延長を許可した(上関原発の埋め立て免許延長 山口県が許可「国策の位置付け」 東京新聞 16.8.3)。埋め立てに反対する漁業者等は県に対して埋め立て免許差し止めを求める訴訟を起こしており、原告の山戸孝さん(39)は「まったく理解できない。知事はいったい何を考えているのか。県は国や企業しか見ていない」と怒りをあらわにするが、推進団体「上関町まちづくり連絡協議会」の古泉直紀事務局長(58)は、 「原発建設に向けて一歩進んだ。工事がすぐに再開するわけではないが、町は過疎や高齢化が進んでいる。原子力で豊かなまちづくりをしたい」と言っているそうである(上関原発 埋め立て反対派 理解できない」 東京新聞 16.8.3 夕刊 7面)。

 似たような言葉を思い出した。今は撤去されているが福島第一原発の地元・双葉町に掲げられていた原子力PR看板に書かれた「原子力 明るい未来のエネルギー」だ。原発事故で双葉町を追われ、今はいわき市南台の仮設住宅で避難生活を送る男性(67)は、6月22日の本欄で紹介したように、「もう若い人は戻らないし、高齢者だけ帰還しても町に未来はない」、「他の自治体が受け入れない廃棄物を含めて置く。帰れなくなるのはつらいが、原子力の関連の補助金を受け取ってきた立地自治体の責任を、そういう形で取らないといけないんです」と言っている。

 原発は、ひとたび事故が起きれば「豊かなまちづくり」どころか、街を「街路樹の葉が風に身をゆだねている それなのに人声のしない都市 人の歩いていない都市」、神隠しされた街に変えてしまう。

 しかし、今の原発は安全?「世界一厳しい原子力規制」をもっても原発事故が起きないという保証はない(田中原子力規制委員長)。事故は起きても事故対応訓練により炉心溶融に至るような重大事故は防げる?これも「うまく行けばこうなるという希望的なシナリオに過ぎない」。

 昨年10月1日に行われた九電川内原発の重大事故対応訓練。

 「福島事故を受け国の原子力規制委員会は重大事故対策を取り入れた新規制基準を作った。九電は約20ケースを想定して重大事故対策を取った。

  その中でも、冷却水の配管などが破断した場合に起きる大規模なLOCAとSBOが同時に起きるケースは、最も厳しい重大事故だ。しかも、事態の進展は驚くほど早い。

  炉心溶融はわずか約20分で始まり、約1・5時間で原子炉容器が破損し、溶けた高温の核燃料が格納容器の底に落下すると、下部のコンクリートを浸食する。福島事故後に設けられた常設電動注入ポンプを発電機車で動かし、格納容器のスプレーで、下部に水を張り溶融炉心を受け止める。約50分で状況判断しスプレーを始め、約1・5時間で約1・3メートルの水を張る。

  九電は、事態の推移をコンピューター解析し訓練も行い、規制委から認められた。しかし、旧原子力安全委員会事務局技術参与を務めた滝谷紘一さん(原子力工学)は「福島事故ではいろんなことが同時に多発した。仮にこのケースだけ起こるならできないこともないかもしれないが、うまく行けばこうなるという希望的なシナリオに過ぎないと思う。しかも、コンピューター解析にも不確かさがある」と話し疑問視する。

  さらに、水張りに成功しても水蒸気爆発の危険性が出てくるという。水に落ちた高温の溶融物が引き起こすが、規制委は審査で九電の「可能性は極めて低い」という主張を認めた。しかし、元原子力プラント設計技術者の後藤政志さんは「その危険性は無視できるレベルではない。水蒸気爆発が起きれば破局的な破壊が生じるかもしれない。そんなものを内包している対策はあり得ない」と批判するのだ」(川内原発/2 不確実さ 事故対策、新たな危険性指摘も /鹿児島 毎日新聞 16.2.28)。

 福島第一原発事故など自分らとは関係ない遠い異国か異星での出来事と思っているらしい上関原発推進派のみなさま、そして山口県知事さま、是非とも神隠しされた街を訪れ、原発の恐ろしさを体感して下さい。

7月13日

立証を尽くさなければ安全性の欠如が推認される(大津地裁・山本善彦裁判長 12日)

、関電側の「事故発生時の住民側に対する人格権侵害の具体的な危険性が不明だ」との主張に対して、「安全性の立証責任は電力会社側にあり、立証を尽くさなければ安全性の欠如が推認される」(高浜原発の差し止め 大津地裁、関電の異議退ける 2基の運転禁止継続 東京新聞 16.7.13

 EUの予防原則と対比するのも面白い。また、立証のための調査はしてないが、当時の清水正孝社長が「首相官邸側から炉心溶融を認めることに慎重な対応をするよう要請されたと理解していた」と「推認」したという福島第一原発「炉心溶融」公表遅れに関する東電第三者検証委員会の報告書との対比も(「炉心溶融」公表遅れの真相 当時社長が官邸から要請されたと「理解」した(と「推認」される)理由)。

7月7日

憲法九条は「変えられない」(柄谷行人)

 吉田首相がマッカーサーの日本軍再編成と朝鮮出兵の要請を拒絶して、「以来六〇年以上、日本には九条があり続けています。

 その理由が、戦争への深い反省にあるとは私は考えません。戦後の日本人は、ドイツ人に比べて第二次世界大戦に対する歴史的な反省が欠けているとよく言われます。しかし、戦後ドイツには、現在は停止していますが、徴兵制があるし、憲法九条のような規定はありません。たぶん、理性的に反省するとドイツ人のような道を選ぶでしょう。戦後日本の憲法九条は、そうした意識的反省によって生まれたものではありません。かといって、日本人が反省していないというわけではありません。ただ、反省はむしろ意識されないものとしてある。つまり、憲法九条は「無意識」の問題なのです」(対談 九条 もう一つの謎 「憲法の無意識」の底流を巡って 『世界』 2016年7月号 98頁)

 {それ(憲法九条)を残したままでは、軍事行動はできません。だから、変えるほかない。しかし、変えられない。というのも、憲法九条は意識の問題ではなく、無意識の問題だからです。それを意識的な操作で変えることはできません」、「最近、選挙を前に安倍首相が憲法改定を狙っているとか、参議院で三分の二の議席をとろうと画策しているとか、色々言われていますね。・・・しかし、三分の二の議席を得たところで、そのあとに国民投票がある。最近の世論調査でも、九条改憲は必要ないという人が過半数をはるかに超えています。もう、結果はわかっているんです」、「「世論は変わる、私の力で変えてみせる」と政治家が思っているのかもしれません。でも、その相手は「無意識」なのです。・・・」(同 109頁)

 「一億日本 心の動員」、「一億が心一つに 道一つ」の国策標語に釣られて勇躍戦地に向かったのも日本人であることを忘れたのか。イギリスの脱EU国民投票が示すように、国民投票となれば、何が起きるか分らない。

 柄谷行人とは何者か。大学は私の1年後輩、反安保闘争(60年安保)に「意識的に反省する」ことなく、「無意識」に身を投じる我々を、同じように哲学者じみた屁理屈をこねて冷やかに眺めていた。彼がデモに加わるのは見たこともなかった。そんな彼が、今また九条改憲阻止の闘いに水をさす。彼は一体、どんな社会を「意識的」に望んでいるのだろうか。

 参考までに

 Is a Referendum a Valid Tool for Democracy?,IPS,16.7.7

  When direct democracy is pushed to its limits,swissinfo,16.7.6  

6月22日

原子力の関連の補助金を受け取ってきた立地自治体の責任(いわき市南台の仮設住宅で双葉町からの避難生活を送る散歩中の男性<67歳>)

「選挙で票を投じても住民の早期帰還という国の政策は変わらない」、「もう若い人は戻らないし、高齢者だけ帰還しても町に未来はない」、「他の自治体が受け入れない廃棄物を含めて置く。帰れなくなるのはつらいが、原子力の関連の補助金を受け取ってきた立地自治体の責任を、そういう形で取らないといけないんです」

参院選公示 福島原発立地の大熊、双葉避難者の思い(特報) 東京新聞 16.6.22 2829面から

5月29日

「牛はまるでミルク製造機」、「最近の消費者は価格だけで選ばない」(中洞(なかほら)牧場(岩手県岩泉町)の中洞正さん)

◎とうほく共創/旅の始まり

 初夏の青空を白い雲が流れていった。野芝のじゅうたん広がる北上山地の牧場から、旅は始まる。
 中洞(なかほら)牧場(岩手県岩泉町)の中洞正さん(63)と年若い仲間たち、そして乳牛90頭が見送ってくれた。
 丘陵地を切り開いた50ヘクタールの牧場に牛舎は、ない。牛たちは365日、自生する野芝や雑草、木の葉をはみ、冬も雪上に暮らす。「山地(やまち)酪農」。中洞さんが1984年から実践する農法だ。

 経済効率最優先の単線を突き進んできた戦後日本。酪農もまた、牛舎で牛を管理し、栄養価の高い配合飼料をふんだんに投与することを最良としてきた。人為的に作出した高脂肪乳を搾り尽くし、余ったら捨てる。
 「牛はまるでミルク製造機。究極にいじめている。それでいて、売っている牛乳パックには放牧のイラストだ。消費者をだましている」。中洞さんにはそう見える。
 中洞牧場の牛たちは、下草を食べて里山を維持しながら子牛を育てる。ちゃんと母牛が子牛に乳を与え、残りを人が頂く。
 無理せず、まっとうに生産した牛乳は、正しい乳白色をしていた。
 720ミリリットルで1188円。通常の5~8倍という価格にもかかわらず、消費者が飛びつく。全国の百貨店から出展依頼が引きも切らない。
 「最近の消費者は価格だけで選ばない。そうではなく、生産者への信頼みたいなものを見ている」。東日本大震災の後、中洞さんが実感する消費者意識の変化だ。

 牧場には弟子入り志願者が列をなす。昨年は全国から約200人の研修生がやって来た。多くが右肩上がりの時代を知らない20代の若者たち。
 丘のてっぺんで深呼吸してみる。汗水流して働く。生み出した富を分かち合う。若い瞳に牛飼いという仕事は、時代の最先端を行くなりわいと映っていた。
 「こういう連中が世の中を変えるんだ。俺はここで牛と人を育てたい」
 中洞さんの言葉をはなむけに、時代の価値を捉え直す旅の一歩を踏み出そう。
<道しるべ探して>山地で酪農 まっとうに 河北新報 16.5.29

3月21日

「ぱっと咲いて一斉に散るソメイヨシノが全体主義のイデオロギーに利用された」

  多様な桜を守った英国人「絶滅」タイハク、京都へ穂木送る 東京新聞 16.3.21 朝刊 1

 なぜ日本はソメイヨシノばかりになったのか。日本でも取材した阿部さんは、近代化の歩みと深く関係していると知る。

 そもそも日本古来の桜は地域で異なり、開花時期もばらばらだった。江戸時代には大名屋敷で二百五十もの栽培品種が生まれたが、明治維新で荒廃。一方、生育が早く、同じ時期に一斉に花開くソメイヨシノは、見る人に華やかな印象を与え、近代的な街並みを美しく彩るのに都合がよかった。ヤマザクラやエドヒガンの名所だった上野や向島もソメイヨシノに入れ替わった。

 日本でも、多様な栽培品種を守ろうとした愛好家らもいたが、少数の声は次第にかき消されていく。「ぱっと咲いて一斉に散るソメイヨシノが全体主義のイデオロギーに利用された」(阿部さん)という面もある。 

コメ農家を守るとコメ輸入が増える

 秋からコメの輸入が増えるのではないか--。卸業界でそうささやかれ始めている。農林水産省がコメの需給を引き締めようと、大量の補助金を使って主食米の生産を抑制しているためだ。コメ農家を守るために打った手が、外国米の需要を増やすという皮肉な結果を招いている。

 コメ農家を守るとコメ輸入が増えるジレンマ 日本経済新聞 16.3.21

2月13日

"ROBOT RUBIO"

  ニューハンプシャーの大統領候補予備選を前にしたテレビ討論で「暗記した30秒のセリフ」を繰り返すルビオ候補を皮肉った言葉だ。

 Why do so many politicians sound like robots?,The Washington Post,16.2.12

 だが、これはアメリカだけのではない。日本でも安部総理のロボットと化した政治家がなんと多いことか。”ロボット閣僚”、”ロボット自民幹部”・・・。 政治の貧困が目に余る。

2月12日

「1億総活躍」

 池内 了氏が安倍政府のキャッチフレーズ・「一億総活躍」の「一億」という言葉は「国民を一色に染め上げて国家統合し、有無を言わせず、戦争体制に同化させるという意味が込められていると感じざるを得ない」と違和感を覚え、『帝国ニッポン標語集』(森川方達著、現代書簡)で戦前・戦時中に流布した国策標語を調べてみると、なんと百以上もの標語に「一億」の言葉が使われていることが分った。戦争遂行に向けて人心を掌握するための「一億日本 心の動員」、「一億が心一つに 道一つ」、戦費調達のために「一億揃って 正しい申告」、「聖恩に 一億感謝の納税日」、「一億に代わって敵撃つ郵便貯金」、物資が欠乏してくると「進め一億火の玉だ」、[一億一心総動員」、「一億が この日に奮起、また奮起」、戦局が傾くと「一億が 胸に靖国 背に御国」、「一億が 肩に傷兵 手に遺族」、「撃滅へ 一億怒涛の体当たり」。そして、「大日本 一億にして一家族」、敗戦を迎えると、誰が責任を負うかをウヤムヤのまま、「一億総懺悔」。

 池内 了 「一億総活躍」への違和感 標語に潜む意図 東京新聞 16.2.12 夕刊 7面

   さて「一億総活躍」の安倍ニッポン、人民の一糸乱れぬキタチョウセンを笑っていられるか。「一億総活躍」も『帝国ニッポン標語集』に付け加えられ、永遠に歴史に残るだろう。

1月29日

気仙沼の味

 階上小学校の6年生40人が28日、本年度の総合的な学習の時間で取り組んだスローフード学習の集大成としてオリジナルミニ弁当作りに取り組んだ。
 材料には階上のワカメやノリ、イチゴ、岩井崎の塩、4年生が育てた「りんりん米」のほか、メカジキや大島産ユズなどを選んだ。
 女子児童は「スローフード学習で感じた生産者の皆さんの思いを形にしたような『気仙沼の味』でおいしかった」と笑顔で話した。

 29日付『三陸新報』紙より

1月20日

「人類が直面する脅威の大部分は、核兵器やGMウィルスのような科学と技術の進歩から来る」(スティーブン・ホーキング)

 地球上の災厄の機会は来るべき1000年-1万年のうちにほぼ確実に増える。しかし、人間が暮らせるコロニーを他の星に確保するには少なくとも数百年を要するから、この間は要注意だ。「我々は進歩するのをやめないし、それを覆すこともないから、危険を認め、それをコントロールしなければならない」

 ブラック・ホールに関するBBCでのレクチャーに先立ちラジオ・タイムズで⇒Most threats to humans come from science and technology, warns Hawking,The Guardian,16.1.19

 安保の神様、積極的平和主義でなんとかなりませんか?―農業情報研究所

1月11日

事故が収束するまでに、いくつの家族が壊れてしまうのだろう (福島第一作業員 37歳)

 ふくしま作業員日誌 東京新聞 2016111日 朝刊 26より

 ちなみに全文は、

 会社が定めた五年間の被ばく線量限度がいっぱいになり、福島から家族の元に戻ってきて半年以上がたつ。事故後、福島第一で働いているときに生まれた息子は、ずっと離れて暮らしていたせいか、なかなかなついてくれない。

 たまに帰るだけだった父親を、息子は「パパいらない」と拒否する。抱っこしようとしても「パパやめて」と手で押しやられたり、「パパ来ないで」と顔を引っかかれたりした。まだ、パパと呼んでくれているだいいけど。少し距離が近づいたなと思っても、すぐにうまくいかなくなる。妻ともうまくいっていない。何かとけんかになり、離婚の話が頻繁に出て気がめいる。

 無理な工期に追われて休みが取れず、家族が大変なときに、す駆けつけることができなくて悩んだこともある。息子の運動会に行けなかった。頻繁

 還ろうにも交通費の負担が大きい。家族を福島に呼んで、一緒に暮らそうとしたこともあった。でも、結局、妻を説得できないまま現場を去った。

 地方から単身で来る作業員で離婚する人は多い。せめて家族と暮らす寮があればと思う。廃炉までは長い。事故が収束するまでに、いくつの家族が壊れてしまうのだろう。春に線量がリセットされたら、福島第一にまた呼ばれている。妻は何と言うだろうか。一度話したが、まだ返事はない。(聞き手・片山夏子)    

1月4日

「君が社会を見捨てたら誰が面倒を見るのかと思いますか」

 すっかり弱気になった小生の今年の年賀状に対して荏開津典生先生(⇒農政論議の土台を匡す)からいただいた言葉です。返答に窮します。時代は変わった。岩倉具三氏ももういない。私と同時代(60年安保-全共闘-70年安保闘争時代)に農業経済学を学んだ骨のある顔顔、みんないなくなってしまった。

1月1日

「農家イコール弱者」という発想は変えてほしい(小泉進次郎自民党農林部会長

 念のためにこの言葉の文脈を記しておけば、日本農業新聞のインタビューで「農家やJAに求めたいことは」と問われて

 「農業の可能性に最も気付いていないのは農業者ではないか。「農家イコール弱者」という発想は変えてほしい。もちろん政策の支援が必要な人はいるが、農家は弱者だから、守るために補助金という考え方では国民に理解されない」と答えたものです(自民党農林部会長・小泉進次郎氏に聞く 日本農業新聞 2016年1月1日

 氏が総理に続くデマゴーグとならないように注意しておきます。農家は必ずしも自分を弱者と思っているわけではありません。ここにいう弱者とは何でしょうか。「補助金という考え方では国民に理解されない」という言い方からすると、彼が言いたいには、農家は製造業やサービス産業に従事する農家以外の国民に比べて努力が足りないために経済的弱者になり、カネをせびっているということに違いありません。これほど農家、農業者を馬鹿にした話はありません。上からの目線で国民を侮辱する進退も問われるべき暴言と言っても言い過ぎではありません。ぼっちゃんに農家・農業者の苦労・苦心など分るはずもありませんが、ならば余計に謙虚を心がけるべきでしょう。

 これは先にも取り上げた「農業先進国型」産業論に通じています。日本は先進国なのだから農業は製造業・サービス業に勝る比較優位産業であるはずなのに、農家が怠慢であるために国際競争力が劣り、農家も弱者に甘んじていると言っているわけです。農業の競争力は圧倒的に土地の賦存量に依存するという事実を無視したこのような農家弱者論は、まさしく「事実の裏付けを欠いた断定や論理の筋道も何もない感情論」にほかなりません(農政論議の土台を匡す)。

 日本の農家が「弱者」の地位に甘んじているのは、土地賦存量が少ないために農業の国際競争力が劣るにもかかわらず市場を開放したために、安価な外国産農産物やその加工品に市場を奪われて、それに対抗するいかなる手段も講じられていないからです。農業の可能性を摘み取っているのは政府そのものです。

 フランスの例を何度でも引用しよう。

 「(小規模家族農業が主体の)欧州農業は最も競争力が強い世界の競争者と同じ価格で原料を世界市場に売りさばくことを唯一の目標として定めるならば、破滅への道を走ることになる。・・・公権力の介入は欧州、そして世界で商品化され得る高付加価値生産物の加工を助長するときにのみ意味を持つ」、「農業のための大きな公的支出は、それが雇用の維持・自然資源の保全・食料の品質の改善に貢献するかぎりでのみ、納税者により持続的に受け入れられる」―農業の多面的機能への援助を定めた1999年フランス農業基本法のルパンセック農相による提案理由説明―拙稿 方向転換目指すフランス農政 レファレンス 578(1999.3) 58頁)。

 小泉新次郎、デマゴーグの汚名を着せられたくなければ、貿易自由化の流れをせき止め、「国民の理解」が得られるように「雇用の維持・自然資源の保全・食料の品質の改善に貢献する」農政の構築に努めるべきである。

1月1日‐2

安倍は彼の国が私たちに何をしたか、なお実感しなければならない。私は言葉を失う。この種の無責任な交渉は、私たちを二度も三度殺すに等しい。

“Abe has yet to realise what his country has done to us,” “I am at a loss for words . . . This kind of irresponsible negotiation is like killing us twice, three times.”

 ソウル日本大使館前 Lee Yong-su,a former confort woman

   S Korean ‘comfort women’ reject accord,FT.com,15.12.30;South Korean mount protest at ‘confort women’ deal with Japan.Financial Times,15.12.31,p.4

2015

1226日  

農政論議の土台を匡す

 これは「今日の言葉」ではない。現在と同様、猫も杓子も参加した「農政論議が百花斉放」の感を呈していた30年近くも昔に、小生の大学における大先輩であり・無二の雀友でもあった(麻雀は先生が持病のリュウマチの苦痛を忘れる最善の手段だったようだ。先生に先立って逝ってしまった自民党政調農林部会の影の立役者・岩倉具三氏もこの雀友仲間の欠くことのできない一員だった)荏開津典生先生が、当時の農政論議を席捲していた叶芳和氏の「農業・先進国型産業論」を批判する論文の標題として掲げた言葉である。

 荏開津典生 「農政論議の土台を匡す」―『農業・先進国型産業論』批判 『エコノミスト』 1987428日号 後に『農政の論理をただす』 農林統計協会 19878月に収録。同書4966 

 TPPによる市場開放の下での構造改革・規制緩和・技術革新によって「攻めの農業」=農業先進国化を目指す安部農政が全盛の今、こんな昔に発せられた言葉が一層輝きを増している。「農業や食料に関する論議では、とかく事実の裏付けを欠いた断定や論理の筋道も何もない感情論が横行している」というこの論の核心となる指摘は、当時の論議にもまして今日の論議に当てはまるからである。

 ちなみに、荏開津氏は、「19794月、農業調査のためアメリカを訪問した。農場を訪れて、初めてみるホルスタインの乳房の見事さに圧倒された。・・・・・・この感動が酪農業をみる私の視座を決めた」という叶氏の『農業・先進国型産業論』の書き出しを読み、「唖然とした」という。それに続き、荏開津氏は次のように言う。

 「一九七九年、日本には二〇〇万頭のホルスタインがいたはずである。ちなみにこの年の搾乳牛一頭当たり乳量は、アメリカが五二〇〇キログラム、日本が五〇〇〇キログラム、もっとも土地に恵まれて生産コストの安いニュージーランドでは、穀物飼料を用いないので乳量は三〇〇〇キログラムである。

 農業を研究するために、アメリカへ行って始めてホルスタインを見たなどというのは、私もウソだと思いたいが、もしホントであれば、この杜撰な出発こそ「叶理論」のすべての妄想と錯誤の出発点である。一戸でも二戸でも日本の酪農家を訪ねることもしないで、ホルスタインを見たこともない空虚な頭でアメリカに行ったのでは、「視れども見えず、聴けども聞こえず」となるのは、当たり前である。もし叶氏が日本の酪農家を訪ね、ちゃんとした準備をしてアメリカを訪ねていれば、アメリカでも日本でも同じ「ホルスタインの乳房」ではなく、アメリカと日本の酪農家の違いが、少しは目に写ったであろう。

 『アメリカの酪農業を実際にみて、私は自分が多くの誤解をもっていたことを発見した。第一に、西部劇のイメージをもっていたが、これは全くの認識不足であった』(叶氏)

 これは「誤解」や「認識不足」などというものではない。「誤解」は多少の「理解」を前提にしたものであり、「認識不足」は「認識が足りない」ことだと思うが、「荒野の決闘」や「赤い河」のイメージで酪農の調査にアメリカに出かけるのはいくら何でもひどすぎる。今一度、「赤い河」のジョン・ウエインひきいる壮大なキャトル・ドライブのシーンを見直してもらいたい」(同書 5758頁)。」

 次いで、荏開津氏は、アメリカも牛肉や酪農ではオーストラリアやニュージーランドのような「先進国」との競争に敗れているという叶氏の指摘を取り上げ、「先進国の中でも、農業の比較優位性に差があるという告白は重要である。『叶理論』がこの事実を認めるのであれば、日本は先進国であるから、日本のコメは国際価格で輸出できるはずという、短絡も甚だしい結論は論理的に出てこなくなるからである。

 しかしこの事実を認めると『叶理論』の特色や発見は何もなくなってしまう。すでに述べたとおり、農業においても、他の産業と同じように、ヒューマン・キャピタルや技術開発が重要であることは、誰も否定しない常識だからである。なぜ同じ先進国でありながら、牛肉生産でアメリカはオーストラリアにおされ、牛乳生産でニュージーランドに太刀打ちできないのか。常識からすれば、農業を論じるのに、農地賦存を考慮しない「先進国と発展途上国という二国モデル」が、そもそも根本から誤っているのである。

 『農業は平均的な工業分野以上に研究開発やヒューマン・キャピタルが重要な産業であると思う。これは十数年間、第二次産業の産業研究に従事してきた筆者の両者の相互比較分析からの判断である』

 さて、ここが「決定的ポイント」である。少しでも貿易理論になじみのある人であれば、右の『工業分野以上に』という部分の重要性は理解できるであろう。どん産業でもヒューマン・キャピタルや技術開発は重要であるが、それは『比較優位性』とは何の関係もないのである。『叶理論』を証明するためには『農業が工業以上に先進国型産業』である証拠を示さなければならない。・・・・・・

 『ヒューマン・キャピタル集約度を計測して産業間の比較をすることは実際上不可能であるが、状況証拠は示しうる』・・・・・・『アメリカ農業の本領は中西部コーンベルト地帯の農業であるが、そこでは農家に複数の息子がいれば、一番優秀なものが大学の農学部を出て農業後継者として残る。出来の悪いほうが都市の労働者になる』

 驚くべき『状況証拠』である。一体何を『証拠』に、こんな結論を下せるというのであろうか。いくら何でも、これはひどすぎるとしかいいようがない。・・・・・・私もこのような文章について、罵倒以外にどんな『批判』を書くことを思いつかないのである」(同書 5962頁)。

 

 「攻めの農業」への転換の参考にと、はじめてオランダの施設園芸をみて感極まった安倍首相をはじめ、規制改革会議の面々も皆同じベルだろう。彼らに対しては、荏開津氏の論の最終結論部分の次の言葉を贈ろう。肝に銘じて今後の農政論議に挑んでもらいたい。

 

 「日本の農業・農政は、現在本当の『曲がり角』に立っている。この曲がり角をどう曲がるかについて、国民の論議を尽くすべきである。議論を実りあるものにするためには、立場や価値判断の違いを超えて、共通の論理と事実認識をもつことが、何より必要である。・・・・・・

 日本の農業は、その乏しい土地賦存のために、近い将来において何の保護もなしに国際競争に耐えうる産業になることはできない。・・・・・・

 日本の農業の基幹である稲作が、どれだけ努力しても、五年や十年では国際市場で競争力をもつことができないのは、愉快な事実ではない。しかし、不愉快であろうと否と、それは事実である。日本の農地面積は所与の要素賦存であり、経営規模の拡大を中心とする農業構造の改善も、必須の急務ではあるけれども、民主主義、私有財産という政治と経済の基本的枠組みのもとで、白紙に線を引くように構造改善を進めることは、不可能であり、望ましいことでもない。

 農業保護に関する論議は、保護に対する賛否にかかわりなく、この正しい現実認識を基礎とすべきである。政策介入を排して市場原理を導入しさえすれば、貿易摩擦を解消し、財政負担もなくなり、日本の農業も繁栄するなどという甘い話ではない。厳しい現実を直視し、その現実認識の土台の上に立たなければ、農政論議は徒花に終わるしかないのである」(同書 6566頁)。

1225  

   「自分の頭で考えた形跡がない」

 「今回の決定は関電と規制委員会の見解をコピーしたような内容で、裁判官が自分の頭で考えた形跡がない」。福井地裁による高浜原発再稼働容認判決を受けての吉岡斉九州大学教授の言葉である(福島を忘れたのか 「闘い続ける」誓い新た 高浜仮処分取り消し 東京新聞 15.12.25 31

   今回に限らない。夫婦同姓合憲判決、安保違憲訴訟門前払い・・・みんなそうだ。 「自分の頭で考える」裁判官などもういないのかもしれない。そういえば裁判官だけではない。政治家、役人みんなそうだ。農業の国際競争力は圧倒的に土地の賦存量い依存する。国境を取り払えば小手先の構造改革や技術的なコスト削減でアメリカやオーストラリアに太刀打ちできるはずがない。「自分の頭」で考えれば自明なのに、政府や政党や地方自治体だけでなく、農業者(団体)までが実効あるTPP対策をなどと叫んでいる。国民もまた思考停止に陥っているようだ。

 これを要するに、人間の退化が進んでいるということだ。「人間はひとくきの葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。・・・われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある」(パスカル)。人間が考えるのをやめるとき、それは原発どころか、「蒸気や一滴の水」(パスカル)にも圧し潰される。

1224

 「原子力はとてもリスクの高い技術でひとたび間違いが起これば国が滅びる。再生可能エネルギーは仮に失敗しても大事にはいたらない」(ドイツ歴史学者・ラートカウ氏 「脱原発 ドイツはなぜできた 歴史学者ラートカウ氏に聞く」 東京新聞 15.12.24 朝刊 24面)

 バイオマス発電・メガソーラーは、「失敗」するならともかく、ビジネスとして成功すれば森林を丸裸にし、「国」どころか世界を滅ぼすリスクを抱えています。とりわけ現在のようなメガソの乱開発を放置すれば、常総市で起きた惨事を日本列島全体が体験することになるでしょう。

 遊休ゴルフ場が続々太陽光発電所に 日本はメガソーラーで洪水列島に,15.9.24

 メガソーラーで琵琶湖を望む荒神山がはげ山に?森を蘇らせた先人の祟りを畏れないのか,15.11.23

 京都南山城村の森林伐採メガ―ソーラープロジェクト 昭和28年の歴史的大水害を忘れたか,15.12.20

 さすがのラートカウ氏も、日本でいま何が起きているか知らないのでしょう。ここはバイオ燃料、固体バイオマス発電などの「持続可能性」に常に気を配っている(ビジネスの強力な圧力で決して十分とは言えませんが)ヨーロッパとは違うのです。

9月25日

 「違和感」、「野蛮」「聞く耳を持たない」 (前泊博盛沖縄国際大教授=政治学

 今日の東京新聞の特報欄、辺野古新基地建設計画について「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」とした翁長雄志沖縄県知事の国連人権理事会演説に菅義偉官房長官が「強い違和感」を表明したことを取り上げ、「国際社会から見れば、日本政府こそ「違和感」の塊ではないのか」と批判している。しかし、政府の態度は「違和感」を通り越し、「野蛮」、「聞く耳をを持たない」に等しい。この記事中、五十嵐正博神戸大名誉教授(国際法)は、「知事の演説は国際社会では当たり前に支持されるロジック。否定する政府の方が・・・野蛮な主張に聞こえる」と言い、前泊博盛沖縄国際大教授(政治学)は、「いじめられた人に、いじめた側が『いじめじゃない』と言い張るのと同じ。どうみても、聞く耳を持たないのは政府の方だ」と言っている。政府を批判したいなら「違和感」の言葉では足りない。

 辺野古は人権問題翁長知事が国連で言いたかったこと(特報) 東京新聞 15.9.25 朝刊 28-29

 なお、日本国民の3分の1もが「野蛮」な人、「聞く耳を持たない」人です(→内閣支持40%に低下、安保法54%評価せず 本社調査 日本経済新聞 15.9.21

6月19日

 「人材の過剰在庫」 「過剰在庫処分法」 東京新聞・筆洗高井としをさんが紡績工場で働き始めたのは、十歳の春だった。…(6月19日)

 労働者派遣法改正 「(派遣労働者は)これまでモノ扱いだったが。人間扱いなる」(厚労省幹部)

4月28日

 「放射線で死ぬっていうのは、どういう死に方なのか。すぐ死んじゃうのか、それともって」(2号格納容器破損の危機が迫る中、福島第一原発第二復旧班長曳田史朗56歳)

 全電源喪失の記憶 証言 福島第一原発 56 格納容器破損の危機 緊迫する対策本部 東京新聞 15.4.28 朝刊 4

 それでも父ちゃんの仕事がなくなったら大変と原発を棄てない全国の原発地元。事故が起きればなくなるのは父ちゃんの仕事だけではない、地域とその歴史そのものであることに未だ気づかない政治家たちがいる。

4月27日

 「第二次世界大戦における侵略国として、日本は謝罪を何時やめるかを決めるわがままを許されない」(4月27日付フィナンシャル・タイムズ紙社説)

 安倍首相の米議会演説は過去のやり方(村山談話*)を踏襲すべきである。さもないと、日本は「普通の」(normal)国として世界の信頼を勝ち取れないだろう。

 as the aggressor in the second world war, Japan does not have the luxury to decide when the apologies end. If Mr Abe is to persuade the world that Japan can be trusted as a “normal” nation, he should bite his lip and repeat the old formula.

 US should back Japan but not at any price-The aim must be to draw China into the world not to shut it out,FT.com,15.4.27;Financial Times,15.4.27,p.8

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US should back Japan but not at any price

The aim must be to draw China into the world not to shut it out


 

 *「・・・わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます・・・」

3月25日

 自衛隊「わが軍」(安倍首相)

 20日の参院予算委員会で維新の党・真山勇一氏の質問に答える中で。これを問題にする委員は一人もいなかった。「国会議員全体の劣化」と水島朝穂=憲法学早稲田大教授。

 →首相 国会で自衛隊「わが軍」発言 改憲へ本音透けた? 東京新聞 1.3.25 朝刊 26面(こちら特報部・ニュースの追跡)

1月21日

「人が亡くなった場所がなぜ、世界に誇る価値があるのか理解できない」「戦争の象徴である原爆ドームと比較すること自体おかしい」

 解体(町長)か保存(県)かで揺れる南三陸町の防災対策庁舎についての町職員遺族の発言

 解体方針ぶれないで 南三陸町防災庁舎で遺族会が町長に要望 三陸新報 15.1.20

 南三陸町の防災対策庁舎について、「県有化」による保存の意向を示している村井嘉浩知事が、28日に佐藤仁町長と町内で協議することになった。19日に歌津総合支所で開かれた移動町長室の席上、佐藤町長が遺族側に伝えた。
 移動町長室には、亡くなった町職員の遺族で組織する「防災庁舎解体を望む遺族会」(阿部勝衛代表)のメンバー7人が参加。佐藤町長は「報道以外、県の考えは私にはまったく分からない」などと述べ、解体を表明している町として、今後どのように対応していくかは言及しなかった。
 遺族からは「人が亡くなった場所がなぜ、世界に誇る価値があるのか理解できない」「戦争の象徴である原爆ドームと比較すること自体おかしい」と指摘。佐藤町長に対して「解体を決断した町長や町議会の責任は重い。ぜひぶれないでほしい」などと、解体方針の堅持を求めた。
 終了後、遺族会の千葉みよ子副代表は「このままでは町が二分してしまうことが懸念される。知事には町長だけでなく、遺族会にも説明する場をぜひ設けてほしい」と語った。

1月2日

 「誰が名誉に値するか決めることは政府の役目とは思わない」、そんなことより「フランスとヨーロッパの経済成長の回復に最善を尽くすべきである」(フランス政府によるレジオン・ドヌール勲章の受章を拒否する考えを示した世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者:トマ・ピケティ氏)。

 « Je refuse cette nomination, car je ne pense pas que ce soit le rôle d'un gouvernement de décider qui est honorable », a-t-il expliqué, ajoutant que l'Etat « ferait bien de se consacrer à la relance de la croissance en France et en Europe » plutôt que de distribuer ces distinctions.  

 仏経済学者、国家勲章受章を拒否 著書が世界的ベストセラー(共同) 47ニュース 15
 L'économiste Thomas Piketty refuse la Légion d'honneur,Le Monde,15.1.2

 もしこれが安部晋三だったら、「我こそこの賞に値する」

2014

12月27日

 「(ネオニコチノイド農薬の使用を強要する)カメムシ食害のよる『斑点米』の等級引き下げという農家泣かせの政策は、敗戦後の食糧難の時代を忘れ、世界中で飢餓に苦しむ多くの人たとがいることも顧みない日本人の思い上がりが産んだ愚かな政策です。

 その不徳はこのまま行けば、自らの身に降りかかり、徳無き国が歴史上辿った同じ衰退の道をこの国は歩むことになるでしょう。

 農業者、消費者、どちらもこの国の大切な宝です。そのどちらも益さないこの遇策直ちに取り下げ、真の豊かさとは何かについて、農の哲学と展望を築き直しましょう」

 (「斑点米農薬防除をやめて安全な米とミツバチを守ろう」集会(2014年11月5日)に寄せられた菅原文太さんのメッセージ)

 『てんとう虫情報』(反農薬東京グループ)2014年12月25日(第280)号4頁より

12月18日

 「稼働に必要な条件を満たしているかどうかを審査した。イコール事故ゼロではない」(高浜原発3、4号機の規制基準適合を認めた17日の記者会見における田中俊一原子力規制委員会委員長の話)

 東京新聞12月18日朝刊2面「核心

 これはつまり、絶対に安全な原発はないと認めたこと。それでも原発を稼働させるとすれば、それは人の健康と命を軽視・無視するということだ。原発再稼働は、まさに安倍政府・自民党にふさわしい選択だ。

12月11日

 「東京電力福島第1原発の恩恵を受けてきた関東地方の人たちが、(指定廃棄物の)福島集約化を主張するのは言語道断と言わざるを得ない」―東大大学院総合文化研究科高橋哲哉教授(哲学)

 <衆院選>指定廃棄物の福島集約 割れる見解 河北新報 14.12.11

 「関東地方の人たち」のために、例えば塩谷町がなぜ最終処分場を引き受けねばならないのか。塩谷町に福島第一原発の「恩恵」を受けたのだから引き受けねばならないと言えるのか。最終処分場問題は福島第一原発の「恩恵」をもち出すことでは決して解決できない。哲学者たる者が「言語道断」とは「言語道断」だ。

 関連ニュース:「指定廃棄物」 最終処分場候補地各候補「反対」も異なる主張(栃木) 東京新聞 14.12.11

12月2日

 「指定廃棄物は私たちの日常生活から排出されたもので、原子力発電施設から出る放射性物質とは全く次元が異なる」―福田富一栃木県知事

 指定廃棄物処分場問題で知事明言 「福島にお願いできない」 下野新聞 14.12.2

 頭は確かか。栃木県民の「日常生活」が指定廃棄物に含まれる放射性物質を「排出」していたなんて、首相でも気がつくめえ。おしゃかさまも、いやもう、たまげたのなんのって。(この伝でいけば、福島県の除染廃棄物も、「原子力発電施設から出る放射性物質とは全く次元が異なる」ことになる?!。除染廃棄物は除染廃棄物、「原子力発電施設から出る放射性物質」そのものではない―いろんな廃棄物から分離した放射性物質だけ「原子力発電施設から出る放射性物質」であるとでも言うのでなければ、こんな理屈は成り立たないのだから

11月28日

 規制委員会がいたずらに早急に、新規制基準に適合すると判断して再稼働を容認するとは考えがたい」―裁判官の歴史的妄言?

 大飯原発3、4号機、高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを求めた滋賀県住民等の仮処分の申し立てを却下した大津地裁の決定を理由づける山本善彦裁判長の言葉(高浜、大飯原発再稼働差し止め却下 仮処分申し立てで大津地裁 福井新聞 14.11.27)。これは規制委の買いかぶりか、規制委の仕事の誤解に基づく裁判官らしからぬ「歴史的」妄言ではないか。

 規制委は規制基準に適合するかどうかを判断するだけで、稼働の可否を決定するのは地元自治体・県・国である(それでいいかどうかは別問題。川内原発再稼働をめぐる動きに示されるように、それが現実である)。

 規制委が基準に不適合と判断すれば地元も国も稼働を「容認」できないが、規制委がそういう判断を下すと裁判官が確信したのだとすれば、それは勝手な思い込みか、規制委の買いかぶりとしか「考えがたい」。

 弁護団長の井戸謙一弁護士は「裁判所は規制委が再稼働容認の判断を出せる状況ではないと明言した。規制委は厳粛に受け止めるべきだ」と述べたそうだが(大飯、高浜再稼働 「早急な容認考えがたい」 東京新聞 14.11.28 朝刊)、これは「期待」にすぎず、規制委の判断は「科学」に基づくもの、裁判所の見解で動くものでもないだろう。

11月19日

 「燃料電池車がEVに勝つ可能性はないと思う」、「水素は製造に莫大(ばくだい)なエネルギーを使い、きちんと貯蔵するのも難しい」(米電気自動車(EV)ベンチャー、テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者)

 燃料電池車 普及へ課題 トヨタ来月15日発売「ミライ」 東京新聞 14.11.19

9月29日

 「真の寛容性が問われる」(看護師・宮子あずさ氏)

 今日の東京新聞・本音のコラム(27面)に掲載された「美談を超えて」と題する氏の一文の一節である。この文の全文を書いておこう。近頃、安倍総理だけでなくマスコミやネットに投稿する多くの国民が、このように熟考することなく、自分の固定観念に基づいて他者を一方的に断罪する、その言葉が過激であればあるほど多くの人の喝采を浴びるという風潮が目に余る。そういう人たちがこの一文を見て、何か言う前に熟考してほしいと思うからである。

 「白杖をついて歩く全盲の女子生徒が、ぶつかった男性から右足を蹴られる暴行を受けた事件。報道によれば、容疑者と特定された男性は、知的障がい者だった。

 この事件をきっかけに、視覚障がい者が外出に恐怖を覚えている実態が明らかになった。では、一方の知的障がい者はどうすればいいのだろう。

 彼は白杖にぶつかり、転倒したらしい。仮に白杖の意味が分からなければ、いきなり杖で転ばされ、本当にこわかったと思う。私がいま、精神科訪問看護で関わる利用者の中にも、ごくわずかながら、彼のように反応しかねない人がいる。

 だからといって、彼らは常に衝動的なわけではない。杖で倒されるのはきわめて非日常的な出来事。それに対応できないからといって、外出を禁じるのはあり得ない。

 一方、女子生徒にも全く瑕疵はない。一部に謝罪がなかったことを問題視する発言も目にした。だが、見えない状況で、事態を把握するのはこわめて困難。後から彼女が語ったことが、瞬間的に理解できていたと考えるのは浅薄に過ぎる。

 社会に出る障がい者が増えれば、障がい者同士が折り合わない状況も起こり得る。解決は難しいが、現実は直視しなければならない。さもないと、障がい者の人生を分かりやすい美談に押し込めることになる。真の寛容性が問われる社会の正念場である」

9月20日

 「(事業者に)専門的なコメントをする委員だった。全く別の観点で審査する」(新原子力規制委員・田中知氏)

 事業者への専門的コメントと規制委員会での専門的コメントは全く別物とでも言うのか?寸分の狂いも許されね原発で二枚舌とは。原子力規制への信頼は揺らぐばかり。

 核燃審査「別の観点で」=報酬受領の新委員・田中氏-規制委 時事ドットコム 14.9.19

9月18日

 1. 「本当の目的は復興に見せかけた汚染ごみの運搬ルートの確保と思わざるを得ない」

 国道6号富岡町-双葉町間の通行規制解除(9月15日)について、除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の候補地の目と鼻の先に自宅があり、避難先の茨城県古河市から現場にかけつけた大沼勇治さん・38歳

 福島・6号線ルポバリケードずらり、残る高線量(特報) 東京新聞 14.9.18 朝刊 26-27

 2.「中止命令はするけれども、絶対に中止しては駄目だ」

 2011年3月12日 東電福島第一原発1号機へのやっと可能になった海水注入をやめろという東電武黒一郎フェローの指示を受けた吉田昌郎所長、 「円卓にいる連中には『中止』すると言いましたが、それを担当をしている防災部長には、ちょっと寄っていって、『中止命令はするけれども、絶対に中止しては駄目だ』と指示をして。それで本店に『中止した』という報告をしたということです。

 調書は語る 吉田所長の証言③海水注入 ためらったか 東京新聞 14.9.18 朝刊 4

8月19日

 「自分の損得より全体の利益」(村井宮城県知事)

 「宮城県の村井嘉浩知事は18日の記者会見で、米軍普天間飛行場移設に向けて名護市辺野古の沿岸部でボーリング調査が始まったことについて『・・・全体の利益のためだ。沖縄県民の皆さまも理解できない部分があろうと思うが、協力していただければと思う』と述べた。

 村井氏は今月4日、放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場候補地で、国のボーリング調査を受け入れる方針を表明している。

 村井氏は「(処分場問題は)辺野古とは全く次元が違い、同列に扱うことはない」とした上で、『私は物事を判断するときは、自分の損得より全体の利益を優先してやってきたつもりだ』と強調した」 

 とのことである。  

 「沖縄は辺野古協力を」 村井嘉浩宮城県知事 沖縄タイムス 14.8.19

 「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(日本国憲法第13条)

 沖縄県民が「公共の福祉」に反する何をしたというのか。話が逆ではないのか。

 村井氏の思想は、「個人」を最初から尊重しない「全体主義」の思想とどう違うのか。日本は、いつから「全体主義」の主張が堂々とまかり通る国になったのだろう。

8月18日

「避難指示は極めて強い制限。解除の要件が整えば、憲法で保障される居住や財産の権利を侵害し続けることができない」

福島県川内村の原発事故に伴う避難指示解除準備区域の避難指示解除に関する17日の住民懇談会においての政府原子力災害現地対策本部長の赤羽一嘉・副経済産業相の発言。

福島第1原発事故 川内村、住民猛反発 避難指示解除 政府説明に賛同ゼロ 毎日新聞 14.8.18

「いつまでも賠償は続けられない、早く打ち切りたい」という言葉をこう言い換える傲慢さと狡猾さ。安倍総理も拍手?

8月12日

 「平和を維持するための政治的選択について語りたいなら、長崎市長を辞職して国政に出ることだ」(自民党・土屋正忠衆院議員)

 「長崎市の田上富久(たうえとみひさ)市長が9日の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典で読み上げた平和宣言で、集団的自衛権の行使容認に対する被爆者らの懸念に言及したことについて、自民党の土屋正忠(つちやまさただ)衆院議員=東京18区、2期、写真=が自身のブログで」このように批判したそうである(長崎市長平和宣言を自民議員批判 「集団的自衛権言及なら国政で」 東京新聞 14.8.11 夕刊)。

 自治体首長の立場にある者が「平和を維持するための政治的選択」について発言してはならないということらしいが、当の土屋氏、武蔵野市長時代に「世界連邦運動協会武蔵野支部」の顧問を務めていたということだ。この支部のホームページには、「世界平和という大目的を掲げながら、世界連邦武蔵野支部は小さいながらも一歩づつ具体的な活動を通して平和への道を歩いています」とあります。これは「平和を維持するための政治的選択」そのものと言えないでしょうか。土屋議員、そんな昔のことはもう忘れた?

 ちなみに、この団体のお陰でできたと思われる武蔵野市議会の「世界連邦に関する宣言」は次のようなものです。

 「武蔵野市は、世界の恒久平和と人類永遠の繁栄を保障する世界連邦の建設に同意し、武力国家の対立を解消して、英知と友愛に基づく世界の新しい秩序の実現を希求する。人類最初の原爆被災国として、また戦争放棄を憲法に明記した国として提唱し得る最適の立場にあることを確信し、この宣言を行ない、他の宣言都市と相携えて、世論を喚起し、これを国政に反映せしめ、速やかに国家宣言を行うとともに、進んで現行の国連憲章の改正により世界連邦の実現を期するものである。 右宣言する。

 昭和三十五年六月二十八日
 武蔵野市議会」

 世界連邦運動協会武蔵野支部(http://www.wfmjapan.org/009/index.html)

6月28日

 「国民の命と暮らしを守る」

 安倍首相は集団自衛権を行使して「国民の命と暮らしを守る」と言います。国際環境の変化からして、集団自衛権なしでは「国民の命と暮らしは守れくなっている」ということのようです。しかし、集団自衛権の行使は、場合によっては二度目で最後の核兵器攻撃で日本が滅びることにもつながります。集団的自衛権の行使で「国民の命と暮らしが失われる」ということになります。

6月25日

 ①ニホンウナギ 「スローフード」に戻れ

 今日の神奈川新聞の社説(http://www.kanaloco.jp/article/73543/cms_id/88080)のタイトルです。

 ②「セクハラ」と「性差別」

 セクハラではなく性差別 都議会やじの呼び方 東京新聞 14.6.25 朝刊 26面

3月28日

「住民は避難することを受け入れてはいけない。悲惨な生活があるだけだ。事故が防げないのならば、危険な原発こそが避難するべきものだ」―井戸川前双葉町町長 伊方町での講演で

前双葉町長、伊方で脱原発講演 町施設の利用拒否一転(別冊南海日日新聞) 東京新聞 14.3.28 朝刊 27

3月15日

「日本は安全に廃炉にする技術を身に付け、ビジネスにすればいい」

自民党内の反原発派として知られる河野太郎氏が藤沢市での講演会で。 質疑応答では「原子力は国際的ビジネスになっている。やめられるのか」と問われ。

「廃炉技術をビジネスに」 河野議員が講演(神奈川) 東京新聞 14.3.15

3月3日

 「溶融燃料取り出しは30年でも無理。(作業員の)被ばくを考えたらやめた方がいい。形状もめちゃくちゃだし、高レベル廃棄物よりも危険」(福島事故原発廃炉作業について、班目春樹前原子力安全委員会委員長)

 「事故に学ぶ姿勢足りず」=新規制は「ハード偏重」-班目氏〔東日本大震災3年〕 時事ドットコム 14.3.2

2月11日

「東京が日本を駄目にしていく」

 首都圏唯一の原発の日本原子力発電東海第二原発が立地する茨城県東海村の前村長村上達也氏(70)は、九日投開票された東京都知事選で脱原発を訴えた細川護熙(もりひろ)、宇都宮健児両氏が敗れたのを受けて、本紙の取材に「極めて残念。東京都民は目先の経済だけを追い、歴史的な大きな間違いを犯した」と強い口調で批判した。「都民は東京電力福島第一原発事故を忘れ、平和憲法の精神を壊そうとする安倍政権を支持した。東京が日本を駄目にしていく」とも述べた。

 都知事選「目先の経済追う 歴史的過ち」東海村前村長が批判 東京新聞 14.2.11 朝刊

2月3日

 「貿易に関してはオバマがハムレット王子とすれば、(貿易促進権限法反対を表明した)リード上院院内総務はベガスから来た早打ちガンマンだ。これは競技などではない。ハムレットとカウボーイの 決闘だ、生き残れるのはどちらか一人だけだ」

 Obama’s trade agenda hangs on a thin Reid(By Edward Luce),FT.com,14.2.3

2013

12月11日

 「そんなことは猿でも分かる」

 ニホンザルが集団で芸をするテーマパーク「日光猿軍団」(栃木県日光市)が、今年いっぱいで幕を閉じる。二十二年間に延べ約一千万人が訪れ人気を博したが、東京電力福島第一原発事故で外国人調教師が帰国するなど先行きの見通しが立たなくなった。軍団を興した間中(まなか)敏雄校長(65)は「『そんなことは猿でも分かる』と人間はよく言うが、自分たちはそんなに賢いのかねえ」と、事故後も原発を続けるような動きに憤る。・・・(放射能なければ軍団つながった 年内閉園「日光猿軍団」 東京新聞 13.12.11

11月7日

官邸主導止められず」 「十年先では廃止しないのと同じだ」

減反5年後廃止 官邸主導止められず コメ農家「これ以上安く無理」 東京新聞 13.11.7 朝刊 6

 「裏で糸を引いたのは、農業改革(?農業潰しの間違いではないか―農業情報研究所)をアピールしたい菅義偉官房長官と改革を成し遂げられなかった過去を持つ石破幹事長(注)だと農水省幹部 はみている。谷津氏ら大物農林族が続々と政界を去り、抵抗勢力が少なくなたったことも追い風になった。
 三年後の減反廃止に猛反発し、『十年後の廃止』を官邸に打診した農水省も、『十年先では廃止しないのと同じだ』と押し返され、折衷案として五年後の廃止を受け入れざるを得なかった」

 (注)農相時代の09年 農家選択生産調整の導入を主張して農林族に蹴散らされ、行政主導の減反と事後的米価支持(余剰米政府買入れ)が復活の契機を作った。それが2010年、民主党政権による戸別所得補償制度の導入によって図らずも、自由に生産したい者は生産調整に参加せず、生産調整参加者は一定の所得補償を受けとる現在の選択的生産調整に移行することになった。

 現在の生産調整制度は、自由に生産したい者には自由に生産することを許しているのだから、それが農家の「やる気」を削ぐという批判は当たらない。この意味では、生産調整をやめねばならない理由はない。

 生産調整が米価の低下を妨げているために、中小農家が生産性改善に本気で取り組まないとか、農地を手放さないために農地集積による大規模農家の育成が進まないという別の批判もあるが、生産調整で維持されている現在の米価(平均的にはおよそ60㎏1万5000円程度)では平均生産費(2011年に1万6000円)をかつかつカバーできるかどうかのレベルである。販売目的水稲作付農家の90%に相当する2㌶未満作付農家の生産費がこのレベルを上まわっている。 水路の管理などで大きな役割を演じるこういう農家がいなくなれば、地域の「担い手」もやっていけない。

 

 従って、生産調整による高米価が効率的大規模農家の増加を阻んでいるという主張も当たらない。中小農家が農地を手放さない理由は別にある。何のための生産調整廃止なのか。政府・自民党には説明責任がある。

 「十年先では廃止しないのと同じだ」?自民党の農業・農村所得倍増計画は10年計画ではなかったか。それじゃ何もしないのと同じということか。

11月6日

「県は国よりも地域のことを見ていない」

 「漁業や生活に支障が出る」と、10メートルを超える高さの防潮堤建設にせめて5メートルにと異を唱える気仙沼市唐桑町鮪立(しびたち)地区住民に対し、県は鮪立を含む唐桑半島西北部の防潮堤は9.9メートルで統一する方針「鮪立だけ低くはできない。9.9メートルで地域一帯を守る」と頑として譲らない。

 「国は2011年7月に防潮堤高の設定について都道府県に通知。自然条件が同じ地域内の港湾は同じ高さでの策定を基本とした。一方で「(地域を)分割して複数の津波水位を定めることができる」「(防潮堤高は)周辺景観との調和、公衆の利用等を総合的に考慮して定める」と柔軟な対応を促している」というのにだ。

 そこで、元遠洋漁船員小松茂喜さん(66)は「県は国よりも地域のことを見ていない。防潮堤は維持費も掛かる。慌てて造らず、避難道整備を優先するべきだ」。

 防潮堤整備合意、高いハードル 気仙沼・鮪立漁港 河北新報 13.11.6

 震災前、気仙沼は私の大好きな町の一つだった。だが、折角戻りつつある生態系も台無しにされ、海も見えない気仙沼をわざわざ訪れる気はしない。気仙沼は多くの観光客を失い、漁業や住民生活だけでなく、経済も立ち行かなるだろう。県、村井知事はどう責任を取るのだろうか。

10月29日

「多額の補助金を支出する保護政策を続ければ続けるほど農業は弱くなる」

秋田県の佐竹敬久知事は28日の定例会見で言った言葉(知事「減反見直し、やむを得ない」 秋田さきがけ 13.10.29)

EUや米国は日本よりも「多額の補助金」を出し続けている。知事の考えに従うと、EU農業も米国農業もとっくの昔に滅んでいるはずなのだが・・・。

この人の認識能力と思考回路はどうなっているのか、安倍首相と同様、常人には想像も出来ない妄想の世界に遊んでいる?

10月22日

「政権の責任者としては、エネルギーの安定供給、費用低減の観点から責任あるエネルギー政策を進めていくことが必要だ」(安倍晋三首相 小泉純一郎元首相が政府・自民党に求める「原発ゼロ」への政策転換に応じない理由として 10月21日 衆院予算委員会)

「イギリスは高価な原発の代わりの電力源を排除してはならない」(フィナンシャル・タイムズ紙社説 13年10月22日)

 ⇒Editorial:Going nuclear over rising power costs ,FT.com,13.10.22,Financil Times,13.10.22,p.8

「すべての代替エネルギー源を無視した高価な原発協定」(Nick Butler キングズ・カレッジ・ロンドン・キングズ政策研究所)

 ⇒Comment:An expensive nuclear deal that ignores all the energy alternatives,FT.com,13.10.22;Financial Times,13.10.22,p.9

原発が一番安上がりなエネルギーと思っているのは、少なくとも先進国では日本だけのようです。

10月21日

「明治に人権尊重「五日市憲法」 皇后さま強く感銘」

 これは2013年10月20日付東京新聞1面の記事の見出しそのものです。20日に79歳の誕生日を迎えられるに際しての宮内記者会の質問に寄せた回答文書の中の皇后さまのお言葉をこのような見出しにまとめた。

 皇后さまは昨年1月、天皇陛下と東京都あきる野市の五日市郷土館を訪れ、展示されている草案を視察した。そして、この文書で、「明治憲法の施行に先立って東京・奥多摩地方で起草され、基本的人権尊重や教育の自由などに触れた「五日市憲法草案」について、「世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います」と強い感銘を受けたことを明らかにした」。

 「草案は、小学校の教員や農民たちが話し合いを重ねて書き上げた。皇后さまはこうした経緯に触れるとともに、同様の民間の憲法草案が日本各地で作られていたと郷土館で説明を受けて「長い鎖国を経た十九世紀末の日本で、市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するもの」と印象に残ったと記している」という。

 皇后さまのこのお言葉を取りあげたマスメディアは、私の知るかぎりでは東京新聞以外にはない。日本の民主主義を守る最後の砦は政党でも新聞でもテレビでもない、当代天皇家ではないかとさえ思わせる。

 明治に人権尊重「五日市憲法」 皇后さま強く感銘 東京新聞 13.10.20

 なお、五日市憲法については、今年1月27日付の「今日の言葉」でも取り上げたので参照されたい(⇒明治初期に多摩の民衆がつくった「五日市憲法草案」(私擬憲法)・・・)。多くの人、特に安倍首相をはじめとする憲法改悪論者が五日市郷土館を訪れるように望みたい (そこで感銘をうけないようなら救いはないが)。

10月9日

「火に油を注いでいる」

 「飛んで火にいる夏の虫」と思っていた日本が「年内妥結」と、いつの間にか不在のオバマに代わって消えかけたTPPの「火に油を注いでいる」。日本の狙いは何なのか。妥協許すまじの米国多国籍企業(U.S. firms urge Washington not to rush through landmark trade deal,Reuters,13.10.7)や自動車産業、米国議会は警戒を強めている。

 デトロイト新聞(農業情報研究所) 2013年10月9日創刊号(2号以下は多分ないと思いますが)より 

 9月26日

「財産を守るというが、小泉地区の自然など、逆に財産を失う」

防潮堤建設足踏み 小泉海岸「合意」に住民反発 三陸新報 13.9.26

 気仙沼市本吉町小泉地区の中島海岸に予定されている14・7メートルの防潮堤建設計画について、住民側から待ったが掛かった。これまでの説明会で反対意見は少なく、県は「おおむね合意できている」と見なしてきたが、24日夜に小泉小学校で開かれた公共土木施設の災害復旧説明会で、住民側は「計画に納得している訳ではない」と反発した。
 3回目となった説明会には、地域住民ら約100人が出席した。昨年7月と同10月に開かれた意見交換会で反対意見は少なかったが、今回は「反対意見がないことが賛成ではない」「財産を守るというが、小泉地区の自然など、逆に財産を失う」「合意形成が図られていない」といった意見が続出した。

 朝な夕なの海の眺望と自然との接触を奪われては、ここに活きる意欲も萎えるだろう。 都会人の役人には、そんなことも想像できない。何が復興か?

 ⇒海の子ホヤぼーや振るわず 海との共生関係を断つ官主導巨大防潮堤計画で市民興ざめ?

「緊急事態」今も発令中

 ・・・二〇一一年十二月六日の野田佳彦前首相の「収束宣言」で「緊急事態宣言」が終了した勘違いされている人が多くないか。それにしても、緊急事態が継続中というのに世の中の緊張感の希薄さはどうしたものか。ちなみに同法に基づく災害対策本部長は、あの五輪招致で大見え切った安倍晋三首相なのです。

 東京新聞読者投稿欄 13.9.26 朝刊 5面

8月27日

「心のバリアフリー社会」(猪瀬東京都知事 二〇二〇年夏季パラリンピック招致についてのインタビューで「都の障害者対策をどうするか」と問われて)

ちなみに前後も引用すると、「目指すのは、すべての都民が障害の有無によって分け隔てられずに共生する「心のバリアフリー社会」。バリアフリーと少子高齢化対策が連動する形を考えている。たとえばシェアハウスの中に高齢の夫婦、子育て中の夫婦、学生などでコミュニティーをつくる」

小生の頭が悪いのか、何のことやらさっぱり分かりません。都知事である以上、当然「都市計画」の話かと思いきや、ただただ、障害者も、年寄りも、子育て夫婦も、若者も、みんな仲良く、和気あいあいと暮らしましょうと精神論をぶっているだけのように見える。

家の中や道路の段差はなくす、すべての駅の障害者や年寄りも利用しやすい場所にエスカレータやエレベーターを設置する、もたもたしている障害者や年寄りにぶつからんばかりに自転車が飛ばす「共生」歩道をなくす・・・そんな言い方では高邁な思想を売りにする政治家に似合わないとでも思っているのだろうか

しかし、心(上部構造)は空間(下部構造)のしばりから逃れることはできません(アンリ・ルフェーブルの現代的唯物論)。大事なのは空間です。

8月16日

 ぜひ、地方自治という趣旨は何なのかということは再認識していただきたい」(石原伸晃環境相)

 「地方自治の趣旨 再認識を」 責任転嫁めぐり石原環境相福島民友 13.8.16)から

 農業情報研究所:ここにも大臣不適格者がいる。

8月14日

 「事故から二年半たつのに、いまだに応急処置ばかり。場当たり的な対応ではどうしようもない」(汚染水タンク増設に追われる作業員)

 福島第一 熱中症対策に早朝作業酷暑も敵(東京新聞 13.8.14 朝刊)から

8月9日

 ① 「道徳的な敏感さ」 「ドイツが二度目の敗戦で目覚めたとすれば、日本は二度目を必要とするのか」(佐藤健生 東京はワイマールではない 『世界』2013年9月号)

 「日本とドイツの過去への向き合い方の中で、もっとも違いを感じるのはセンシビリティの問題である。ドイツではそれは、自国の過去に対する『道徳的な敏感さ』という言葉で表現される。一九八〇年代後半の西独でナチズムの比較可能性をめぐって展開された『歴史家論争』において、ミュンヘンの現代史研究所所長ブロシャート氏が述べた言葉である。

 彼によれば、戦後の西独において培われた最良の財産が『道徳的な敏感さ』 であり、それは自国の過去に対峙する基本的姿勢である。具体的に言えば、かつて加害の対象であった国でどう振る舞うべきなのか、自分の行動の相手はどう受け止めるのかを想像した上で行動することである。これは戦後ドイツに限定されて考えられるべき概念ではない。当然、日本においても意識されるべきものであるはずだが、相手の嫌がるのを知りつつそれをあえて行う政治家の存在を考えれば、日独の差は明らかであろう。

 歴史への敏感さをもって行動するべきなのは、政治家だけではない。ソウルの三・一運動発祥の地タプコル公園(パゴダ公園)で、日本の若者が韓国のオモニから日本語で説明を聞いた後、『日本語がお上手ですね。どこで習ったのですか』と質問した例を知っているが、言うまでもなく、日本の明治時代の皇民化教育の基礎的な事実を知っていれば発することのできない質問である。

 ・・・・・・

 歴史的事実を知り、自らの言動がどのように受け止めらるのかという敏感さをもって行動することが、とりわけあの時代とは無援の若者(安倍総理、麻生副総理をはじめとするほとんどすべての現代の政治屋たちもこれに含まれよう―農業情報研究所注)たちに求められているのではないだろうか。

 当然、若い世代には、戦争の直接的な罪はない。簡単に言えば、継承すべきは罪ではなく責任だということである。・・・若い世代の責任とは、『知る』責任である。そのことが自覚されているからこそ、『私たちはナチスの蛮行を知らなかった』という言い訳は『知ろうとしなかった』のだと反論される。

 ・・・・・

 ドイツは、一度の敗戦に懲りずに二度目を引き起こし、しかもホロコーストという新たな罪を伴ったうえに、首都決戦にまで至る完全な敗北を喫したのである。

 ドイツが二度目の敗戦で目覚めたとすれば、日本は二度目を必要とするのか。・・・」

 ② 「原発事故は過去のものではないし、現在も続いている。それを知っている若者は少ない。・・・」 「分かろうとすること、考えることをやめちゃいけない」(事故後の生徒たちの日常をまとめた『相馬高校から未来へ』と題する映像作品の中で、インタビューを受けた生徒たちの言葉)

 福島・相馬高校放送局にJCJ特別賞 原発事故まっすぐ伝えた タブー恐れず高校生の心表現 東京新聞 13.8.8 朝刊 26面(こちら特報部 ニュースの追跡)より

8月8日

 「非常識を放置しているうちに、国民がそれに慣れてしまうことが最も怖い」(森田 実氏)

 共産党員や社会民主党員の恣意的逮捕の騒動の中で無理やり国会議員の3分の2以上を確保して全権委任法成立を成立させたナチス・ドイツについて、「いつの間にかナチス憲法に」と言う麻生副総理、王権時代に「憲法」が存在したためし(例)もないのに「権力を縛る考えは王権時代の憲法」と言う安倍総理、ここに言う「非常識」とは政府2トップのこういう類の「非常識」(無知)をいう。(政府2トップのトホホな見識(特報) 東京新聞 13.8.8 朝刊 2425)。しかし、電子ブック・スマホ全盛で歴史本など見向きもしなくなった多くの国民は、とっくの昔にこれを「非常識」と見抜くこともできなくなっているのではないか。

8月6日

 「ダブルパンチ」 「一方改革」

 年金生活者にWパンチ社会保障会議最終報告(核心) 東京新聞 13.8.6 朝刊 2-3面

 一体改革ほご 増税根拠も崩れ 東京新聞 13.8.6 朝刊 1面 

 三党が消費税増税関連法を成立させてから一年。増税で国民が安心できる社会保障制度がつくられるはずではなかったのか、という国民の疑問だけが残った。
 消費税増税が十月にも正式決定されれば、税と社会保障の双方で国民に負担増が押し寄せる。一体改革は消費税増税だけの「一方改革」に変質した。

 [農業情報研究所:それでも、大方の国民の関心は、景気、景気、景気・・・ということだそうです。大して困ってもいない人が、もっともっとよくなれと笑顔で叫んでいます。本当に困っている人たちは、多分、声も出なくなっているのでしょう。]

8月5日

 「強制捜査はまだか」 福島原発告訴団いわき市集会(5月4日)

 責任追及へ決意新た 原発告訴団がいわきで集会 福島民友 13.8.5 

81

 「おいしい」 「首相官邸で使っているコメと炭酸水も福島県産だ」(安倍首相 ミスピーチから福島産桃を贈られて)

 風評被害払拭へ 福島産モモ回復を首相にPR(河北新報 13.8.1)

 小生も毎年、桑折町に住む妻の知人から送られてくる桃を「おいしく」頂いている (孫に食べさせることはできないが)。しかし、生産者の被ばくへの心配の方が先に立つ。風評に負けないでなど言う気にはとてもなれない。むしろ、できることならあまり頑張らないでくださいと言いたい。もし自分が首相なら、ミスピーチの前でニヤけている前に、「農産物に関する放射性物質汚染対策の根幹は、土壌をはかることにあり、それを広域に網羅した土壌汚染マップの作成」(小山良太氏、【提言・震災復興と協同組合】福島第一原発事故・県民と協同組合の苦闘続く 小山良太・福島大学経済経営学類准教授、うつくしまふくしま未来支援センター・産業復興支援部門長より)を急げと号令をかけるだろう。それこそ「食品汚染の問題や農業の再開だけではなく、外部被曝や損害賠償の問題も含めて非常に重要な対策である」からである。「風評」の根源だって、国がこんな基礎的対策を未だに怠っていることにある。

729

 (逮捕後、ベラルーシ政府は、事故以来住民が避難していた汚染地域への「再入植」方針を打ち出した)「ベラルーシ国民の放射能への意識は高いが、政府が内部被ばくの影響を軽視している以上、汚染地域で静かに生活するしかない」

 体内にセシウム 心臓疾患まねく チェルノブイリ事故で警鐘 論文発表後逮捕「不屈の学者」 「汚染食品食べない努力を」(佐藤 圭) 東京新聞 13.7.29 朝刊 24面より

 農業情報研究所:避難指示が解除された日本の避難区域住民の運命に重なる。

717

 「小異捨て、勝てる候補に」 棄権なら「白紙委任」

 「脱原発」票生かすには公報で触れぬ党「不誠実」(特報)(東京新聞 13.7.17 朝刊  24-25面)より

 農業情報研究所コメント

 とおっしゃいますが、本日付本紙で発表されている共同通信世論調査結果を見ても、参院選での与党圧勝はほぼ確実なようです(参院選終盤情勢 自民改選倍増の勢い 投票先未定なお4割)。そうである以上、投票しようが棄権しようが結果とはほとんど無関係です。マスコミが投票に行っても無駄と煽っているようなものです。こうなっては、もはや日本の将来はないと覚悟すべきです。原発もだが、改憲で将来の子たちは戦地に送られ・拒否すれば軍法会議で処刑、TPPで日本は「やる気のない者はサッサと消えろ」、「働かざれば食うべからず」と「他人の不幸を喜ぶ*国に。これから子を育てる若者たち、心配なら投票は捨て、もっと平和で暮らしやすい海外に逃げ出すのが一番です。

 *これはノーベル経済学賞のクルーグマン教授が、穀物価格高騰で大儲けの大規模農業者に大判ふるまいする一方、まともな仕事にありつけず、日々の食料にも事欠く人々の食料購入を支援する「フードスタンプ」計画を切り捨てた新農業法案を採択(7月11日)した米国議会下院共和党議員の、経済学の教義とか利己主義とかを超えた「精神状態」を形容した言葉です。

 フードスタンプ切り捨てに賛同した一議員は、「政府には、銃口を突き付けて人々からカネを巻き上げ、これを貧民に配る権利はない」(その代り、銃口を突き付けて人々からカネを巻き上げ、これを大儲けしている大規模農業者に配る権利はあるらしい)、「働かざる者は食うべからず」(新約聖書)と言っているそうである。

 Op-Ed Columnist Hunger Games(By PAUL KRUGMAN),The New York Times,13.7.15

715

 『無駄な視察なら来るな』 視察に来ても作業の邪魔になるだけ・・・。大迷惑だ。

  参院選まっただ中だが、政治が福島や福島第一原発の現状を変えてくれるだろうか。今までを考えると、期待できない。何人もの政治家が福島第一を訪れたが、アピールのために来るのはもうやめてほしい。視察に来ても作業の邪魔になるだけで、現状が改善されるわけじゃない。大迷惑だ。
 
 これまで視察団が免震重要棟にいるときは、出入口に「視察対応」と表示され、作業員は暑かろうが寒かろうが中に入れなかった。報道陣が来ても同じ。作業員と接触し、何かしゃべったら困るということだろう。作業が終わって、一刻も早く休憩したいときも帰りたいときも、延々と外で待たされる。
 
夏は熱中症の心配もある。炎天下の作業で疲れて帰ってきて、外で待たされるのはつらい。腹もすいているし、トイレにも行きたい。いらいらした作業員から「早くしろ」「いいかげんにしろ」とブーイングが起こる。視察団に何かあってはと作業も止められるし。
 
見に来るなら、待遇悪化で苦しむ作業員やなかなか作業が進まぬ現状を、本気で変える気で来てほしい。

 ふくしま作業員日誌 『無駄な視察なら来るな』 (56歳男性) 東京新聞 13.7.14 26

710

「各県へ分散させるよりも、福島県の何百年と人が戻れない場所で処分すべき」 

 「群馬の指定廃棄物処分場選定をどう考えるか」と問われて、加賀谷富士子氏(民主・新)参院選 課題の現場から(2)指定廃棄物(群馬) 東京新聞 13.7.10 

 さすが政治家、安倍、石破、高市、石原、橋下、渡辺等と同様、これは普通の人間ではない。

72

 「どこまでつけ込むつもりか」、「横紙破りだ」

 査定される地方/どこまでつけ込むつもりか(社説) 河北新報 13.7.2

 (念のため全文引用しておきます)

  「景気回復で所得アップ」という掛け声とは裏腹に、7月から大半の自治体で公務員給与が削減される。安倍政権の言っていることとやっていることのずれが気に掛かる。
 東日本大震災の復興財源を確保するため、国家公務員の給与は昨年4月から2年間、平均で7.8%引き下げられた。地方公務員も国並みに給与の削減を、というのが政府の言い分だ。
 国による自治体財政へ介入であり、全国知事会など地方6団体が「自治の本旨に反する」と一斉に反発したのは当然の成り行きだった。
 「お願いする立場」と言いながら国は、本年度予算で給与財源となる地方交付税4千億円の減額を早々に決定。兵糧攻めに地方の抵抗も力尽きた。
 総務省によると、全国の自治体のうち9割超の1625自治体が、給与引き下げを決定または検討中としている。
 宮城県は、交付税が減らされる状況で職員給与に切り込まなければ復興事業に支障を来すとして平均5.7%の削減を決めた。多くの自治体が給与を削減する以上、応援職員の派遣を頼む立場としては致し方ない判断だった。
 一方、仙台市は国の要請を突っぱねた。「既に昨年度から独自に給与を削減している」というのがその理由だ。4年間で国の要請額を大幅に上回る80億円を削減するという。
 こうした自助努力がなされているにもかかわらず、要請に従わない自治体は政府から個別に呼び出され、厳しいヒアリングを受けた。独自路線を貫いたはいいが「政府の裁量に任される特別交付税を減らされるのではないか」と「報復」を懸念する声も上がっている。
 復興財源を確保するためとはいえ、公務員給与を人質にして地方の固有財源である交付税に切り込むのは横紙破りだ。省庁が詭弁(きべん)を弄(ろう)して流用した復興予算は1兆円を超える。切り込むのならこちらが先だろう。
 さすがにこれ以上の無理強いはなかろうと構えていた地方に、今度は来年度予算で二の矢が飛んで来る。
 先頃、閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」には、地方の行政改革や地域活性化の努力を査定し、頑張る自治体に交付税を重点配分する考えが盛り込まれた。
 あたかも加点主義で交付税が上乗せされるかのように思えるが、これはリーマンショック後に創設された地方財政計画の歳出特別枠の廃止とセットだ。つまり、スタートラインを下げてむちを入れ直すという。
 新藤義孝総務相は先日、視察で青森県佐井村を訪れた。村の職員給与は以前から国の水準を大きく下回っていたが「被災地復興の一助になれば」と今回、さらなる引き下げを決めた。
 村の善意を知ってか知らずか、査定型交付税の利点を盛んにPRした総務相。どこまで人の良さにつけ込むつもりなのか。地方は既に頑張っているし、国に査定されるいわれもない。

6月25日

 「親のことを考えると、そろそろ身を固めなくてはと思う。でも、子どもに被ばくの影響が出るかもしれないと言っても、結婚してくれる人はいるだろうか。被ばくのことを話すと、みんな逃げる。それでもいいと言ってくれた人は、誰もいなかった」(ふくしま作業員日誌 29歳男性 廃炉まで働きたいけど・・・ 東京新聞 13.6.25 より

 特に聞かせたい人:高市早苗

6月18日

 ①「福島第一原発で事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない。最大限の安全性を確保しながら活用するしかない」

 ②「原発は廃炉まで考えると莫大(ばくだい)なお金がかかるが、稼働している間はコストが比較的安い。エネルギーを安定的に供給できる絵を描けない限り、原発を利用しないというのは無責任な気がする」

 自民党の高市早苗政調会長の神戸市での講演から(「福島事故で死者なし」 自民・高市氏が原発再稼働主張 東京新聞 13.6.18

 ① 原発事故関連死は見えないらしい。この人には心がないのかもしれない。 ②すべての原発は、いずれ、廃炉・解体の時期を迎えます。それは避けては通れません(→Nuclear Decommissioning Surge Is Investor Guessing Game,Bloomberg,13.6.18)。子どもにだって分かるでしょう。この人には頭もないようです。それが責任ある政党のリーダーです。

6月17日

 「何で原発のあるところから原発のあるところに避難しないといけないのかなと思う。本当だったら、やはり県外に逃げないといけないのではないか」

 美浜原発3号機での重大事故を想定して行われた福井県原子力防災訓練後の一主婦の発言(原子力防災訓練、広域避難に課題 待たれる県外への道路整備 福井新聞 13.6.17

5月8日

 自分たちの重大事故も何ひとつ解決していないのに、「事故の素」をいけしゃあしゃあと他国に売り込む。セールストークは「日本は地震に強い。世界で最も高い安全基準を満たす技術でトルコに協力したい」。聞きしに勝る厚顔無恥、というより死の商人ぶりである。

 これを伝えるニューや論説がまた笑わせてくれる。<中国や韓国と競争の末、耐震性など日本の技術力が評価された意義は大きい>(読売新聞六日社説)。<日仏の原発メーカーは最新鋭の技術で信頼を積み重ねてきた>(日本経済新聞五日社説)。よくいうわ!

 (東京新聞 13年5月8日 「本音のコラム」欄の斉藤美奈子氏の一文から)

4月25日

 "Instead of exacerbating historical wounds, Mr. Abe should focus on writing Japan’s future, with an emphasis on improving its long-stagnant economy and enhancing its role as a leading democracy in Asia and beyond."

  ニューヨーク・タイムズ紙社説 "Japan's Unnecessary Nationalism"(2013.4.24)

4月13日

 「TPPは日本経済やアジア、太平洋地域の成長の取り込みといった経済的メリットに加え、同盟国の米国をはじめ、自由民主主義と法の支配といった普遍的価値を共有する国々とのルール作りであり、安全保障上の大きな意義がある」(TPP関係閣僚会議=2013年4月12日における安倍晋三首相の冒頭発言)

 首相の言う「国益」は何よりも「安全保障上」の利益(政治・軍事的利益)であり、社会的・経済的利益は二の次であることを鮮明に示す言葉として深く心に刻み、長く記憶にとどめるべき言葉である。

 大手マスコミは、「世界経済の先導役となっているのが、アジア太平洋地域だからだ。そこにしっかりとした自由貿易圏を築き、活力を取り込んでいくことは、日本経済の立て直しに欠かせない」(朝日新聞社説 4月13日) 「自由貿易の拡大でアジアなどの活力を取り込み、日本の成長に弾みを付ける」(読売新聞 同)、「海外市場を舞台に、強い産業をさらに伸ばし、新しい成長産業を生み出す仕組みを築くことこそが最も重要な国益である」(日本経済新聞 同)、「人口の減少している日本が経済を成長させるためには、自由化によってアジア太平洋地域の活力を取り込むことが欠かせない」(毎日新聞 同」などと、TPP参加が不可欠とする根拠をこのような「経済的利益」においてきた。

 しかし、首相は政治・軍事的利益のためなら、社会的・経済的利益を犠牲にすることも辞さないだろう。日米合意の内容がすでにそれを示唆している。それなのに、なお社会的・経済的利益の確保に全力を尽くせなどと論じている。近頃の大手マスコミ、真に「ジャーナリスト魂」をなくしてしまったようだ。

4月2日

 環大西洋・TPP貿易交渉は「パワーポリティックス回帰」、「グローバル化の命取り」―欧米識者の見解

  冷戦終結以来、ヨーロッパ人は国際公共財の存在―そして国家主権の重要性の減退を深く信じてきた。米国および新興国の行いはその正反対のことを示唆する。パワーポリティックス(権力政治、武力外交)が戻ってきた。多国間主義は死に瀕している」 Since the end of the cold war, Europeans have believed deeply in the existence of a global commons – and the declining importance of national sovereignty. The conduct of both the US and emerging countries suggests the opposite. Power politics is back. Multilateralism is dying. ”(パリ政治学院教授・Zaki Laïdi Trade deals show power politics is back,FT.com,13.4.1)

 「米国の新しいアプローチの危険性は、中国がグローバル貿易システムにますます背を向けるように仕向け、それを強化するより、それに従う気をなくさせてしまうことだ。もしそんなことになれば、米国-EU貿易交渉は、経済統合の新時代を開くというより、グローバル化の命取りのもうひとつの要因になるだろう」 ”The risk of the new US approach is that it could encourage China to turn its back even more on the global trading system, diminishing the incentive to comply rather than intensifying it. If that were to happen, the US-EU trade talks would not herald a new era of economic integration but rather another nail in the coffin of globalisation.”(ジャーナリスト作家・Geoff Dyer China left out of Obama free trade party,FT.com,13.4.2)

 [農業情報研究所:TPPに関する「力による支配でなく、法による秩序をつくるパートナーは同盟国の米国だ。TPPには自由と民主主義などの政治的価値を同じくする国々が参加する」 (ダーウィン主義のTPP 何が「力による支配ではなく」、「自由と民主主義」だ)という日本の安倍首相やこれを擁護する日本の識者・大手マスコミの認識との何という隔たり。TPPは決して「経済統合の新時代」を開くものとはならないだろう 。それは戦争にまで及びかねない国家間対立を深めるばかりである]

3月26日

 「専業で(農業を)やる人たちをどうやって豊かにするか、ということに政策を移していかないと、農業は持続可能性を持たない」

 「一生懸命専業でやればやるほどもうからない。そのようなものは産業ではない」

 「(米に)778%の関税を張っていても田んぼは減る一方だ。高い関税を張っていれば農業は守れるのか。それは全く違う問題だ」

 (自民党石破茂幹事長の福岡市内での講演専業農家重視を示唆 「高関税で農業守れぬ」 自民幹事長 日本農業新聞 13.3.26)

 [農業情報研究所:「専業で(農業を)やる人」はどうしたら豊かになるのでしょうか。「一生懸命専業でやればやるほどもうからない」のはなぜでしょうか。関税を減らせば田んぼは増え、農業は守れるのでしょうか。多分逆でしょう。小農民が支配的な日本や西欧のような国で、 グローバリゼーションの今日このごろ、「農業」だけで食べていける農民・農家は少なく、またますます減っていくでしょう。農村社会を維持するためには、兼業・農外所得が不可欠です。それを排除して、農村の雇用と所得をどう維持するのでしょうか 。だからこそ、産業としての「農業政策」ではなく、「農村政策」が重要な意味を持つようになったのです。自民党も世界の「農政」の流れに心すべきです]

3月25日

  「はい、カブ(株)が上がりますよ」(安倍首相。郡山市の農園で収穫したカブを持ち上げて)

 「風評被害で商品が売れない中、(同農園が)従業員を解雇せずに頑張ったことに感動した。政治の仕事は風評を払拭していくことだ」(同。記者団に)

 (「時が止まったよう」首相、浪江・富岡町を視察 読売新聞 13.3.25)

 [農業情報研究所補足:原発(事故)が悪いのではない。風評に惑わされ、科学的根拠もなく放射能を怖れる国民が悪いのだ。非科学的国民の声を恐れて原発再稼働をためらえば、カブが上がらない→原発再稼働「総合的に判断」 首相来県し言及 安全前提、復興へ必要訴え 福島民報 13.3.25]

3月13日

  (県の整備計画で示された防潮堤が)十メートル近い高さと聞き、「うそだろう」と耳を疑った。子どものころ、海辺は遊び場だった。モリで魚を突き、流木を削った。母を奪ったとしても、嫌う気にはなれない。何より、海と隔てられては地域の結束が失われる。・・・

 画一的な計画に住民の意思を反映させるように知事や市長に求めた要望書には、こう記した。「津波は私たちから多くのものを奪った。しかし、私たちはその海を愛し、覚悟を持ってともに生きる未来を選択する」

 (「防潮堤のない海 愛する」 津波で母失う 三浦友幸さん 、<3・11後を生きる 3.11に生まれたもの-4-> 東京新聞 2013年3月13日 朝刊 4面)

 [農業情報研究所:考えてみれば当たり前のことです。人々は昔から海・山・川(自然)と「共生」してきた。それを敵として遠ざける(防潮堤を高くする)のではなく、ともに生きる道を探し、その道を歩んできた。人々(人類)は、そうすることで生き延びてきたのである。自然を直接相手とすることのない近頃の都会人には、そのことが理解できないようだ]

3月11日

 ブレーキ修理前に車を買う人いない

 ―米国での原発認可で、委員長1人反対するのは異例では?

 「簡単なことです。福島原発事故の教訓としてどんな対策をとるべきかをまだ検討している最中でしたから。車を買うとき『まだブレーキを修理しようとしている』と言われて買う人がいるでしょうか」

 インタビュー 原発安全の番人 前米原子力規制委員会委員長 グレゴリー・ヤッコさん 朝日新聞 2013年3月6日 朝刊 15面

 [農業情報研究所:世界にも、日本にも、こんな「簡単」なことが分からない人がいっぱいいる。特に日本には、悪魔に魅入られたように原発再稼働を急ぐ首相をはじめとする人々が蠢く]

3月1日

 安倍首相の施政方針演説の農業関連部分について  3月1日付地方紙社説から

 「演説の中で安倍首相は、世界の日本食ブームを背景に、きめ細やかに育てられた日本の農産物の人気が高まるとして「攻めの農業政策」を訴え、若者たちが美しい棚田や伝統文化を守り、希望を持てる「強い農業」をつくると述べた。しかし、そこで描かれた農村の姿と現実との間には大きな乖離[かいり]がある。
 県内の農山村に目を向ければ、深刻な人口減少で若者はおろか高齢者の人影すらまばらになる中、イノシシやシカが跋扈[ばっこ]して農作物やスギの苗木などの被害が増え続けている。補助金を使った防御施設や駆除では追いつかないのが実情だ」(
施政方針演説 現実を見据えた目標も必要 熊本日日新聞 2013年3月1日)。

 「演説自体が既に矛盾を抱えている。「(TPP参加で)「看板」の農業への影響が懸念されるからだ。守るとした棚田にしても、地方の農家が競争にさらされれば消滅する恐れがある。そこをどう考えているのか」(
施政方針演説 「ばら色」が過ぎないか 中国新聞 2013年3月1日

 [農業情報研究所補足]ちなみに演説の農業関連部分の全文は次のとおりです。

 「健康的な日本食は、世界でブームを巻き起こしています。四季の移ろいの中で、きめ細やかに育てられた日本の農産物。世界で豊かな人が増えれば増えるほど、人気が高まることは間違いありません。そのためにも、「攻めの農業政策」が必要です。日本は瑞穂の国です。息をのむほど美しい棚田の風景、伝統ある文化。若者たちが、こうした美しい故郷を守り、未来に「希望」が持てる「強い農業」を作ってまいります。 」

 これは稀に見る悪文です。どこかで聞きかじった言葉を、それぞれに定義を与えることもなく、脈絡もなくただ並べただけです。 もし大學の国語試験問題に出たら、どんなに出来る受験生でも目を白黒でしょう。

 世界の日本食ブームと「攻めの農業政策」(?)の必要性にどんな関連性はあるというのでしょう。息をのむほど美しい棚田の風景、伝統ある文化(?)、若者、美しい故郷(?)、未来の「希望」、「強い農業」(?)はどう関連しているのでしょうか。

 文章だけの問題ではありません。文章の脈絡からすると「攻めの農業政策」は「輸出農業の育成に重点を置く農業政策」と言い換えるしかないでしょうが、そんなことよりも減り続ける米の消費を拡大し、今やごはんをしのぐに至った小麦(パン)食をを減らし、肥満・心臓疾患などの健康障害を恐れなければならないほどに進んだ肉食化を抑えることによる国内市場拡大策の方を重視すべきではないでしょうか。

 美しい棚田、伝統ある文化、美しい故郷を創り、守ってきたのは、地域の歴史と風土の中で、自然を相手とする農業と農村生活を営んできた「農民」たちです。最大限の物質的富の生産を目的とする専ら営利を求める「強い農業」のためにこのような「農民」を失うことになれば、美しい棚田、伝統ある文化、美しい故郷は守れません。首相の産業としての農業政策論は、「農民」をどう考えているのでしょうか。あるいは、「農業」だけが頭にあって、「農民」のことなど考えたこともないのでしょうか。

 [おまけ]この演説の評判は概してよくないようです。全国各紙の社説・論説等(3月1日付)の見出しを掲げておきます。

施政方針演説 自分で立てと言う前に 北海道新聞

難病対策踏み込み不足否めない/施政方針演説 東奥日報(青森)

施政方針演説 具体論への言及足りぬ さきがけ(秋田)

施政方針演説 なお不透明な国の未来 岩手日報

施政方針演説/復興加速へ実行力発揮せよ 福島民友

施政方針演説 肩透かしの印象も 茨城新聞

施政方針演説―さあ、仕事をしよう 朝日新聞

施政方針演説 政権交代の果実を具体化せよ 読売新聞

高支持追い風に安倍首相は懸案に挑め 日本経済新聞
首相施政方針演説 強靱な国へ自立と創造を 安全な原発の再稼働進めよ 産経新聞

施政方針演説 楽観論の肉付けが要る 毎日新聞
施政方針演説弱者切り捨てでは困る 中日(東京)新聞
首相施政方針 再稼働論じる時期 新潟日報 
首相施政方針 カラー封印の不誠実 信濃毎日新聞
慎重な物言い、物足りず 岐阜新聞

施政方針演説 求められる指導力と結果 富山新聞 北國新聞

施政方針演説 言葉だけでは希望見えず 福井新聞

施政方針演説  経済再生も大事だが… 京都新聞

施政方針演説/攻めの姿勢に潜む危うさ 神戸新聞

施政方針演説 「ばら色」が過ぎないか 中国新聞(広島)

施政方針演説 安倍カラーはにじみ出たが… 愛媛新聞 

【施政方針演説】安全運転では物足りない 高知新聞

施政方針演説 丁寧な対話と議論尽くせ  西日本新聞(福岡)

慎重で踏み込み不足否めず 宮崎日日

施政方針演説 現実を見据えた目標も必要 熊本日日
[施政方針演説] 「安全運転」に終始した 南日本新聞(鹿児島)
施政方針演説 「強い国」が国民の願いか 琉球新報

 

2月26日

 (TPP対応で急務となった規制・制度改革による農地集約化とビジネスの発想の取り込みで)「おいしく、安全な作物をより安く提供できるように競争力を高め、国内の市場を広げて、輸出も伸ばす。若い人たちを農業に呼びこみ、過疎化が進む農村の活性化につなげる」(農業の強化策―規制改革を、忘れるな(社説) 朝日新聞 13年2月26日)

 [農業情報研究所:安物は特においしくも・安全でもない。現在の農業で中心的役割を果たし・農村の活力の源泉となっているお年寄りや兼業農家の主婦は失業、農村は墓場のようになる。農業・農家・農村の商品としての食料の供給に限られない・お金に換えられない多様な機能が死に絶える。フランスは改革の結果、これらの機能の再生にわざわざ取り組まねばならないことになった (→経済優先で切り捨てるな 農漁共通の多面的機能 日本農業新聞 13.2.21 第2面 万象点描)。「三ちゃん農業」なれ!]

2月20日

 「・・・チェルノブイリでも30キロ圏内は土壌を20センチ削ったが、なかなか効果が上がらない。日本政府は除染し住民を戻したいと言っているが、除染に過大な期待を持たない方がよい。除染に何兆円もかけて最終的にあまり効果がないということになるのだったら、住民や自治体にはつらいことだが、移住という選択肢を早く考えた方がいいのではないか」(チェルノブイリ事故25年以上、現地なお先見えず 松本市の菅谷市長に聞く 日本経済新聞 13.2.20

2月16日

 「事故以前、千七百世帯(6千二百人)の村民のうち、千二百世帯ほどが農業に従事していた。元村職員で、定年退職後に農業を営んでいた菅野哲さんは「専業農家でなくても大半は兼業農家で、自分の家で食べるものぐらいは皆、自分で作っていた。畑仕事が生きがいだったお年寄りはたくさんいる。原発事故でその生きがいを奪われ、精神的に疲れていた」と語る。・・・このため、菅野さんは一昨年七月から、福島県相馬市や福島市などに共同で二十〜四十アールほど農地を借り、お年寄りたちに農作業をしてもらう事業を進めている。
 畑仕事を始めると、見る見るうちにお年寄りの顔に活力が戻ってきた。相馬市の農場では当初は十五人ほどだった参加者が今では約四十人に増え、何十種類もの野菜を作付けしている。菅野さんはこう訴える。
 「放射能の影響を考えると、数年のうちまた村で農業をやるのは難しいだろう。私たちは農地から農機具まですべて失った。農地を個人で探すことも簡単ではない。国や県には『避難先での農業再開』という選択肢を示してもらいたい」(
切り捨てられるフクシマの被災農民たち(特報) 東京新聞 13.2.16 朝刊より)

 [農業情報研究所:これぞ農業の本質的「多面的機能」である]

2月2日

 (鰻が絶滅危惧種に)

 噺(はなし)家の古今亭志ん朝さんは、鰻(うなぎ)を食べなかった。一家はみんな鰻好きだったが、出前を取っても、志ん朝さんは口にしない。だから姉の美濃部美津子さんは、嫌いなんだろうと思っていた。・・・志ん朝さんは、本当は鰻が大好物だった。けれども自分が熱心にお参りする虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)の使いとされるのが、鰻。十九歳の時に芸の上達を祈願して、鰻断ちをした。そのまま逝った弟の霊前に、美津子さんは鰻を供え、「ずっとがんばったんだね」と声を掛けたという・・・

 鰻のいない日本。そうなっては希代の落語家も、あの世で笑えまい。 

 中日春秋(朝刊コラム)または筆洗(東京新聞) 2013年2月2日

 農業情報研究所追記:私も鰻を食べたことはほとんどない。大先輩の日本漁業史大家・二野瓶徳夫氏から養殖鰻が抗生剤漬けになっているのを知り食べる気がしなくなったと聞いた。以来、私も鰻を食べる気がしない(天然鰻には滅多にお目にかかれない)。

1月30日

 千葉県森林組合君津支所で働き始めて一年あまりの中野修平さん(二八)は[地元に残る自然を守る仕事は、やりがいがある。給料は多くはないけれど、自分の時間が持てる。自宅で畑を耕し木工品を作って副収入もある」と話していた。

 来たれ 林業の担い手 都内相談会に学生など1000人 東京新聞 2013年1月30日 朝刊 27面

 フォレスト出版の「秒速で1億円稼ぐ条件」なる本 を競って買う人がいるというのに・・・

1月28日

 社会の維持に必要なのは、人間の生活を支える多様な「生命のつながり」である。思えば戦後の経済発展の過程で日本社会が失ったのは、この最も基本的な生命のつながりではなかったろうか。経済成長を無節制に追求する中で資源を食いつぶし、公害や原発事故を引き起こし、私たちは自らのつながりを壊していった。また、「無縁社会」と形容されるように、地方でも都市でも、孤立無援の生活を送る人々が増加している。人間同士のつながりからなるはずの社会が、つながりの希薄な砂漠となってきている。これが経済発展の代償だとするならば、未来の生命にとってこれほど大きな代償はない。・・・(国際基督教大学社会科学研究所助手・研究員 中野佳裕)

 3・11後を生きる 豊かさを変える 自然と共生 国の目標に ボリビアをエクアドル 東京新聞 13年1月28日 4面
 

1月27日

 明治初期に多摩の民衆がつくった「五日市憲法草案」(私擬憲法)。代表的条文は「日本国民は各自の権利自由を達すべし、他より妨害すべからず、かつ国法これを保護すべし」・・・「子弟の教育において、その学科及び教授は自由なるものとす、しかれども、子弟、小学の教育は父兄たる者のまぬがるべからざる責任とす」・・・ほかにも法の下の平等や集会・結社・言論の自由、地方自治権などが盛り込まれ、国家主義的な明治憲法より、戦後の日本国憲法に近い。
 「明治政府はそれらを一顧だにせず、一部の専門家が極秘に草案をつくり、国民に押し付けた。戦後の憲法は連合国軍総司令部に押しつけられたものかもしれないが、最近の研究で、私擬憲法を参考にしていることが分かってきた。・・・」(草案発見者・新井勝紘専修大教授)。・・・安倍晋三首相が改憲に意欲を見せている。「現憲法は米国に押しつけられた」というのが理由の一つだが、公布されたとき、国民は平和憲法を歓迎し、いまも支持される。施政者の思い入れだけで突き進むなら、それこそ押しつけの憲法となる。

 TOKYO発 「政地」巡礼 五日市憲法草案が見つかった 深沢家屋敷跡(あきる野市)  東京新聞 13年1月27日 30面