農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2017年6月20日

獣医学部新設問題再論 岩盤規制など存在しない 成長戦略とも無関係 単なる弱いものいじめ

 昨日、小池東京都知事は、築地市場の豊洲移転を表明する臨時記者会見での質疑を5分で打ち切り、一方的に退室したそうです。

 なにやら前今村復興相に似てきたようです。あるいは、彼女は東京オリンピック会場見直しをめぐって「黒い頭の鼠が分った」と言いましたが、どうやら「黒い頭の鼠」とは彼女自身であったのではないかと思わせます。まさに窮鼠猫を噛む。

 そういえば昨日取り上げた加計学園獣医学部新設に向けて官邸が圧力をかけたのではないかという疑惑をめぐる問題も、文科省が新たに発表した「萩生田氏ご発言」でますます深まったようです。政府(安倍晋三)の言い逃れの余地もますます狭まり、首相もいずれ「黒い頭の鼠」に変身するかもしれません。

 今日のマスコミ、そんな話題でもちきりです。

 加計問題 官邸圧力にじむ新文書 「文科省だけが怖じ気づいている」 東京新聞 17.6.21 25

 「加計ありき」新文書でさらに 自民、閉会中審査拒否 東京新聞 17.6.21 朝刊 1

 新文書で注目の萩生田官房副長官 首相と国家観共通 東京新聞 17.6.21 朝刊 3

 都知事、豊洲移転を表明 築地にも市場機能 東京新聞 17.6.21 朝刊 1

 豊洲移転表明の小池知事 質疑5分で打ち切り 具体策は語らず 東京新聞 17.6.21 朝刊

 小池氏「築地は守る、豊洲を生かす」市場「併存」懸念先送り(核心) 東京新聞 17.6.21 2

 ただし、昨日述べたような獣医学部新設をめぐる政策論争は、国会でと同様、マスコミでも不発のようです。スキャンルで騒ぎ立てるのも結構ですが、その陰に政策論争が隠れてしまっては何にもなりません。本丸はあくまでも、アベノミクスの第三の矢・成長戦略の核心である規制改革にあるはずです。

 政策論争に立ち返るために、知床の獣医さんの所論をもう一度紹介しておきましょう。昨日紹介したところ(支持率暴落安倍首相が印象操作の記者会見 加計学園獣医学部新設では反省のかけらもなし)とも重なりますが、加計学園の獣医学科の開設の認可を取り消すべきである(そりゃおかしいぜ 17.6.20では、特区獣医学部新設の否、または無益有害性がさらに分りやすく説かれています。

 とくとお読みいただきたいけれども、核心のみ記しておけば、

 @獣医学生は卒業しても大学の所在地近辺に多少は多く残り就職する傾向にあるが、全国に散らばる傾向にあり、獣医師の特殊性からして元々地域性は薄い。(国家戦略特区に獣医学部を作っても、その目的である地域振興や経済成長への貢献は少ないということ)

 A安倍晋三は謝るふりをして公務員の獣医師が足りないと強調しているが、こんな問題は「公務員に十分な給与と、仕事にやりがいを与えればすぐに解決できる問題」であり、「僅か4万人に満たない獣医師業界に対して、「ガンバンキセイ」などと称してドリルを振るうなどは、単なる弱い者いじめ*としか映らない。岩盤など存在しない。ましてやアベノミクスの成長戦略とは何の関係もない、零細事業へのいたぶりにしか見えない」

 ということです。

 安倍晋三、規制改革会議委員だけでなく、マスコミ諸氏も、もっと現場の声に耳を傾けるべきである。

  *農業・農政改革がその典型。その手段は枚挙に暇がありませんが、「市場法廃止」という農家いじめのとどめの手段も新たに追加されそうです(市場法の廃止検討 受託拒否なら産地混乱 政府 日本農業新聞 17.6.21

 


参考:獣医師の偏在 解消に向けた施策必要(論説) 日本農業新聞 17.6.15