農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2015年1月5日

何故米消費拡大に取り組まぬ 飼料用米重視の熊本県「地下水と土を育む農業」推進計画

 熊本県が今年(2015年)度から「地下水と土を育む農業」を本格的に推進するそうである。特に「地下水涵養に貢献し、環境に配慮した方法で生産された農畜産物の新たな認証制度を確立。消費者の賛同を得ることで、全国でも先駆けとなる取り組みに弾みをつけたい考えだ」「という。

 「地下水と土育む」 農畜産物に新認証制度 熊本日日新聞 15.1.5

 結構なことである。「持続可能」な農業を作り上げるための有力な方策と評価したい。ただ一つ、「水田による地下水涵養では、非主食用米の生産拡大を重視。需要増が見込める家畜飼料用米は、18年の作付面積を13年比4倍増の2900ヘクタールとする計画」というのはいただけない。

 飼料用米需要の拡大ためには飼養技術の開発に加え、何よりも米の10の1ほどの値段の輸入飼料用トウモロコシ(トン当たり約2.5万円)との価格差を大量の補助金で埋めねばならない。 農家が飼料用米販売で主食用米と同等のトン25万円を受け取るためには、22-23万円(販売価格の9割)もの補助金が必要になる。飼料用米生産は「持続不能」と言わざるを得ない。その本格導入は、米生産費が今の10分の1にも下がる予測 不能な将来の選択肢である。

 そんなことを考える前に、飼料用米拡大を無用にする米消費の拡大に全力をあげるべきである。例えば1999年、年1人当たり70.4㎏だった米消費量(農水省、供給ベース)は2012年には56.3㎏に減った。一人1日当たりに直せば193gから154gへ39gへの減少だ。しかし、39gは米にしてご飯茶碗1杯(ほぼ65g)分にも足りない。いまや若者を代表とする多くの人に広がっている朝飯ぬきやパン数枚をかじるだけの不健全極まりない食生活を改めるだで取り戻せる消費量だ。

 不健全な食生活を改善、国民の健康増進に役立てることは国や施政者の責務でもある。福島県湯川村は今年1月1日、朝食で地元産の米を食べることを村民に促す「朝ごはん条例」 を施行した。米の消費拡大と米価下落防止に加え、村民の健康増進が狙いだ。国も全国の自治体もこれを見習うべきである。

 湯川村が「朝ごはん条例」施行 NHK福島県のニュース 15.1.3

 【湯川村のコメ戦略】示唆に富む企業的発想(論説) 福島民報 14.12.23

 福島県湯川村の「朝ごはん条例」元日施行 地元産米の地元消費推進 福島民報 14.12.16