農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2015年2月18日

円安による食材高騰が学校給食を直撃 中には米飯を増やす学校も

 日本経済新聞によると、円安による食材値上がりが学校給食を直撃し始めた。

 「全国の公立小中学校で4月から給食費を値上げする動きが広がっている。小麦や肉など食材価格の上昇を受けて、月額で数百円程度、率にすると10%前後引き上げる例が多い。消費増税に伴う値上げはメニューの工夫などで見送ったものの」、「足元の円安で飼料価格や小麦の価格が上昇する中、値上げを迫られる自治体が現れている」というのである。

 食材費上昇が給食に波及 小中、10%値上げへ 日本経済新聞 15.2.17

 東京都武蔵野市は市立小学校の給食費を月額350円値上げ、小学校3、4年生は8%値上げし4700円になる。

 埼玉県川越市は今年度、食材価格の上昇を吸収しきれず、給食を出す日数を2日減らす事態に陥った。4月からは小中学生ともに給食費を月350円引き上げる。小学校は4350円に、中学校では5250円となる。

 福岡県久留米市と大阪府茨木市は、16年半ぶりに小学校の給食費を値上げする。久留米市は月額500円引き上げ、小学校は4100円、中学校は4600円とする。

 最近の食材の値上がりは、マスコミなど多くが穀物等の国際価格の変動・上昇と円安で説明したきた。しかし、これまでに何度か述べてきたように、国際穀物価格の大幅下落が始まって久しい。日経も、とうとう円安こそ真犯人と認めざる得なかったのだろう。

 給食費の値上げで保護者たち、アベノミクス離れが進めばいいのだが。ただ悪いことばかりではない。

 「茨木市は小学校1~4年生で月額432円、5~6年生で468円値上げするのに合わせて、給食内容を充実させる。同市教委は保護者からの要望に対応して、米飯回数を週2.5回から3.5回に増やすなど「献立の充実で値上げに対する保護者の理解を得る」(同市教委)考えだ」そうである。 これは児童の健康にとっても、減少が止まらない米消費の拡大の観点からしても、大いに望ましい方向への変化である。「保護者からの要望」に応えてというのがさらにすばらしい。

 茨木市の小学校児童数は1万6000人を超える(2014年)。1週(7日間)に米飯が1食ずつ増えるとすると、1年300日として年に1人43食ほど米飯が増える。米飯1食はご飯茶碗一杯として、そのために使われる精米は65グラム、1人当たり年消費量は2800グラム、2.8キロほど増える。16000人で全体の消費量は4万5000キロ、45トンほど増える計算になる。仮にこれが大阪府の全小学校(児童数46万人)にまで広がると、大阪府小学生の米消費が1300万トンほど増えることになる。来年度の大阪府の米生産数量目標は2万6000トンほど、米飯給食週一回増加の威力は絶大である。

 全国津々浦々の自治体もこれに倣ったらどうだろう。願わくば保護者たちも、週一回米飯を増やしたらどうだろう。そうなれば国民の健康増進に役立つばかりか米の生産調整も全然無用になってしまう。アベノミクスのおかげと、生産者から拍手が起きるかもしれない。