農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2015年8月25日

2016年産主食用米作付面積、初めて目標を下回る 飼料用米誘導策が奏功と見るのは早計

  農水省によると、2014年産では目標を2万8000㌶も上回っていた主食用米の作付面積が2015年産では目標を8000㌶も下回る見通しとなったそうである。飼料用米を中心に転作が大きく進んだためという。

 政府・自民党は2013年末、安倍政権の「成長戦略」を論議する産業競争力会議の民間議員等の「生産調整」廃止の要求に圧され、生産調整協力農家への直接支払を2014年産から半減させる(17年産まで継続)一方、飼料用米への助成の大幅拡充によって主食用米から飼料用米への転換を誘導、5年後をメドに国による生産数量目標配分が無用になる状況を作り出すという「生産調整見直し」を決めた。

 ところが、この生産調整見直し元年、主食用米作付面積は目標を2万8000㌶も上回り、過剰作付面積(作付面積-目標面積)は2011年産以来の最大を記録するという皮肉な結果になったのである。手厚い助成による飼料用米への誘導という政府(農水省)の企ては完全に失敗した。おかげで米価は暴落する破目となった。

 そこで今年、農水省は、飼料用米への「誘導」を通り越した飼料用米「強制増反」とも言うべき強硬な飼料用米誘導策に乗り出した(強制減反卒業の農水省 飼料用米「強制増反」へ 水田牧草地化や酒米奨励の方がずっとマシ,15.6.5)。しかし、こうした強硬策が2015年産の過剰作付解消につながったとすれば、米価暴落という背景があるからである。米価がこれほど落ち込んでいなければ、農水省の強硬な要求といえども農家は受けいれなかったであろう。2015年産主食用米過剰作付の解消は、飼料用米誘導策の将来の成功を約束するものではない。2015年産米の「過少作付」が米価上昇につながれば、2016年産米は再び過剰作付に転じるだろう。

 飼料用米、農家は作りたくて作っているのではない、そう心得るべきである。