農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2015年12月30日

 

「転用期待が農地流動化の阻害要因」の政府認識 現場認識と大きなズレ 農水省アンケート調査

 

 今日の日本農業新聞によると、農水省の有識者でつくる検討会が行った市町村と農家に対するアンケー調査で、転用期待が農地流動化の阻害要因だという政府の見方に否定的な見方が圧倒的に多いことが分った。

 

 アンケートは「農地流動化の阻害要因となる転用期待を抑制する観点から、転用利益の地域農業への還元等、公平で実効性のある方策について中長期的に検討を進める」という規制改革実施計画(20146月閣議決定)を受けて行われた。

 

 転用期待が農地流動化の支障になっているかどうかを市町村に聞いところ、「あまり思わない」50%、「思わない」が34%、合わせて84%に上ったそうである。

 

 また、不耕作地を貸し付けていない農家へのアンケートでは、「貸付けたいが借り手がいない」が47%、「いつでも農地に転用できるようにしておきたい」が25%、「農地は家産で他人に貸したくない」が16%、「安心して貸せる信頼できる借り手がいない」が12%と続いた。

 

 「転用期待」大半が否定的 農地流動化阻害要因で農水省アンケート 日本農業新聞 15.12.30 3

 

 このアンケートによっても、「「いつか転用する」ために放棄農地を持ち続ける農家があるだろうことは認める。が、それは多少の宅地・商用地需要が見込める都市農業地域か、幹線道路(国道)沿いのごく一部の農家に限られる。これまでに何度も指摘してきたが、大半を占める中山間地域の放棄農地は、高齢化と後継者の欠如のために耕作ができなくなり・代わって耕作する「担い手」もおらず・たまたまいても引き受けることができないような悪条件の農地である。こんな土地への転用需要もあるはずがない」(日経新聞 耕作放棄地課税強化で「ニセ農地」をあぶり出せ 証拠しらべもせずに魔女裁判,15.6.25)という筆者の見方が当たらずとも遠からずであることが分る。

 

 ここでも、現政権農政が「事実の裏付けを欠いた断定や論理の筋道も何もない」農政(⇒農政論議の土台を匡す)であることが示されている。日本の農業者、いつまでこんな政府に頼り続けるのだろうか。2015年を終えるに当たり、こんなことしか書けないとは。本当に悲しいことである。