農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係 2017年12月9日

日欧EPA妥結 日本酪農が「家畜福祉」に目覚めるとき

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(日欧EPA)交渉が妥結したそうである。

日欧EPA妥結、19年発効めざす 世界貿易4割カバー 日本経済新聞 17.12.9

 農産物・食品に関して、日本は

 ●ワイン(現在の関税率は平均で15%ほど)とともに、ゴーダ、チェダーなど多くのチーズの関税(現在は29.8%)を撤廃し、

 ●EU牛肉の対日輸出枠を大きく増やすともに、豚肉については加工肉は無税、生鮮肉もほとんど無税とし、

 ●EU200以上の地理的保護(GI)産品の保護を保証する(日本のGI産品のEUにおける保護も確保)とのことである。

 EU and Japan finalise Economic Partnership Agreement,European Commission,17.12.8

  この合意を受け、「政府・与党は、2017年度の農林水産関係補正予算を4600億円超とする方向で調整に入った」。日欧EPAが「発効すれば、より安い欧州産チーズが流入し、国産の価格低下が懸念されることから、原料となる生乳の生産とチーズ製造の両面でコスト低減や品質向上、ブランド化などの対策が必要と判断」、「生乳の品質向上の取り組み支援に60億円程度、製造設備の整備を支援するチーズ向けの畜産クラスター事業に90億円程度をそれぞれ充てる方向」とのことである。

 17年度補正予算 農林水4600億超で調整 チーズ150億 TPPなど3170億円 日本農業新聞 17.12.9

 とはいえ、コスト削減のために専ら大型化、工業化を追求してきた日本の革新的酪農・乳業が、伝統を墨守するGI産品や有機・家畜福祉認証産品などEUの世界に冠たる高品質な乳製品と同等の品質競争力を確保するのは簡単なことではない。不可能と思えるほどである。

 どうしたらいいのか。糸口として思いつくのは、日本ではほとんど馴染みのない「動物(家畜)福祉」 である。日本の酪農も、EUと同じ土俵で競争する時代を迎えた今こそ、「家畜福祉」に目覚めるべきである。アニマルウェルフェアー(家畜福祉)に配慮した畜産物の供給を。それこそが日本酪農の未来を切り開くと思われるのです。

 日本では、家畜福祉認証は漸く芽生えたばかりである(アニマルウェルフェア畜産協会 応援よろしく 時評日日 17.11.24アニマルウエルフェア認証農家のお披露目会 そりゃおかしいぜ 第三章 17.11.26認証制度を創設 全国初の取り組み アニマルウェルフェア畜産協会 日本農業新聞 17.12.9)。「地域の担い手となる大規模農家を育成するため、大規模化に適した飼養形態を地域に普及・定着」、「規模拡大農家の経営安定を図るため、哺育育成や飼料生産作業、家畜ふん尿処理等の外部化を強化」をめざす「畜産クラスター事業(北海道)」ではない、生まれたばかりの家畜福祉認証制度をいかに大きく育てるか。日本酪農の未来はそこにかかっている。