農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係 2018年2月28日

新潟、兵庫が種子法に代わる種子条例 地域に適した種子を県が安定供給

コメ、麦、大豆の優良種子確保を都道府県に義務づけてきた「主要農作物種子法(種子法)」が4月に廃止される。農家の間には優良種子を安価に・安定的に調達できなくなるのではないかという不安が広がっている。それが国の食料安全保障を脅かすのではないかと恐れる国民もいる。 このような不安を受け止め、国に代わって県が種子の安定供給を引き受けようとする動きが出始めた。

 日本最大の米どころ、新潟県は今月19日開会の県議会2月定例会に、県が種子の開発・供給を続けることを定める条例案を提出する。県の研究施設で種子の原種を生産し、生産団体に供給することなど、これまでと同様の役割を県が担う方針を決め、「県主要農作物種子条例」案を作成した。2月県会で可決されれば、4月1日から施行する。県農産園芸課の牛腸真吾課長は「コメの主産県として、従来通り種子の供給などに関わることを明確に規定したい」と言っている。ただ、国の圧力を予見してか、「民間企業の参入を規制する意図はない」と断るが。

県が種子条例案を提出へ 稲、麦、大豆の開発や供給継続 新潟日報 18.2.17

兵庫県も種子の安定供給を継続するための条例制定を進めている。開催中の県議会定例会での成立を経て、41日施行を目指すという。

県は南北に広い兵庫では多様な気候に応じた品種の栽培が行われていることを踏まえ、県が種子を安定供給する必要性があるとして条例案を作成した。

 条例では同法や国の通達などから行ってきた奨励品種の指定や原種・原原種の生産、種子の審査などに加え、品種ごとの作付面積や供給見込み数量などの計画策定なども盛り込んだ。県農政環境部は「地域に適した種子を安定供給することによって農業者の不安解消と安全・安心で良質な県産農産物供給を図りたい」としているとのことである。

 優良種子の安定供給継続へ 兵庫県が条例案作成 神戸新聞 18.2.28

 種子法廃止については、京都大学大学院経済学研究科の久野秀二教授らが厳しく批判してきた(誰のための主要農作物種子法廃止なのか:価格引下げは実現するか 農業と経済 201710月号、【種子法廃止】種子の自給は農民の自立(久野秀二) 農業協同組合新聞 17.3.30等)。私はと言えば、これら批判的な見方を共有しながら、それほど悲観的にはならなかった。

 地方農試とその研究者たちの品種改良への情熱が種子法廃止くらいで萎えてしまうとも思えなかったし、地方公共団体(県等)も、地域のためによりよき品種を生み出そうと懸命に開発競争を続ける各地農業試験所と研究者を見放すことはないと思ったからである(愛知農試 いもち病に強いブランド米改良種開発 地方農試の面目躍如 それでも種子法廃止か 農業情報研究所 17.4.4)。これはかつての東北冷害調査の過程で得たほとんど「確信」である。 

 地方は農業のことなど全く知らないお坊ちゃんではなかった。それを喜ぶとともに、多くの県が新潟、兵庫に続くように祈りたい