農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係 201837

 政府、3国家戦略特区で外国人就農解禁 出稼ぎ外国人の大ぴら酷使に道

   去年の暮、「国家戦略特区で外国人農業労働者受け入れ事業 豪州と並ぶ現代版奴隷制天国に? と書いたが、政府は性懲りもなく、国家戦略特区の指定を受けている新潟市、京都府、愛知県において外国人の就農を解禁するという(外国人就農、新潟・京都・愛知で解禁 日本経済新聞 18.3.7)。そこでこちらも性懲りもなく、「オーストラリアの方がまだましと、外国人労働者にそっぽを向かれないように、ご用心、ご用心!」と繰り返しておくことにした。

 9日の国家戦略特区諮問会議で正式に決めるというこの措置の狙いは、「高齢化による農業の担い手(単純労働者の間違いでしょう―農業情報研究所)不足を和らげるとともに生産性の向上に結びつける」ことである。このために、主にアジアから来日する「実務経験がある専門人材」―これまでのように技能実習生ではない―と雇用契約を結ぶ各地の派遣会社を通じて農業生産法人などに派遣する。

 彼らが就農できる期間は「通算」3年とし、農繁期だけ働く場合は初めて来日してから3年を超えても働ける。例えば日本で農業に従事する期間が毎年6カ月なら、残りの期間は母国に戻って就業などをしてもらう。6年間にわたって日本と母国を行き来することができる。技能時実習生には禁じられている加工や販売に携わったり、複数の生産法人で働いたりすることもできる。

 忙しいときにろくろく働けなくなった国内高齢者に代わって仕事をする国内の若者は減るばかりだ、彼らに代えて若い出稼ぎ外国人を6年間にわたりこき使い、人手で不足を補うとともに、出費を抑えて「生産性」を高める。派遣会社には日本人労働者と同等以上の報酬支払いを義務付け、年間総労働時間の上限も設け過重労働を防ぐというから、オーストラリア流の「現代版奴隷制」との非難も当たらない。まさに一石三鳥、考えたものだ。

しかし、世界に冠たる過労死大国、「日本人労働者と同等」の待遇、「年間総労働時間の上限」も、それ自体が「現代版奴隷制」を体現している。その上、農業に関しては、労働時間の上限、休暇を与える義務、休日を与える義務、時間外労働・休日労働の残業代(割増賃金)を支払う義務などのザル法=労働基準法上の規制さえない。

多くの出稼ぎ外国人は日本を毛嫌いすることになる恐れがある。それだけではない。劣悪な労働条件に依存する見せかけの生産性向上が、真の農業改革(強い農業の構築)を阻害する恐れさえある(農業の「外国人就労特区」法案に潜む重大問題 東洋経済 17.6.12)。