農業情報研究所意見・論評・著書等紹介2019521

肥料値下げより生ごみ堆肥化 「伊万里はちがめプラン」の実践

  農業共済新聞(公益社団法人・全国農業共済協会)201953週号(19.5.22)が、市民や事業所から出る年間500トンの生ごみを堆肥化、市内外の農家や一般市民の家庭菜園が利用する「NPO法人伊万里はちがめプラン」(佐賀県伊万里市)について紹介している(同紙1面)。

 堆肥の原料となる生ごみは市民グループが設置した27カ所の「ステーション」から週三日、スーパーやレストラン、給食センターなどの事業者からは2日に1回または毎日回収する。事業所から引き受ける生ごみが大部分を占め、持ち込みは一切受け付けないことから、堆肥は年間を通して安定した成分を保っている。家庭での生ごみ分別には子供たちが参加、ビニールなどが混じっていれば出前授業で環境教育を受けた「子供たちにしかられる」から、堆肥に異物が混じることもない。

 製造初日にかんな屑ともみ殻を生ごみに混和して含水率を60%程にし、7日ほど毎日切り返す初期発酵、レーン式発酵槽で40日かけて行う中期発酵(温度を6070℃に維持することで大腸菌や種子が死滅する)、熟成期間を兼ねた後期発酵を経て出来上がる堆肥は「窒素(N)、リン(P)、カリ(K)含有量が高く(13%)バランスも良いので、適量施用すれば他の肥料なし栽培」でき、「繊維成分も多いため、連用すると土作り(団粒形成促進)効果が高く、しかもCEC(塩基置換容量)が大きいので肥料持ち良い土壌」になり、「さらに、放線菌などの拮抗菌が高密度で含まれるので、病害抑制効果」も期待される(同紙1面 「ひと意見」 染谷 孝・佐賀大学農学部招聘教授生ごみ有効活用の先鞭つける)。

 小ネギを年3作し、毎作10㌃当たり3トンを基肥として活用、年間45トンを消費する同市大川町の楢崎常明さんは、「追肥は石灰窒素ぐらい。ネギは土への負担が大きいがはちがめ堆肥を使い始めてからは劣化が緩やか。収穫後にpHEC(電気伝導率)を確認しているので間違いない」。

 水稲1㌶、サトイモなど野菜2㌃を栽培する同市東山代町の立石重敬さんは、約10年継続して圃場1㌃に100キロ投入、「父の代から重視してきた土作りがしっかりきる。葉物野菜は色が鮮やかになり、味がのる。土がふかふかになるので、根菜は楽に収獲できる」。

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 小泉進次郎様、「農政新時代を切り拓く」(「農政新時代」 農業ばかりか肥料産業もリストラ 増えるばかりの社会的損失 農業情報研究所 16.1.14)と言うなら、化学肥料の値段を調べるためにホームセンターや各地JAを訪ねる前に、このNPOをこそ訪ねるべきだったのではありませんか。農政改革だけではない、埋め立てられ、あるいは焼却される生ごみの減量ばかりか、プラゴミ回収にも役立つはずです。