農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係2019年11月8日

新聞記事紹介 天敵農法 豊後大野市

 薬剤耐性を持つ害虫の増加を受け、豊後大野市の若手ピーマン生産者が中心となって天敵を使った害虫防除方法の確立を進めている。農薬をできるだけ使わない「総合的病害虫管理(IPM)」により、安全性と作業効率の向上、環境への負荷低減を目指す取り組み。実証実験では大きな効果が確認されており、新ブランドの立ち上げも視野に入れる。

 IPMは農薬だけに頼らず、天敵を使ったり(生物的手法)目の細かいネットで作物を覆ったり(物理的手法)と、さまざまな防除方法を組み合わせる。普段から害虫の発生しない環境整備を心掛け、薬剤散布の頻度を減らすのが狙い。

 豊後大野ピーマン部会(小代広幸会長)内の「いちばん推進チーム」は2017年からIPM農法、特に天敵を使った防除に着手している。背景にあるのは、ピーマンの代表的な害虫「アザミウマ」の県内での爆発的増加。イチゴやナス、キュウリなど多くの品目に被害を与えている。果実を食害して病気を媒介する害虫で、世代交代が早いため薬剤抵抗性が高く、もはや農薬だけでは対処できないという。

 チームのメンバーは、畑にアザミウマの幼虫を食べる天敵のダニを導入。夏場にダニが入った袋を設置すれば、冬に死滅するまで畑を守る。果実は食べないため商品には全く残らないという。福井敏之事務局長(62)は「導入して2カ月たった農家の90%が害虫被害が減ったとし、70%が確実に効果があったと認めている」と話す。ハチやカメムシといった土着の天敵を引き寄せる、バジルやソルゴーなどの植物を植える工夫もしている。

天敵を利用することで年に10回は必要だった農薬散布の手間がなくなり、空いた時間を農地の手入れや収穫などに充てられることも大きなメリット。実験は2年前に数人のメンバーで始めたが現在、部会員の3分の1に当たる約40人にまで拡大している。

IPMによる害虫防除法の確立に向け、チームはどの農家でも使えるマニュアルを作成中。福井事務局長は「若い世代のため、安心・安全なIPMブランドを作りたい。まずはアザミウマの病害を確実に抑え、第2、第3の害虫もターゲットにする」と意気込んでいる。

薬剤耐性害虫、天敵使い駆除 豊後大野市のピーマン生産者ら実証 大分合同新聞 19.11.8