農業情報研究所意見・論評・著書等紹介農業・農村・食料関係2020年1月10日

豪産牛肉対米産牛肉?干ばつ・森林火災で豪産敗退は確実 問題は日本人の食品安全意識 

日米貿易協定が発効、早速アメリカ産牛肉の大売り出しが始まった。

 イオンリテールが現在扱う牛肉は国産と輸入が50%ずつで、輸入では豪州産と米国産が「二対一」の割合だったが、二〇年度は米国産を二割増しにする計画、イトーヨーカドーも十三日まで、米国産牛のステーキ用などで一~二割値下げする。「米国産と豪州産などとのシェア争いが激化する可能性がある」そうである(牛肉シェア争い「得」米国産勢い 日米貿易協定発効で各社セール 東京新聞 20.1.10)。

  しかし、この争いの決着は既に見えている。干ばつでよれよれだったオーストラリア農畜産に大規模森林火災が追い討ちをかけている。森林火災の被害にあっているのはコアラだけではない(豪火災拡大、北海道超す1000万ヘクタール焼失 コアラ、数万匹犠牲か 東京新聞 20.1.10)。日本では報じられないが、大量の家畜、作物の授粉に不可欠な蜜蜂も犠牲になっている。

 干ばつで大量の繁殖雌牛がと畜場に送られた。国の牛群は2500万頭も減った。牛肉価格は間違いなく上がる。ニュー・サウス・ウェールズ、ビクトリアでは干ばつによる飼料不足だけでなく、炎熱が牛を焼き殺す。酪農の回復には法外に高い乳価が必要になる。サウス・オーストラリアでは6000の蜜蜂巣箱が焼失した。

豪農家、森林火災で弱り目にたたり目 農地・家畜の被害甚大 AFPBB 20.1.10

Beekeepers eye off national parks, as foraging areas succumb to fires,ABC Rural,20.1.10

  Consumers likely to see a shortage of flavoured milks and yoghurt after the fires,ABC Rural,20.1.9

 Cattle prices forecast to jump when drought breaks as farmers forced to sell breeding stockt,ABC Rural,20.1.8

 森林火災は終息どころか拡大の様相を見せている。農畜産被害もどこまで拡大するか分らない。牛肉だけではない。食料をいつまでオーストラリアに依存し続けることができるかと危ぶまれる。

 米産牛肉の勝利は確実だ。エストラジオール牛肉の消費がどこまで伸びるか、それは豪産牛肉ではなく、日本人の食品安全意識との戦いにかかっている(参照:日米貿易協定発効 日本の牛肉農家が生き残る道は?抗生・成長促進剤禁止)。

 関連情報

 輸入チーズ、2期連続値上がり 豪州の干ばつ響く 関税低下の効果打ち消す 日本経済新聞 20.1.10